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AIを導入することによって、金融業界では非接触型決済やインテリジェント化されたリスクマネジメント、ロボアドバイザー(自動資産管理)が実現し、小売業界ではプレシジョンマーケティングによる顧客獲得、無人店舗を可能にし、医療業界には新薬開発の加速、医師のためのデジタルアシスタントをもたらした。では、AIはメディア業界にどのような変化をもたらしたのだろうか?ロボットによる記事の自動生成、パーソナライズされた情報配信などはその一部分に過ぎない。
メディアとAI技術を融合させた新興テック企業「新華智雲科技(XINHUA ZHIYUN)」はメディアにさらなる可能性をもたらしている。同社は中国国営メディアの新華社とIT大手アリババグループにより2017年に共同設立された。MGC(Machine Generated Content、ロボットによるコンテンツ自動生成)を実現する「媒体大脳」、メディア業務の全プロセスを自動化する「智媒体融合平台」、旅行動画の自動生成と投稿、インタラクションを行う「文旅智能伝播平台」、会議・展示会会場からの自動配信を行う「雲上新聞中心」、短編動画を自動撮影するロボット「MAGIC拍撮機器人」などの製品およびソリューションを発表している。今年11月時点で申請済みの特許件数は1400を超える。
官製メディアを母体に持ちながら、新華智雲はAIとメディア業務にまつわるシナリオを融合させ、「企画、取材、執筆、編集、配信、校閲」のフルプロセスを自動化させるプロダクトを独自に開発したのだ。
メディア業務を全面的に自動化
新華智雲の王敏CPO(最高製品責任者)によると、メディア業務の自動化を図る主な目的は、コンテンツ制作者がより速く、より適切にニュースリソースを収集、処理、管理できるようにすることだ。例えば、交通事故、地震など突発的な事件・事故の報道では、まず識別用のAIが現場画像や動画を収集・採用し、記事執筆を担当するロボットと連携しニュースコンテンツを自動作成する。ジャンル別に専門のロボットが執筆を行い、他にもファクトチェック、文字認識、顔認識・追跡、記事企画などをそれぞれ担当するロボットが存在する。
36Krの記者も実際にある展示会会場で新華智雲の製品を使って動画記事の配信を試してみた。前述の雲上新聞中心を使って動画素材やテキストのテンプレートを選択すると、わずか1分以内に、まるでパワーポイントを操作する感覚で動画記事が自動的に完成した。
王CPOは「我々はメディアが転換期にある中で直面する問題を解決し、真の意味でAIがメディアを活性化することを望んでいる」と述べる。
報道を含めた媒体コンテンツ作成はいずれも専門的な人材を必要とするが、情報が入り乱れるメディア・コンバージェンス(メディアの融合)時代において、市場は媒体従事者に対しより高い要求を突きつけるようになった。情報発信者は企画、取材、編集に精通するだけでなく、執筆もでき、動画の撮影・編集もでき、さらにはコンテンツの配信やマーケティングについても心得ていなければならない。加えて、ライバルとは常にスピードを争うことになる。
同社の製品は3年連続で「両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)」の報道に起用されるなど、中国国内の重要なイベントや報道に導入されており、中央から地方に至るまで900社以上が活用している。
新華智雲は動画の自動撮影ができるロボット「MAGIC」も提供している。高精細の360度カメラをはじめとした複数のカメラを搭載し、レーザービジョンを含むマルチセンサーを用いたハイブリッド測位・ナビゲーション機能、人物認識・追跡機能、超高速演算力を有するエッジ・ノードを備え、自在に移動しながら動画を自律撮影し、被写体の人物を識別し、リアルタイムでクラウドに転送、自動でVlog(動画ブログ)コンテンツも作成できる。同社ロボット事業部の責任者・趙驥氏は「MAGICはカメラマンから撮影スキルを学習できる。将来的にはプロカメラマンの水準にまでスキルを高められると信じている」と述べる。
同社はさらに旅行、コンベンション、スポーツイベント、金融、マルチチャンネルネットワーク(MCN)などの分野にも事業を拡張させる予定だ。
旅行関係では、一般観光客が中心となり短編動画によるインタラクションを行う自動配信システムを開発した。動画を自動で撮影、制作、配信し、旅行会社は同システムを通じて顧客に動画ブログサービスを提供できるようになる。すでに中国国内の30以上の景勝地で導入済みだという。
コンベンションやスポーツイベント関連でも同様に、ロボットが撮影、制作、配信、アーカイブを行う。前述の雲上新聞中心を使えば1人でライブ配信周りの作業が完結でき、ワンクリックで数百のメディアに接続してリアルタイムで素材を同期できる。
王CPOは「今後も動画制作関連のロボット製品を開発し続け、コンテンツ制作を簡易化していくと同時に質や生産性も高め、クリエイターがコンテンツそのものにより集中できるよう支援していきたい」としている。
(翻訳・愛玉)
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