中国CATLが5000億円を投じてインドネシアに工場建設へ ニッケル資源の争奪戦の幕開けか

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ロイター通信の12月15日の報道によると、インドネシア海事・投資調整庁のSeptian Hario Seto次官は中国の車載電池大手「寧徳時代(CATL)」がインドネシアに50億ドル(約5170億円)を投じてリチウム電池工場を建設し、2024年に稼働を開始する予定だと明らかにした。

CATLは既にインドネシア国営非鉄金属大手「PT Aneka Tambang(アンタム)」と提携契約を結んでいる。インドネシア側はCATLに加工済みリチウム電池の60%を国内留保することを求めている。

同次官は「CATLがニッケルを海外で加工することは望まない」と述べている。

CATLも公告に準じるとの意向を示した。

CATLによると、ニッケル資源獲得のカギは提携合意に達することができるか否かにかかっているという。ニッケルは電池メーカーにとって非常に重要で、三元系リチウム電池の正極材として主に電池エネルギー密度を高める働きをするからだ。

電気自動車(EV)の多くは、NCM (ニッケル・コバルト・マンガン組成)の三元系電池を使用している。NCM811三元系電池はCATLにとって重要な製品である。「811」とはNCM比率が8:1:1となっていることを指し、ニッケル含有量が最も多い。業界ではNCM電池の「最適解」とされており、中国で生産されるBMWの電気自動車「BMW iX3」にも使用されている。

資料によると、インドネシアは世界最大のニッケル生産・輸出国で、ニッケル資源の埋蔵量は約13億トン、確認埋蔵量は6億トンとされている。主にマルク諸島、南スラウェシ州、東カリマンタン州、パプア州に分布している。

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領はこれまでに「私たちにはインドネシアを世界最大規模のリチウム電池製造国にしようという偉大な計画がある。我が国には世界最大規模のニッケル埋蔵量があるからだ」との考えを示している。

ニッケル埋蔵量が世界最大であるものの、インドネシアにはニッケルのサプライチェーンが欠けている。国内の工業を発展させ、インドネシアを世界規模のリチウム電池自動車の生産拠点とするためには、関連する化学工場や電池製造などの整ったニッケル資源に関するサプライチェーンの構築が必要となる。海外の大手電池メーカーが関心を寄せているのもそのためだ。

CATL以外にも、米EV大手テスラもインドネシアに電池工場の建設計画がある。ロイター通信の報道によると、テスラは2021年に調査チームを送り込む計画がある。同社CEOのイーロン・マスク氏は、インドネシアと長期的な提携関係を結び、環境に配慮しながらニッケルの採掘を行いたいとの意向を示しているという。また、韓国総合化学最大手のLG化学も98億ドル(約1兆100億円)を投じてインドネシアに製錬所を併設した電池工場建設を検討中であると報じている。

(翻訳:lumu) 

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