中国の新消費財分野、ユニコーンが続々誕生 投資機関の視線も加熱

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2020年、中国の新消費財メーカーが史上例を見ない急成長を遂げた。昨年、アリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」が主催するネット通販イベント「双11(ダブルイレブン)」では、360の新ブランドがサブカテゴリー1位を獲得し、16の新ブランドが売上高1億元(約16億円)を超え、史上最高を記録した。

消費財メーカー続々上場でVCにハイリターン

ロボット掃除機メーカー「Roborock(石頭科技)」、コスメブランド「PERFECT DIARY(完美日記)」、アートトイブランド「POP MART(泡泡瑪特)」など多くの消費財企業が続々と上場しており、彼らの出資者にも高い配当をもたらした。

中でも「ヒルハウス・キャピタル(高瓴資本)」、「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」、シャオミの雷軍CEOが創設した「順為資本(Shunwei Capital)」、「今日資本(Capital Today)」、「真格基金(Zhen Fund)」などの戦績が上々だ。

ヒルハウス・キャピタルが出資した企業のうち、菓子メーカー「良品舗子(BESTORE)」、雑貨チェーン「名創優品(MINISO、メイソウ)」、PERFECT DIARY、家庭用洗剤メーカー「藍月亮(Blue Moon)」が2020年に上場した。ヒルハウスは比較的早期から出資していたため、持ち株比率が高めだ。

PERFECT DIARYは、真格基金へ設立以来最高額のリターンをもたらした。帳簿上では10億ドル(約1000億円)近い。

POP MARTは上場後、時価総額が1000億香港ドル(約1兆3000万円)を超えた。セコイア・キャピタルはIPO前にPOP MARTの株式4.87%を保有しており、外部株主としては最大比率だ。

4大消費財市場で大魚を育てる

統計を見ると、2020年に急伸した新消費ブランドは4つの分野に集中している。すなわち、食品・酒類・飲料、美容・スキンケア、アパレル、スマート家電・デバイスである。

市場での注目度や業績から各分野を代表する4社は以下だ。

食品・酒類・飲料では無糖飲料ブランド「元気森林(GENKI FOREST)」だ。2018年5月のエンジェルラウンド後、元気森林は半年ごとに資金調達を重ね、昨年7月にセコイア・キャピタルから資金を調達すると企業評価額は140億元(約2100億円)に達した。

美容・スキンケアではPERFECT DIARYだ。同ブランドを運営する「逸仙電商(YATSEN)」の時価総額は、現在110億ドル(約1兆1000億円)を超える。 IPO前に、PERFECT DIARYは5回にわたって資金を調達した。ヒルハウス・キャピタル、真格基金、「高榕資本(Gaorong Capital)」といった大株主に加えて、2020年に行った2度の資金調達ではタイガー・グローバル・マネジメント、「厚樸投資(HOPU Investment Management)」、カーライル・グループ、ウォーバーグ・ピンカスなども加わっている。

アパレルでは、ユニセックスファッションブランド「bosie」だ。 2018年5月に天猫に出店し、2019年には全チャネルの売上高が1億4000万元(約22億円)となり、今では実店舗も15店舗ほど展開している。 2018年以来、Bosieは真格基金や「金沙江創投(GSR Ventures)」などから5度にわたって出資を得てきた。

スマート家電・デバイスでは掃除ロボット「雲鯨智能科技(Narwal Robotics)」だ。 2020年のネット通販イベント「双11」期間中に、雲鯨の売上高は2億元(約32億円)を超え、2000%成長を達成した。同年4月、雲鯨はシリーズA+でTikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)などから、シリーズBでは「源碼資本(Source Code Capital)」などから1億元(約15億円)近くを調達し、6月にはシリーズCも成功させた。この時のリードインベスターはセコイア・キャピタル、コ・インベスターは源碼資本、ヒルハウス・キャピタルなど。

投資家の多くは、新世代の台頭が消費財における最大の変数であると述べる。今の20代は、ものが豊かな時代に育ち、個性を追求する。これが新ブランドの発展に機会を提供しているというのだ。

加熱する消費財メーカーへの投資熱

投資家は長い間、消費財分野を評価してこなかった。このタイプの実業投資では想定できる未来図が限られ、成長もそれほど速くないため、IT分野ほど食指が動かないのが主な理由だ。

しかし、消費財の生産コストは、中国のサプライチェーン成熟に伴い下がってきている。天猫のようにインサイトを深め、マーケティング、サプライチェーン、ロジスティクスまでこなすプラットフォーマーが登場し、デジタルマーケティングの手法を提供することで新ブランドを支援し、発展を後押しする。こうしたことが消費財メーカーを徐々に魅力的にしていったのだ。

消費財メーカーの強みは着実な成長だ。投資熱が高まるにつれ、多額の資金調達を成功させるプロジェクトも増えている。今の消費財メーカーは成長速度とその軌跡、資金調達能力のいずれもがIT企業に近づいている。

作者:WeChat公式アカウント「天下網商(ID:txws_txws)」、范向東

(翻訳:永野倫子)

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