レノボ独自開発の産業用ロボットが航空機の塗装で大活躍 ARデバイスを使い高精度の遠隔操作が可能

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10月28日、レノボのテクノロジーイベント「Lenovo Tech World 2020」が開催された。イベントではレノボ董事長兼CEOの楊元慶氏が開会のスピーチを行い、新たなテクノロジーアーキテクチャを紹介した。

楊CEOが打ち出したのは「クライアント・エッジコンピューティング・クラウド・ネットワーク・AI」から成るテクノロジーアーキテクチャだ。IoTデバイスで得られたデータをネットワーク経由でエッジコンピューティングやクラウドコンピューティングに接続して分析し、AIアルゴリズムによりさらに学習や精錬を行うというもので、それぞれの業界特有の場面に特化したスマートソリューションを作ることが可能だ。

レノボはすでに、IoTプラットフォーム「LeapIOT」、ビッグデータプラットフォーム「LeapHD」、人工知能プラットフォーム「LeapAI」といったソフトウェアプラットフォームを構築している。

特筆すべきは、欧州に本社を置くソフトウェア大手「SAP」と提携を結び、クラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud カスタマーエディション」において連携することだ。レノボのPaaS(Platform as a Service)製品「TruScale」とSAP社のERP製品「SAP S/4 HANA」を組み合わせることで、ユーザーはデータやアプリケーションをプライベートクラウドに保存できるほか、パブリッククラウドのオンデマンドサービスを利用できるようになっている。

その後、レノボのシニアバイスプレジデントでCTOの芮勇博士は、独自開発したAIベースのエッジコンピューティングプラットフォームを紹介した。中でも目を引くのが国産航空機の製造をサポートする産業用ロボット「晨星ロボット」だ。

レノボの晨星ロボット

航空機の製造工程で吹付塗装を必要とする部品は数百種類に上る。これまで採用されてきた塗装のオートメーション化では、ロボットアームのティーチングや調整に数週間かかってしまう。手作業で塗装する場合は作業員によって仕上がりにばらつきが生じ、一定品質に保つのが難しい。

レノボが開発した晨星ロボットは、作業員がロボットを高い精度で遠隔操作して塗装を行えるようにしたもので、前述の問題を首尾良く解決することができる。

ロボットは作業エリアからカメラで撮影した3D映像を5Gネットワーク経由で離れた場所にいる作業員に配信し、同時に作業者からの指令を受け取る。作業員はオペレーティングエリア内で、ARヘッドセットを通じて現場の環境を立体的に認識しながら、手元のコントローラーを使って塗装ロボットをコントロールすることができる。

一度、操作のティーチングを行った後は、該当部品の塗装スキルがエッジ側に保存され、同規格の部品に対してロボット自ら塗装を行うことが可能になる。またコンピュータビジョンをベースにした塗装品質の自動検査も行える。

このようなロボットは人の代わりに生産ライン、狭い空間、危険な現場、放射能が強い場所などで作業できるため、作業員のリスクを低減することができる。実際に想定される作業シーンには組立作業ライン、塗装工場、電力設備の巡回作業、原子力発電所内のホットセル、核廃棄物の運搬や処理、高温高圧環境での作業などがある。
(翻訳・畠中裕子)

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