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AI搭載ロボットを開発する「思霊機器人科技(AGILE ROBOTS)」がシリーズBで交銀国際(BOCOM International)、招銀電信股権投資基金管理(Zhaoyin Dianxin Equity Investment Fund Management)、新希望集団(New Hope Group)をはじめ、既存株主の高瓴創投(Gaoling Venture Capital)、セコイアキャピタル・チャイナ、線性資本(Linear Venture)など大手投資機関から資金調達を行った。調達した資金は主に研究開発と製品の量産化に充てられる。
思霊機器人は昨年4月にもC Ventures(C資本)が主導するシリーズAで数千万ドル(数十億円)を調達し、同年の調達総額は1億3000万ドル(約136億円)となり、AIロボット業界のユニコーンとして躍り出た。
同社は2018年に設立され、独ミュンヘンと北京の二カ所に本社を構える。ドイツ航空宇宙センター(DLR)の技術をバックボーンに、AIおよびロボット関連の先端技術を深く融合させてイノベーションを図り、ロボットをより広範囲に応用することを目指す。研究開発を担うメンバーはいずれもDLRの出身。創業者の陳兆芃博士はDLRロボット工学・メカトロニクス研究所(RMC)で副主任を務めた人物だ。また、創業メンバーのPeter Meusel氏はトルクセンサーやロボットの設計に30年以上携わり、世界で初めて民間でフォース・トルクセンサーを発明した人物だ。
思霊機器人の製品は、「ヒトとロボットの違い」を深く追究することから生まれている。「ヒト」を出発点として、独自にロボットのOS「AgileCore.OS」を開発した。リアルタイムと非リアルタイムをつなぐプラットフォームで、ソフトウェア(実行制御装置、モーションプランニング、ロボットビジョン、ディープラーニングなどのアルゴリズム)、ハードウェア(ロボット本体、カメラなどの一連の機器)、通信などロボットの重要パーツを管理し、プラグ・アンド・プレイでロボットを稼働させる。
思霊機器人が自主開発した製品には、力制御汎用ロボットアーム「DIANA」、多指ロボットハンド「Sony Hand」、フレキシブルロボットのプラットフォーム「Agile FIP」がある。
DIANAは自由度が7軸,力覚センサーの感度は0.5N、測位精度0.02mmと、市場に流通する同類製品よりも機敏で高精度、操作もスムーズで、手術ロボットや精密電子製品(パソコンや通信機器、家電)の組み立てロボット、自動車部品の組み立てロボットとして活用される。
Sony Handは高度な総合設計技術を用い、複数のセンサーを融合した把持計画アルゴリズムによって、各指の各関節が個別に制御できる。サービスやリハビリ、危険な環境下での作業に活用される。これらの技術はDLRの類似製品「HIT Hand II」から応用したものだ。HIT Hand IIは思霊機器人の創業者・陳兆芃博士も開発責任者として関わった製品で、中国の宇宙ステーション「天宮2号」で1300日以上にわたって稼働したほか、独工業デザイン賞「iFデザインアワード」を受賞している。
Agile FIPは独自OSのAgileCore.OSや関連機器を搭載し、非構造化環境に適応する。同プラットフォームを通じ、AIロボットは「手と目の運動協応」によって、従来のロボットではなし得なかった複雑な作業が行える。スマートマニュファクチャリングの現場にワンストップのソリューションを提供し、現在の製造業が対峙する小ロット生産、カスタマイズ生産、混流生産(複数の製品を同一ラインで生産する)など、柔軟な製造を実現するためのさまざまな需要に応える。
思霊機器人の製品は、医療、工業(電子製品、自動車とそのサプライチェーン、宝飾品など精密部品)、農業、教育、サービスなどの分野ですでに導入が始まっている。昨年には英「ネイチャー」誌が中国の医療ロボットを特集した際、同社のコア技術について詳細に報じている。
(翻訳・愛玉)
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