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中国検索エンジン最大手「バイドゥ(百度)」がリリースしたスマートフォン向け「手機百度(Baidu Mobile)」は月間アクティブユーザー5億人を超える大ヒットアプリとなった。それでも「情報・コンテンツ」分野で開発の手を緩める気配はない。
先日、バイドゥは動画レコメンド・動画検索プラットフォームの「百度看看(Baidu Kankan)」アプリを発表した。百度看看アプリは動画形式のコンテンツをメインに表示するもので、スマホ向けバイドゥアプリの姉妹版とも言える。
動画版のバイドゥ検索
百度看看は動画メインをうたうだけあって、「オススメ」「ショート動画」「ライブ」など動画ストリーミング向けの機能が集約されている。
オススメページの上部には検索ボックスが設けられているが、ここでの検索結果には動画コンテンツのみが表示される。検索カテゴリも「動画」「ショート動画」「ライブ」など動画関連のものに限られている。
ショート動画のページはメジャーな動画アプリと同じスタイルで、ページを下に引っ張ってコンテンツを更新できるほか、動画作成者のフォロー、「いいね」やコメント、動画のシェアもできるようになっている。
百度看看アプリは手機百度を動画コンテンツに特化させた派生アプリといった印象だ。現在、主流となっているショート動画やライブ配信などの動画機能を網羅しており、お気に入り動画の再生機能もある。現時点で広告は表示されていないため快適な使用感だ。バイドゥが同アプリに大きな期待を寄せていることが感じられる。
ショート動画・ライブ配信へ進軍
バイドゥはこれまでもずっと動画コンテンツへの布陣を強化してきた。
去る9月3日にバイドゥ副総裁の沈抖氏が公表したデータによると、同社のライブ動画配信プラットフォーム「百度直播(Baidu Live)」の月間訪問者数は1億人を超え、トラフィックは前期比200%増、1日平均配信数は同500%増加したという。またバイドゥ傘下のショート動画プラットフォーム「好看視頻(Haokan Video)」についても、今年9月時点でデイリーアクティブユーザー(DAU)3000万人、平均利用時間は70分超、3分以上の利用時間の割合がショート動画分野で首位となるなど、ユーザー数とコンテンツエコシステムの規模の両面で大きな成長が見られている。
そして今回リリースされた百度看看アプリは、好看視頻や百度直播、「百度視頻(Baidu Video)」、その他の細分化市場に特化したサービスの機能やコンテンツを集約したものだ。もしかするとバイドゥは「手機百度」のような総合情報プラットフォームの構築を目指しており、情報を動画にすることでさらなる戦略強化を狙っているのかもしれない。
さらに手機百度と組み合わせ「ショート動画+フィード」モデルを作り上げることで、TikTokなどの競合アプリに包囲網を張ることにもなる。
バイドゥのコア事業である検索事業にとっても、動画コンテンツの効果は大きな影響力を持つ。
2020年第2四半期の財務報告によれば、バイドゥアプリ上で非娯楽性のライブ動画セッションの検索数が3カ月で5倍以上に増加しており、毎月の閲覧数も80%増加しているという。同四半期にはアプリ内の検索数が前年同期比28%増えたとのことだ。
百度視頻、好看視頻、ニューリリースの百度看看など、バイドゥの動画サービスにはインテリジェントサーチをベースにした技術が用いられている。これによりユーザーが動画の再生ボタンをタップしたほぼその瞬間に、ユーザーが好むコンテンツを予測し秒速でレコメンドを行うことができる。
しかもバイドゥは数十の動画サイトやPGC(プロ制作のコンテンツ)制作会社数千社と提携を結んでおり、膨大なデータを擁するメディアライブラリを構築している。動画検索事業を行う上で、大きなアドバンテージと言えるだろう。
動画コンテンツを巡り各社が激戦を繰り広げるなか、百度看看アプリがバイドゥの動画事業に新たな可能性をもたらすことになるかもしれない。
(翻訳・畠中裕子)
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