抖音と快手、ショート動画アプリで初の上場を争う二社 本当の争点は

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抖音と快手、ショート動画アプリで初の上場を争う二社 本当の争点は

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中国のショート動画分野で覇権を争う「抖音(Douyin、海外版「TikTok」)」と「快手(Kuaishou、海外版「Kwai」)」とが戦いの場所を資本市場に移すようだ。

11月5日夜、ショート動画プラットフォームの「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」が、香港証券取引所に目論見書を提出した。

一方、バイトダンスも一部事業の香港上場を計画しているという。 36Krが情報筋から得た確かな情報によると、上場を検討している事業とは「抖音」、ニュースアグリゲーター「今日頭条(Toutiao)」、動画プラットフォーム「西瓜視頻(Xigua Video)」。

世界情勢の複雑さと不確実性から、バイトダンスは中国事業と海外事業を分割することを選択。9月には、国際事業を分離して設立する新会社「TikTok Global」がプレIPOラウンドで米オラクルとウォルマートから1000億元(約1兆6000億円)近くを調達する計画だと明らかにされた。この資金調達が完了すれば評価額は5000億元(約8兆円)に達する見込みだ。

中国事業からさらに抖音を独立させるのは、評価額や競争、市場環境など多方面を考慮したためだ。バイトダンスが中国エリアで展開しているのはショート動画事業だけではなく、中には赤字の事業もあるという。多角化を目指した結果、評価額に影響が出ているのだ。目玉事業を単独で上場させれば、より高い時価総額が期待できる。

ショート動画以外の戦場

抖音と快手の争いはすでにショート動画事業だけにとどまらない。ショート動画ユーザーが頭打ちに近づくにつれ、両社はライブ配信やライブコマース、ゲーム、有料の知識コンテンツなどの分野を開拓してきた。ショート動画という「ひまつぶし」ツールから娯楽消費全般にまで手を広げている。

今年10月、バイトダンスは20億元(約320億円)を拠出して1~30分の「中尺動画」製作者に補助を出すとした。同時に抖音における中尺動画の割合がすでに20%を超えていることを明らかにした。抖音はバイトダンス傘下の動画配信プラットフォーム「西瓜視頻(Xigua Video)」と提携し、中尺動画コンテンツの量産化を実現しているが、中尺動画のライバルは快手だけでなくビリビリ動画やWeChatの動画アカウント「視頻号」も対象となる。

両社の間で競争が最も白熱しているのはライブコマース事業だ。ライブコマースは快手が今年の戦略の重点としており、台湾の人気歌手ジェイ・チョウ(周傑倫)と契約するなどGMV (流通取引総額)を引き上げようとしている。抖音も今年に入って正式にライブコマースチームを発足。スマホメーカー「スマーティザンテクノロジー(錘子科技)」創業者で人気インフルエンサーの羅永浩氏と契約している。

今年年末には両社の設定したライブコマースによるGMV目標がどのような効果をもたらしたか具体的なデータが出てくるだろう。しかし、ここでもいくつかの課題が明らかになっている。たとえば快手は人気ライバーの「辛巴(辛有志)」氏に代表される6人のトップライバーに売上高が偏っており、抖音は反対に、圧倒的な影響力を持つライバーを生み出すには至っておらず、サプライチェーンの基盤もまだ未成熟だ。

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ライブコマース、中尺動画あるいは地域密着型サービス、教育、ゲームなどショート動画以外の分野でも、大量の資本が流入するのは好ましいことだ。トラフィックを収益に変える新しい方式を見出して売上高を新しいステージに乗せることは、ショート動画「初の」上場企業という称号を争うよりも重要なのではないだろうか。

(翻訳・山口幸子)

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