6年ぶりに世界販売3位、ファーウェイの災難を商機に変えるシャオミ

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11月24日、シャオミが2020年第3四半期決算(7~9月)を発表した。売上高、純利益、スマートフォンの出荷台数は市場の予想を大きく上回り、四半期ベースで過去最高となった。

売り上げ増をけん引したのはスマートフォン事業で、前年同期比47.5%増を記録。出荷台数は34.9%増の4000万台となり、6年ぶりに世界トップ3に返り咲いた。緊張高まる中印関係の影響で、インドでは冴えなかったが中国や欧州市場、さらに南アメリカ、中東、アフリカの新興市場でも好調だった。

欧州の統計データによると、第3四半期の欧州市場でファーウェイの出荷台数が1510万台減少した一方で、シャオミは88%増の1450万台だった。オンライン販売、高コストパフォーマンス、さらに同市場への早期進出を強みとするシャオミが、ファーウェイの失ったシェアの大部分を押さえたと言える。

中国市場では、このほどファーウェイから切り離されたスマホのサブブランド「Honor(栄耀)」の出荷台数はこれまでシャオミを上回っていたが、今四半期のHonorは新製品の欠品問題が発生した。

同じく中国のスマホ大手「OPPO」と「vivo」の販売は主に実店舗経由であるため、Honorのオンライン販売における集客数とシェアの流出でひとまず最大の恩恵を受けるのはシャオミだ。これは財務報告書のデータにも表れており、シャオミのオンライン販売市場のシェアは第1四半期の18.5%から第3四半期には25.7%に上昇した。

ファーウェイとHonorの被った災難が、今四半期のシャオミに販売台数の大幅増加をもたらしたのだ。

シャオミはすでに反撃を開始している。販促を強化し、スマートフォン1台あたりの販売コストが上昇。今四半期のスマートフォン事業の売上原価は前年同期比48.5%増の436億元(約7000億円)となり、今四半期の売上高の6割に達した。

スマートフォンのかき入れ時となる第3四半期にアップルは「iPhone12」の販売を延期、ファーウェイもチップの問題で「Mate40」の供給が滞る中、シャオミは攻勢を強めている。販促キャンペーンを実施し、メインブランドの「Mi」とサブブランド「Redmi」の双方で新製品を相次いで発表した。

ただ、成熟した欧州市場での急成長も、シャオミが高価格帯スマホで勝利したということにはならない。欧州での売れ筋はエントリーモデルで、海外市場でのスマホのASP(平均販売価格)は今四半期は1.5%下がった。

オフラインがスマートフォン販売の主流であるため、シャオミは販売店の増加を発表しているほか、すでに一部のファーウェイ代理店と接触したと話す業界関係者もいる。

ある研究機関は、ファーウェイのチップ問題が解決されなければこれまで同社が握ってきた1億台分のシェアが市場に流れ、ファーウェイのシェアは現在の14%から来年には4%に下がるとしている。また、スマホブランドの市場再編で利益を得るのはシャオミだけではなく、今後の市場は再び群雄割拠の時代に入ると予想する。

他のスマホブランドは、販売店の拡大、製品ラインナップの拡充を進めている。海外市場では、欧州がインドに次ぐ戦場となるだろう。

追い風を受けるシャオミだが、最終的にファーウェイに代わる勝者となるには運ももちろん、不断の経営努力が必要だ。(翻訳・二胡)


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