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最近の研究により、人の寿命には心理的な年齢も関わっていることが分かってきた。医学面から長寿研究を行う香港のスタートアップ「Deep Longevity」は世界初となるAIを活用した心理的老化時計を発表し、老化の過程における社会心理的要素の分析を行った。研究成果は同分野で権威ある学術雑誌「Aging US」に掲載された論文「PsychoAge and SubjAge:AIを用いた心理年齢・主観年齢の深層マーカーの開発」で発表された。論文はDeep Longevityの研究者とXPRIZE財団の創設者ピーター・ディアマンディス氏が共同で執筆した。
老化研究で最新の進展と言えるのが、さまざまな生物データタイプを活用して人類の老化過程を正確に数値化して予測する「老化時計」と呼ばれる研究モデルだ。Deep Longevityは今回、DNAメチル化マーカーに基づいた老化時計を発表した。
このような「老化時計」は各研究機関の後押しのもと大きな進歩を遂げているが、心理面から老化にアプローチした研究はわずかしかない。Deep Longevityは「PsychoAge(実年齢の予測)」と「SubjAge(個人の老化認識の描写)」というAIベースの年齢予測ツールを活用してこの分野の空白を埋めたいと考える。この研究はマッカーサー基金による米国の中年期研究(MIDUS)の一環として、25~75歳の1万人以上のアンケート結果をもとに行われた。
同研究における重要な発見は以下の2つ。
一つ目に、心理的年齢が実年齢より高いと、そうでない人に比べて死亡リスクが2倍になること。研究者たちが大規模なデータを使って検証した結果、SubjAgeの値が高くなると死亡リスクも高まることが分かった。例えば心理的年齢が実年齢を5歳上回っている人は、通常の年齢認識を持つ人に比べて死亡リスクが2倍に高くなるという。
第二に、心を穏やかにして心理的年齢を引き下げれば死亡のリスクが下がること。研究においてSubjAgeを治療的に操作し、患者を心理的に若返らせることで、死亡リスクを減らせるということが論文で指摘されている。例えば新しい体験に対するオープンな態度を意識的に持つようにするなら、SubjAgeの予測値を7年減らすことができるという。またレベルの高い生産的な生活を送り、目標や理想を追い求めることで、心理的老化時計が進むのを4年遅らせることができるとのこと。
Deep Longevity創業者で同研究の共同執筆者でもあるアレックス・ザヴォロンコフ氏は「ディープニューラルネットワークと老化時計の最新の研究成果を通じて、AIが社会心理データの組み合わせを計算することにより、初めて心理的年齢・実年齢のバイオマーカーを予測することが可能になった」と述べる。「人の健康状態を左右するさまざまな決定は、気持ちの持ち方次第で大きく変わってくる。深層心理に着目した老化時計は特定の心理状態や行動などの社会心理的変数を識別することで、個人のさらなる向上や心の健康、さらにヘルスケアやさまざまな分野での治療を促進する効果的なツールだと言える」
Deep Longevityは心理的老化に関する今後の研究で、性別による老化認識の違いおよび心の健康と関係のある社会心理的マーカーについての研究を行い、心身の健康に相互作用をもたらす総合モデルの構築を進める計画だ。(翻訳・畠中裕子)
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