スーパーマーケット再生の立役者「火星盒子」がA+ラウンドで数千万元の資金を調達
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ニューリテールサービスを提供する“火星盒子”が、先日A+ラウンドで数千万元の資金調達を完了した。阿尔法公社、AdMaster、Cathay Integrity Holding Limitedの共同出資によるものだ。2016年設立当初、火星盒子はシードラウンドで330 万元の資金調達を行い、更に同年、经纬中国(MatrixPartners China)よりエンジェルラウンドで1400 万元を調達。2017年末には金沙江(GSR Ventures)、经纬中国より、Aラウンドで数千万元の資金調達を実現した。
火星盒子は、スキャンするだけで買い物が出来るシステム及び無人レジの普及によって、従来型スーパーとコンビニのアップグレードをはかり、既存マーケットの変革を進めている。柱となるのは、消費者向けの“火星兔子”と企業向けの”火星惠”だ。
LBS(位置情報サービス)を利用したショッピングアプリ“火星兔子”を使えば、顧客は欲しい商品を自分でスキャンして、オンラインで決済することができる。店舗側は改装費用を捻出する必要がなく、購入内容については、決済後すぐに火星兔子の専用チャネルを通じて簡単に確認することができる。携帯がセルフレジの代わりとなり、顧客が店を出るまでの時間は平均して60%節約可能だ。そのほか、商店の決済システム及びプロモーション・メンバーシップシステムへ接続し、位置情報サービスに基づいた特典情報をリアルタイムでプッシュ通知することができる。
“火星惠”はブランドマーケティング管理のプラットフォームである。ブランド側は直接消費者とつながり、より多くのデータを収集しマーケティングのアドバイスを得ることが出来る。SaaSプラットフォームの登場によってエンドユーザーへ優待チケットを配信することが可能となり、今後はARサービスなどの技術を追加することも検討している。創業者兼CEOの聂迪氏は、ニューリテールにとって重要なのは“ヒト、モノ、場所” であるとし、火星惠はこのプロセスを通じて、オフラインスーパーやサプライヤーへマーケティングソリューションを提供している。
現時点で火星盒子は、世纪联华、罗森(ローソン)、苏果などを含め、3万店以上のチェーンストアと契約を締結しており、業界全体における同類企業の契約数を大きく上回っている。現在は主に揚子江デルタ地域を集中に展開しているが、下半期には珠江デルタへ進出する予定だ。
聂迪氏によると火星盒子の強みは主にふたつあるという。ひとつは低コストかつ時間をかけずに、スーパーマーケットの基礎となるデータへ接続してオフラインとオンラインの一体化を形成できること。もうひとつは火星惠がインタラクティブ・マーケティングの場を提供し、企業側がオフラインからオンラインへと移行することで、顧客の囲い込みを強化できることである。
開発の面では、WeChatのミニプログラムが広く普及したことでトラフィック流入の入口が増加したとともに、WeChatシステムを利用してデータを効率よく活用することが可能となった。また、同社と協力して開発した顔認識技術を、顧客画像のフォローアップ、プレシジョンマーケティングやロスプリベンションに役立てている。さらに、無人レジの効率化を目的として、上海にある一部のローソンが完全自動セルフレジのテスト運営を始めている。
以下は2017年11月に36Krが火星盒子のAラウンド資金調達について報道したものである。
オフラインスーパー再生に向けて、人件費削減を目指す火星盒子がAラウンドで数千万元の資金調達を行った。出資元は金沙江(GSR Ventures)と经纬中国(MatrixPartners China)だ。火星盒子は火星兔子アプリを2016年リリースした後、同年にPre-Aラウンドにおいて经纬中国(MatrixPartners China)から数千万元の融資を得ている。
近年、“無人小売店”のコンセプトがベンチャーキャピタルの間でもてはやされているようだ。火星盒子の創始者である聂迪氏によると、「スーパーマーケットのカウンターには、1日に2人のキャッシャーが必要だ。各キャッシャーの給与は3,000~4,000。年間で約8~9万元となる。大手スーパーマーケットは通常2~30の店舗を持っているが、仮に三分の一を無人化した場合、8~90万元を節約できるだろう。 大手のスーパーマーケットほど、より多くのお金を節約できる」。企業がコストを節約する一方で、レジに並ぶ時間を節約できるとなれば、エンドユーザーにも利便性をもたらす結果となる。
火星兔子アプリの使い方はというと、まず携帯にアプリをダウンロードし、電話番号やWeChat、QQなどのソーシャルアカウントでログインする。携帯のカメラで購入したい商品のバーコードをスキャンして、カートにいれる数量を選ぶ。WeChatかAlipayどちらかを選択して決済完了。その後、火星兔子アプリ上に表示される確認コードを店員へ提示する。店員はそのデータを用いて商品補充の要否を判断する。
火星兔子の位置情報サービスを用いた決済システム技術によって、火星兔子のアプリをダウンロードした顧客が来店すると、その顧客の位置を特定しそのデータに基づいて顧客におすすめの特典情報をプッシュ通知する。バックエンドは商店の決済システム、及びプロモーションシステムとメンバーシップシステムに接続され、火星兔子アカウントとスーパーのメンバーシップシステムを通して、オンライン取引を完了させる。
将来、火星兔子はAI技術を活用して全面的な無人化を実現させようとしている。もちろん使用されるシーンによって求められるものは異なるため、大きなスーパーマーケットから小さなコンビニに至るまで、それぞれのニーズにあわせたアプローチを行う。オンライン決済アプリの使用に慣れていない顧客に対しては、従来通りの支払い方法で対応することも可能である。
Amazon Goなどの他の無人小売業者と比較すると、火星盒子はスーパーマーケットのエンパワメントを引き出すことを目的としているため、全面的な改造は必要ない。導入するにあたってバーコードを新しくする必要はなく、現在使用しているバーコードに火星兔子の支払機能を追加するだけである。
商品をひとつひとつスキャンするやり方と比べて、全ての商品をRFID(タグ)技術で管理するには膨大なコストがかかる。Amazonの無人店舗では、赤外線、圧力、負荷センサー(顧客が手に取った商品を棚に戻した場合、それを記録するために使用する)などの最先端技術を使用しており、店舗の改装費は1,000万ドル以上であると報じられている。
対して火星兔子の店舗改修費用は100元未満。5万~8万SKU程度の中型スーパーのデータであれば、データドッキングを完了するのに3~7日あれば充分だ。
火星盒子はサードパーティブランドを宣伝し、スーパーマーケットと共同スポンサーとして販売促進を行っている。将来的にはこのシステムにディーラーとブランドサプライヤーを組み込み、プラットフォーム上に蓄積された顧客データを利益に結びつける考えだ。例えば、ある顧客がスポーツ用品を長期間にわたって購入していることが判明した場合、スポーツ愛好家である可能性が高いため、スポーツ・フィットネスブランドを推せば良い反応が得られるだろう。
2017年5月現在、火星盒子は1万以上のスーパーマーケットと契約しており、その小売売上高は830億元。契約を待っている状態のスーパーマーケットが2万以上、その小売売上高は1,512億元である。まだまだこれからの活躍が期待される。
顧客データの収集は常にインターネット企業の最優先事項であり、オンラインデータはSNSのいいね!やコメント、および転送によって収集することが可能だが、オフラインでの顧客データを収集してビジネスに活かすことは大変な苦労を伴うものであった。火星盒子のようなビジネスモデルを通して、私たちはついにOMO(Online Merge Offline)の時代を迎えるのだろうか。