バイドゥ(百度)のAIアシスタントは通話が可能に、We Chatに接続するアプレットの準備も

「車の製造はパワーポイントのドキュメントを作るのと同じではない」。中国最大のサーチエンジン・バイドゥ(百度)のCEOロビン・リー (李彦宏、以下 リー氏)はこのように発言したが、実際に今年になって、バイドゥはその「車の製造」を実現した。

2018年7月4日、リー氏はバイドゥが主催した AI開発者会議において、世界初となるL4クラス自動運転バスが同社において量産体制に入ったと発表した。AIシステム「Apollo」を搭載した小型バス「アポロン(阿波龍)」は既に100台近く生産されているという。

またバイドゥはアポロンに加え、貨物運搬用自動運転ミニカー「新石器」について正式に発表した。これまでは6月のCES (Consumer Electronics Show) Asiaで展示していた。比較的シンプルなシーンでの低速自動運転に適しているだろう。

さらにAI分野の将来をも見据えて、バイドゥはAI用チップ「崑崙(Kunlun)」にも着手している。これはクラウド活用型高機能AIチップである。

ソフトウェアの進捗においては、AI技術のオンラインプラットフォーム「百度大脳」、自動運転プラットフォーム「Apollo」、AIアシスタント「DuerOS」が共にバージョン3.0へ更新された。AIを導入した顧客サービスも向上している。AIによる架電機能などは、今年5月にグーグルの音声アシスタント「Google Duplex」がレストランや美容院を電話予約したというデモンストレーションがあったが、それに類似したものである。

また、バイドゥは「スマートアプレット」について繰り返しアピール。同分野を全域的に推し進めていく準備があることを強調した。バイドゥ系アプリにだけではなく、外部のアプリにも対応できるという。この外部のアプリとはつまり、WeChatのミニプログラムのことを指している。

アポロン量産、さらに日本に販売も

リー氏は前年、「2018年7月には自動運転車が大量生産されるようになる」と約束した。

同氏は「イノベーションにはリスクが伴う」「自動車の生産とパワポ資料を作成するのとはわけが違う」「自動車製造というのはいつでも納期が遅れるものだ」などと一連の伏線を述べたのち、バス車両製造企業キンロン・バス(金龍客車)と共同制作した自動運転小型バス「アポロン」がすでに100台目の生産に入ったと発表した。

36Krの記者は6月、CES (Consumer Electronics Show) Asiaで自動運転バス「アポロン」の現物を見たが、L4レベル自動運転ソリューションシステムが搭載されており、確かにハンドルも給油口もブレーキペダルも見られなかった。

量産されたアポロンは、北京、深セン、雄安(河北省)、平潭(福建省)、また東京などへの出荷が計画されており、北京、深セン、平潭などではドライブテストの許可を取得したとのことだ。

日本への輸出は、バイドゥとSoftbank傘下の自動運転技術開発会社「SB ドライブ」との協業。 リー氏によると、「アポロン」は将来、日本の原子力発電所敷地内での職用車としてや、高齢者が多く住まう団地内の送迎車として使用されるという。

リー氏は、「2018年が自動運転の製品化元年となる」とも述べている。

百度大脳3.0のハイライト:マルチモーダル・ディープ・ラーニングによる語彙理解力

バイドゥがAIチップの独自開発に至った背景には、GoogleやFacebookなど海外の技術大手や、アリババ(阿里巴巴)やテンセント(騰訊)などの中国企業が既にこの分野への投資や自社開発に乗り出しているという状況がある。

バイドゥは昨年、米国の半導体企業・ザイリンクスと提携したクラウドコンピューティングアクセラレーションチップ(FPGAベース)とDuerOS AIチップに続き、クラウド活用型高性能AIチップ「崑崙(Kunlun、以下クンルン)」を発表した。リー氏によると、クンルンの計算力は従来のFPGAチップの約30倍であり、消費電力100ワットで260Topsの性能を発揮することができるという。

このチップは、音声、NLP(自然言語処理)、画像などのために最適化されており、将来スマートデバイスやスマートカーなどでの使用が想定されている。

しかし、36Krの取材では、「クンルン」チップはまだフローチャートの段階であり、量産には至ってないという情報を得ている。

ハードウェアレベルを支えるAIチップに加えて、百度大脳3.0のブレークスルーポイントはマルチモーダル・ディープ・ラーニングによる語彙理解力にある。これにより機器はテキスト、音声、ビデオなどのマルチモーダル情報を得ると、情報の背後にある意味までも理解するようになるという。実際にバイドゥのカスタマーセンターが音声アシスタントを使用して顧客と通話を試みるデモンストレーションがあるが、36Krの記者がこれを見たところ、やり取り全体としてとてもスムーズな印象だった。ただ音声が明らかな“ロボット音声”だったため、電話の受け手は通話相手が人間でないことにはすぐに気付くだろう。比較としては、Googleの Duplexの音声の方がよりリアルな人間の声に近い。

さらに、ApolloとDuerOSはすべてバージョン3.0にアップデートされている。DuerOSの周辺での症状は反復的に処理され、更なるソリューションを提供できるようになっている。さらにこれを基礎として、商業化やコンテンツの拡大、一方では1億元をもって開発者の技術開発を支援し、かつ開発力を必要箇所に割り当てると共に、一方では唱吧(カラオケアプリ)、VIPKID(オンライン英語講座)などの企業と協力してコンテンツの欠点を埋める体制にも役立てている。

We Chatに繋がるスマートアプレットを強力プッシュ

ライトアプリへの参入では後れを取ったバイドゥだが、WeChatに照準を定めたスマートアプレットについて、正式に発表した。

スマートスピーカー「小度音箱」の時と同様、マーケティングプロモーションは人気司会者の蔡康永(ツァイカンヨン)氏が務める。また、今回のスマートアプレットでは、ラッパーの孫八一(スンバーイー)氏を招いた。彼はAI開発者会議に最初に招待されたエンターテイメントスターである。ここからも、バイドゥがこのプログラムのプロモーションにかける意気込みが伝わってくるだろう。

バイドゥ副社長・沈抖(シェン・ドウ)氏は、バイドゥのグローバルトラフィックを用いてこのスマートアプレットをプッシュしていくと述べた。固定ポータルに加えて、検索や情報フローのトラフィックからでもこのアプレットにアクセスできるようにするという。4月に登場したバイドゥ唯一の中古車取引アプレット「Uxin(優信)」などは、基本的にWeChatミニプログラムと類似していた。

今バイドゥがすべきは、あの閉ざされたWeChatミニプログラムのエコシステムを分析すること。そして、新システムへの移行費用の削減のためにも、開発者がコードをもっと使いやすい仕様に変更すること。次に、百度大脳3.0のコアAI機能へのアクセスを可能にし、最終的にこのシステムを開かれたものにするということである。沈抖氏は、「年末にはバイドゥのアプレットをオープンソースにする」と打ち出した。つまりバイドゥ系以外の外部アプリ、DuerOSスマートプラットホームすべてが実行できるということである。また、同氏は沈氏は、オンラインAIプログラムにおける外部パートナーとして、動画共有サイトのbilibili(嘩哩嘩哩)、クラシファイド広告サービス・58同城(58.com)の名前を漏らした。

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