兵糧攻めのファーウェイ、主力スマホ事業の売却を否定  反撃も見据え

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中国スマートフォン製造最大手ファーウェイ(華為技術)が25日、同社スマートフォン事業の主力となる高級機種「Mate」シリーズと「P」シリーズを売却すると報じられていることについて、これを否定する声明を発表した。世界の先端に位置するハイエンドブランドとして、今後も消費者に卓越した製品と体験、サービスを提供し続けることに尽力するとしている。

ファーウェイのスマートフォン事業に関しては、「Mate」および「P」シリーズのみが売却される、あるいはスマートフォン事業そのものが売却されるなど、さまざまな噂が飛び交っている。一説には、ファーウェイの事業の譲渡先について、中国某市の国有資産監督管理委員会(国有企業を監督・管理する組織)が仲介役を務めるともいわれる。

スマートフォン事業を売りに出すにしろ、出さないにしろ、深慮の末に決めるべきことだ。ファーウェイは長年かけて傘下で半導体メーカー「ハイシリコン(海思半導体)」を育て上げ、同社の製造するチップによって他の中国ブランドと明確な差別化を図ってきた。ファーウェイ製スマホのグローバル販売台数はこれまで何度もサムスンやアップルを超え、世界首位に輝いてきた。また、同社のコンシューマー向け端末事業部にとっては、スマートフォンが売上高の半分を支える存在となってきた。手放すにはあまりに惜しい存在だ。

しかし、ファーウェイにはなすすべもないこともまた事実だ。米国からの長期に渡る制裁により、昨年9月以降、最大のセールスポイントである自主開発のスマホ向けSoC「Kirin」の製造が不可能となり、ハイエンド機種に搭載するチップの欠品問題は、いまだに超えられない山としてファーウェイの前に立ちはだかる。

これに対しファーウェイは、在庫製品を使うことで急場をしのいできた。昨年は「Kirin 9000」の在庫1000万個をかき集め、これを搭載した旗艦スマホ「Mate 40」を発表。その後はさまざまな方法を用いてスマホの出荷台数を調整してきた。

無論、在庫では長期的な解決にはならない。しかし、テンセント系のTMT専門ニュースサイト「騰訊深網」はファーウェイ内部関係者からの情報として、同社は現在も次世代機種「Mate 50」「P50」の製造を計画しており、開発の手も止めていないと報じた。ファーウェイは限りある在庫を使いながらスマートフォン事業の命をつなぎ、ひたすら反撃のチャンスが訪れるのを待つしかない状況だ。

ファーウェイは諦めずに転機を探っている。まずは自動車やIoT製品など、自主開発チップを必要としないスマートフォン以外の製品に重点を置くようになった。さらに、傘下の投資ファンド「哈勃科技投資(Harbo Technology Investment)」が2019年からウェハー製造を含む半導体関連の多数のプロジェクトに出資をしている。

スマートフォン事業を守るため、ファーウェイは昨年11月にサブブランド「Honor」を売却。多数のサプライヤーに受け皿を用意したほか、Honorのサプライチェーンには一定の自由が戻り、台湾メディアテック(MediaTek)製のチップを搭載した新機種を発表した。趙明CEOによると、新生Honorはすでに米クアルコム、マイクロソフト、インテルなどのサプライヤーと取引を再開している。

(翻訳・愛玉)

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