1年半で6回目 CBD(大麻由来成分)配合化粧品「Simpcare」が新たに数十億円調達

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1年半で6回目 CBD(大麻由来成分)配合化粧品「Simpcare」が新たに数十億円調達

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機能性基礎化粧品ブランドの「Simpcare(溪木源)」がこのほど、シリーズBで数千万ドル(数十億円)を調達した。リードインベスターは米ヘッジファンド「Coatue Management(コーチュー・マネジメント)」と某ドル建てファンド、コ・インベスターは既存株主の「弘毅投資(Hony Capital)」、財務アドバイザーは「高鵠資本(Cygnus Equity)」が務めた。資金は中核技術の研究・開発や国際的なサプライチェーンの構築、組織拡充などに充てる方針。

Simpcareは2019年8月に設立され、わずか1年半で6回の資金調達を果たしている。5回目までの資金調達状況は次のとおり。

2019年8月にエンジェルラウンドで数百万元(数千万円)を調達。同月中にシードラウンドで「真格基金(Zhen Fund)」から数千万元(数億円)を、同年11月にはシードラウンドの追加拡張投資で同じく真格基金から数千万元を調達している。翌20年5月にプレシリーズAで数千万元を調達。その際のリードインベスターは弘毅投資で、真格基金はコ・インベスターを務めた。同年7月にはシリーズAで数千万元を調達。その際のリードインベスターはコーチュー・マネジメント、コ・インベスターは「雪湖資本(Snow Lake Capital)」、真格基金、弘毅投資だった。

Simpcareは設立の翌年、2020年1月に製品の販売を開始した。同年は年間売上高が1億元(約16億円)を超え、主力製品の「CBD(カンナビジオール)原液」はアリババ系のECモール「天猫(Tmall)」から「CBD入り基礎化粧品を代表する商品」との評価を受けた。現在は「山茶花(Camellia)」「CBD」「CBS(Capture Brightening Skin)」の3シリーズから計40アイテムを発売している。客単価は平均200元(約3200円)前後で、中国製基礎化粧品としては中〜高級品に位置付けられる。

創業者のJeffrey氏は、Simpcareを東洋人の肌質に合った天然由来の基礎化粧品ブランドにすることを願い、科学的精神を揺らがせずに研究・開発を進めていきたいとの抱負を述べている。

CBDは工業大麻に含まれる成分で、鎮静や消炎のほかアンチエイジングなどの効果があるとされる。Simpcareは2019年7月にCBD製品の開発をスタートした。江南大学と曁南大学の研究チームが競い合う形で13カ月間かけて研究を重ねた結果、高濃度かつ高純度な水溶性CBDをカプセル化する技術を開発し、高濃度CBDの安定性の低さを解決した。これにより、爽やかな使用感と保存の容易さを両立した製品作りが実現した。この技術は、国家自然科学基金委員会から優秀な成果として表彰されている。

SimpcareのCBDシリーズには純度99.9%のCBDが濃度1.2%で配合されている。Tmallが昨年11月に開催したショッピングイベント「ダブルイレブン(双11)」では、CBD配合基礎化粧品のカテゴリーで売上高第1位に輝いた。

Simpcareの基礎化粧品「山茶花」シリーズ

Simpcareは原材料を大切に、世界中から探し出した天然原材料の製造・管理を行っている。工業大麻については、中国国内で工業大麻の栽培と精製・製造を手掛ける企業と提携。同企業内に研究開発センターを設立し、原材料の活性保存などに関して研究を進めている。山茶花については、韓国の済州島にある原産地と提携し、山茶花の輸入と独自加工を行っている。また、日本産の真珠や緑茶、加水分解シルクを原材料とする製品も発売している。

Jeffrey氏は、ブランドにとって最も重要なのは消費者理解と製品規格だと語る。Simpcareは独自の調査に基づき、製品各シリーズの対象ユーザー層を明確にしている。山茶花シリーズの対象ユーザーは16〜25歳で、肌年齢が若く、基礎的なスキンケアの段階にあり、交際範囲は比較的狭い。CBDシリーズの対象者は22〜39歳で小じわなど老化の兆しが出始めており、スキンケアの経験が豊富。友人グループの主役として広い範囲で活発に交際し、製品の選択眼も厳しい。

Simpcareはコンテンツマーケティングとサイト内広告を打ち出してきたが、今年はマーケティングを強化し、CBDへの認知と理解を広げていく方針だという。製品はTmallのほか京東(JD.com)など全ての主要ECサイトで販売されるほか、セレクトショップ「KKV」などでも取り扱いがある。また、北京和睦家医院の皮膚科医推薦基礎化粧品ともなっている。

Simpcareの基礎化粧品「CBS」シリーズ

Jeffrey氏は、中国では敏感肌の人々が増えつつあり、基礎化粧品の細分化が求められているため、機能性基礎化粧品市場はさらに拡大する見通しだと語る。国内の各ブランドがこぞってCBD配合基礎化粧品を手掛けるようになったことについては、先行ブランドは優れた技術で後発ブランドを抑え、結果的に残るブランドは一つか二つになることが予想されるという。Jeffrey氏は、CBDのコンセプトだけでブランドは支えられないとし、コンセプトだけでなく製品そのものの洗練が必要だと強調する。

Jeffrey氏は、米基礎化粧品ブランド「Olay」のブランドディレクターとして中国全土の販売チャネルとECビジネスを担当した経験がある。ブランドを支える共同創業者で最高製品責任者(CPO)のTed氏は、研究開発で25年以上の経験を積み、広東省化粧品学会の発起人の1人ともなった人物。主席科学者の劉忠氏は、曁南大学の教授として「遺伝医学国家工学研究センター(National Engineering Research Center of Genetic Medicine)」の化粧品研究開発センターでディレクターを務めている。

(翻訳・田村広子)


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