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日本の半導体産業がピークを迎えた1980年代、日本は市場シェアで初めて米国を超え、世界最大の半導体生産国となった。これが米国によるジャパンバッシングに繋がり、最終的には再び業界リーダーの座を米国に譲ることとなった。
現在、こうした米国の手法は中国をターゲットとして再現されている。ファーウェイ(華為科技)、SMIC(中芯国際)、HIKVISION(海康威視)、Dahua Technology(大華)など中国の半導体企業は続々と米国の輸出規制の対象となり、中国の半導体産業の成長の妨げとなっている。
しかし、中国は往時の日本とは違う。
中国本土は世界の半導体消費の35%を占めており、モバイルインターネット、スマートデバイス、新エネルギー車、5Gなどの新技術や新製品が急速に育った背景には、半導体を実用化する活発な新興市場の存在がある。中国はアセンブリや試験、ローエンド〜ミドルレンジのチップ設計において世界的競争力を持つに至り、世界の半導体産業の一角を占めるようになった。
米国からの圧力に抗うかのように、中国では昨年、数多くの企業や資金、投資機関が半導体産業の建設に向け力を注ぎ、「新型コロナ」というブラックスワンの影で大きなうねりと化していた。海外からも多くの専門家やエンジニアが帰国し、このうねりに身を投じている。半導体業界でますます多くのイノベーションが生まれ、世界の半導体勢力図で中国の立ち位置を確保したのだ。
加熱する半導体業界への投資
中国の企業データバンク「天眼査(Tianyancha)」の統計によると、2020年現在、中国で登記されたチップ関連の企業は5万9793社で、10年前の100倍近くなっている。半導体関連の投資案件を多く手がけてきた「雲岫資本(WINSOUL CAPITAL)」の調べによると、2020年の半導体業界におけるエクイティ型投資案件は413件、投資額は1400億元(約2兆2800億円)に上り、2019年から約4倍伸びている。中国半導体のプライマリーマーケットにおいて、前例を見ない額となった。
案件ごとの投資額も大幅に増えている。36Krのおおよその調べでは、10億元(約160億円)を超えた投資案件は少なくとも11件存在する。
個別のカテゴリーでみると、設計、製造、アセンブリー・試験の3分野が主な投資の対象となっている。また、CPU(中央処理装置)、GPU(図学処理装置)、AIチップ、車載用チップ、EDA(半導体設計自動化ツール)関係のスタートアップに対する投資が増えている。2019年9月に設立され、GPU設計を手がける「壁仞科技(Biren Technology)」はシリーズAで11億元(約18億円)を調達し、2020年3月設立でEDAを手がける「芯華章(X-EPIC)」は設立わずか7カ月で総額4億元(約65億円)を調達している。
出資側からみると、2020年はセコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国)、高瓴資本(Hillhouse Capital)、深圳市創新投資集団(SHENZHEN CAPITAL GROUP)、IDGキャピタル、啓明創投(Qiming Venture Partners)、マトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯中国)など、トップクラスの投資機関が続々と半導体業界に乗り出している。
また、SMIC系の「中芯聚源股権投資管理(China Fortune-Tech Capital)」、ファーウェイ系の「哈勃投資(Hubble Technology Investment)」、シャオミ(Xiaomi)系の「小米長江産業基金(Xiaomi Yangtze River Industry Fund)」など、半導体を手がける企業の傘下からも投資が盛んになっている。
哈勃投資は2019年4月の設立以来、公開されている案件だけで20件以上もの投資を行っている。投資先も半導体設計、材料、EDAなど多岐にわたる。またシャオミはチップの自社開発が順調に進まず、他社への出資によって補填を図っており、昨年は公開されている案件だけで19社へ投資している。
続き:政府の大々的バックアップ
(翻訳・愛玉)
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