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この1年、タテ型ショートドラマが複数の動画プラットフォームで存在感を増してきた。多くのショートドラマは1話が2分以内と短く、恋愛ものや時代もの、タイムトラベルものなどが主流だ。長編動画プラットフォームの「愛奇芸(iQIYI)」「優酷(Youku)」「騰訊視頻(テンセントビデオ)」のほか、ショート動画アプリの「抖音(Douyin、TikTok本国版)」や「快手(Kuaishou、海外版は『Kwai』)」もタテ型ショートドラマの特設ページを設けている。
昨年12月23日、テンセントのショート動画サービス「騰訊微視(WeSee)」が新形態の短編ドラマ「微劇(Weiju)」をリリースし、傘下の電子書籍プラットフォーム「閲文集団(China Literature)」、アニメ・動画サイト「騰訊動漫(Tencent Animation and Comic)」、ゲーム事業「騰訊遊戯(テンセントゲームズ)」と提携してIP(知的財産)を活用していくことを発表した。2021年には資金10億元(約160億円)と100億のトラフィックを投入して、ショートドラマ事業を成長させる考えだ。
同時に1~3分のタテ型連続ショートドラマを扱う「火星小劇」と質の高いショートドラマの制作を支援する「火星計画」も発表された。
テンセントはショートドラマ「微劇」を、騰訊微視で配信する1話1~3分、タテ型画面で展開する連続ドラマと定義している。
テンセント短編動画コミュニティー製品部の李啦副総経理によれば、2021年はショートドラマ分野に力点を置き、自社コンテンツエコシステム内のIP資源との連携、騰訊微視のチャンネル内で行うオンラインの公開キャスティング、クリエーターの収益化サポートを行っていくという。
ショートドラマの制作支援プログラム「火星計画」では、閲文集団や騰訊動漫など傘下プラットフォームのIP資源を定期的に一定数開放して、エントリーしたクリエーターがテンセントのIPを作品に使用できるようにする。
優れたクリエーターに対しての資金支援も行う。全50話のドラマの場合は30万元(約470万円)の基本収入に加え、視聴回数に応じてインセンティブが加算される仕組みだ。
制作支援プログラムの作品には、大々的なプロモーションも計画されている。
騰訊微視そのものも新機能が追加されるなど改良が続けられている。すでに配信済みのドラマ「摩玉玄奇(Legend Of Magic Jade)」はインタラクティブ機能を活用し、視聴者の選択肢によって結末が変わるマルチエンディング形式を採用した。
曹睿氏によれば、騰訊微視では作品ごとのフォロワーグループを立ち上げてクリエーターと視聴者が直接交流する機会を提供し、フィードバックやスティッキネス向上につなげる考えだという。
ただ現状を見ると、テンセントはショートドラマ分野でやや出遅れた感がある。快手傘下のビッグデータ研究院が発表した2020年の快手ショートドラマエコシステムに関するリポートによれば、ショートドラマ専門ページ「快手小劇場」に掲載されている作品は2万本に上り、再生回数1億回以上の作品が2500本あるという。1200人近くのクリエーターが100万人以上のフォロワーを抱え、そのうち30人以上はフォロワー数が1000万人を超えている。
とはいえ、テンセントの強みは傘下プラットフォームが持つ豊富なIP資源と、SNSツールという強力なチャネルだ。ショートドラマを巡って快手とテンセントが激突する日もそう遠くないだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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