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設立からわずか100日、GPU(画像処理装置)を手がける中国「摩爾線程(Moore Threads)」がすでに2回目の資金調達を終えたことがわかった。2回の調達で得た資金は数十億元(数百億円)で、「深圳市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)」、「セコイアキャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」、「GGV Capital」が共同で出資を主導し、「招商局創投(CHINA MERCHANTS VENTURE)」やTikTokの運営元「バイトダンス(字節跳動)」、自動運転を手がける「小馬智行(Pony.ai)」、「融匯資本(Riverhead Capital)」なども出資に参加している。
摩爾線程は昨年10月に設立されたばかりで、ビジョンコンピューティングやAIコンピューティングのプラットフォームを構築し、世界でも先進的かつ革新的なGPUの知的財産権を自主開発している。同社のGPU製品はGPGPU(汎用計算に応用されるGPU)やHPC(高性能計算)にも対応するものだ。
同社のコアメンバーはGPGPUに強いNVIDIAを筆頭に、マイクロソフト、インテル、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)、ARMなどの出身者が揃う。創業者は業界で15年以上の経験を積んでおり、世界トップクラスのチップメーカーを率いて中国GPU業界のエコシステムを開拓した。
昨年下半期から、中国のチップ業界ではGPUへの投資がブームとなっている。
昨年6月には「壁仞科技(Biren Technology)」がシリーズAで11億元(約180億円)を調達。「啓明創投(Qiming Venture Partners)」、「IDGキャピタル」、「Walden International China」がリードインベスターを務め、大手家電メーカー傘下のVC「格力創投(Gree Venture Capital)」も出資した。
11月には「沐曦集成電路(METAX)」がエンジェルラウンドで約1億元(約16億円)を調達。「和利資本(CTC Capital)」がリードインベスターを務めた。同社は同年9月に設立されたばかりだ。
今年に入ってからは2月に「登臨科技(DENGLIN TECHNOLOGY)」が、「元禾璞華投資管理(Yuanhe Puhua)」「元生資本(GENESIS CAPITAL)」がリードインベスターを務めたシリーズA+で資金を調達。「北極光創投(northern light VENTURE CAPITAL)」を含む既存株主らも出資に参加した。
投資だけではなく、製品化にも新たな進展がみられる。登臨科技では初のGPU+(GPUベースのAIプロセッサー)がテープアウトし、実働検証を経て顧客にサンプルを配布しはじめた。「天数智芯半導体(Iluvatar CoreX)」は1月、7nmプロセスで製造したGPGPU「BI」が昨年11月にテープアウト後の実働検証を終え、12月に量産に入ったと発表した。マイニング機器を手がける「芯動科技(Innosilicon)」は昨年8月、二つのGPU製品を間もなくリリースすると発表した。
半導体チップ分野への投資ブームは2016〜2017年以来のことだ。今回のブームではNVIDIAが覇権を握るGPGPU市場に注目が集まり、AI分野やクラウドコンピューティング分野に加え、画像レンダリング分野にもスポットライトがあたっている。
GPUは設計が難しく、特許の持つ効力が大きい。業界の頂点に立つNVIDIAは、2008年から2020年までの間に中国市場でのシェアを50%から80%以上にまで増やし、技術のエコシステム、ツールチェーン、マーケティング支援、顧客支援も完璧なものにしている。製品の企画から設計、テープアウト、製造までのサイクルは一般的に18〜24カ月。記事内で挙げた企業のほとんどは設立間もない段階で、大規模な製品化を実現したケースはまだ少なく、スタートアップの参入障壁は高いといえる。
米中貿易摩擦がさらに深刻化すれば、中国半導体チップ業界の存亡はより大きな注目を浴びるようになるだろう。チップ内製化や新インフラ(デジタルインフラ)推進政策が後押しして、中国のGPU市場はさらに熱を帯びてくるはずだ。将来的にはさらに多くのプレイヤーが参入してくることになるだろう。
(翻訳・愛玉)
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