スターバックスは中国におけるデリバリー事業のパートナーを見つけ出し、アリババも新たなオフライン小売シーンを開拓

キーポイント

・スターバックス(星巴克、Starbucks)のデリバリー業務請負会社の争奪戦は長い時間を要し、最終的にスターバックスは餓了么(饿了么、Eleme)を選択した。これは阿里と抱き合わせになる事を意味する。

・スターバックスとアリババの提携は長期的で戦略的である。順を追って展開し、現在のところスターバックスのコア業務に浸透し始めている。

・スターバックスにとって、デリバリーサービスを打ち出す以上マーケットへの機会となり、ブランドイメージに合わないと見なされる可能性もある。

・両者のコラボレーション事業はとても多いが、スターバックスは依然として自身の牙城である会員システムをしっかりと守っている。

デリバリーという事情から、スターバックスは最終的にアリババ傘下である餓了么との提携を選択した。

昨晩、「財経」では餓了么の情報筋から、スターバックスとアリババは強く結束し、餓了么がデリバリーサービスを請け負ったとの情報を得ており、このニュースは8月に正式に公開される。

36Krはこの事実について餓了么に対し裏付けを求めると、「スターバックスとアリババは一貫して長期的な戦略的提携パートナーとなり、上海のベーカリー工房内も含めて、両者は新しい小売りの新技術を共創する上で一貫して成果を獲得しており、将来的には、より大きなバーチャル空間で両者が新しい小売路線を探索する」と語った。

早期からスターバックスは中国におけるデリバリー事業の芽を出し始めており、オフィシャルにも、デリバリー事業に対する興味について幾度にも渡り表明してきた。

今年5月、「スターバックスが美団(Meituan)とのデリバリー事業で提携」という情報が流れ、その後で、スターバックスの中国CEO王静瑛が、「興味はあるが、どこと提携するかについて発言した事はない」と述べた。今年6月末の財務アナリストの会議の上で、スターバックスの社長兼CEOのKevin Johnsonは、中国地区のデリバリーサービスについての最新情報を発表し、中国チームはある大手IT企業とのデリバリー事業における提携事項と、さらに今年年末前には構成及び実行に移す予定である事を表明した。

今から考えると、この「大手IT企業」が餓了么を指していたのだった。美団ではなく餓了么を選択し、巨大な小売業界のレジェンド、スターバックスは、インターネット大手のアリババとタッグを組んだと表明した。

アリババとのタッグ

「財政」の報道によると、昨年末から餓了么とスターバックスがオフィシャルに関わり始めており、両者は2017年末から2018年初めに頻繁に接触し、最終的に2018年の中旬に、アリババが鍵となる役割を演じた。「馬雲(马云、ジャック・マー​)はスターバックスに対し、ある非常に良いオファーを提供する」と情報筋は語った。

スターバックスとアリババは何度も交流の場を設け、両社の提携は面から点となり、順を追って進めていった。

最初は、消費を促進する目的で、中国の消費者が慣れ親しんでいるオンライン決済の習慣に適応する為、スターバックスはアリババのアリペイ(支払宝、alipay)のシステムを借り、中国でのオンライン決済を拡大した。2017年9月25日、スターバックスはやっと中国の消費者向けに正式なアリペイのサービスを開放した。

その後、スターバックスとアリババはオンラインマーケティングにおいて提携をした。天猫(TianMao)のミニブラックボックスにこのキャリヤーを搭載する事で、両社の協力により録音機能付きのスターバックスギフトカードの機能を出して、流行を追求する若者を大量に引きつけた。スターバックスとアリババは技術面で協力をし、ARシーンの識別技術は実店舗への導入となった。

アリペイを通じて大量なモバイルユーザーを蓄積した後、今年6月、スターバックスはアリペイのミニプログラムに参画した。スターバックスのWeChatのミニプログラムと比較して、アリペイのミニプログラムは「指定時間予約」クーポンのプレゼント機能がついている。この機能は明らかにソーシャルDNAを兼ね備えており、すでに類似の瑞幸咖啡(luckin coffee)がWeChatのソーシャル・ネットを利用してコーヒーを互いに送り合うモデルになっている。この機能を使うユーザーはミニプログラムを利用して友人にスターバックスコーヒーを送る事ができる。アリペイと提携しながら、さらにソーシャルDNAのWeChat的要素を兼ね備え、すでにスターバックスの傾向を表した。

幾度にもわたる提携後の効果は顕著に表れ、これはスターバックスにアリババへの信頼感を蓄積させる事となり、両社のコラボレーションはスターバックスのコア事業へと転換し始めた。昨年末、馬雲は上海のベーカリー工房の開業式に自ら赴いており、両社の提携の時間軸がぴったりと合っていたという事も、「財経」に対して伝えていた。

今年7月、シュルツが訪中した。彼はロイター通信を通じて、馬雲は長年の友人だと発言し、両者共にビジネス領域の整合がスターバックスの核心のビジネスに浸透してきていると話した。間もなくデリバリー運営権を餓了么に与えると、シュルツは疑いを見せる事なく話した。

スターバックスは特徴的な店舗サービスによって中国の消費者のコーヒーを飲むという精神体験を向上させ、さらにコーヒー文化を普及させ、コーヒーイコールスターバックスというイメージが彼らの中に出来た。たとえコーヒーの客単価がはるかに市場の競合よりも高かったとしても、世間ではこれがスターバックスの中国での核心的競争力であると見ている。さらにデリバリーサービスを開始すれば、スターバックスは「スターのオーラ」を脱ぐという事で、アリババは完全に独自のルートを開放する事となる。

糖蜜かそれともヒ素か

アリババに追随する事は、中国市場の功績を上げる事に他ならない。

スターバックスは本日最新の財務データを発表した。情況が良くないのは、ずっとはかない拠り所とみなされてきた中国市場の落ち目にも見られる。財務報告書が示しているのは、中国のスターバックスセールスが初めて2%のマイナス成長だったという事である。

ここ数年来、中国市場で、瑞幸などの新型のコーヒーのデリバリー専門のモデルWeChatのソーシャル生態で、一、二線の都市で急速に発達している。これは中国の主要市場においてスターバックスに影響を及ぼした。スターバックスは中国で初の投資家大会の中で、「受けた影響はそれほどでもないが、中国での店鋪拡大や新しいセールス路線を創造しなければならない」と述べた。しかし近況から見て、スターバックスもすでに変革を意識すべき時が来ている。

しかし、運営権をデリバリー業者に委託する事が果たしてどんな結果を生むのかについては、まだ何とも言い難い。

普遍的な心配として、デリバリーサービスが現在のスターバックスのサプライチェーン管理体系への挑戦になるのではないかという事、スターバックスが長年かけて創り上げたブランドイメージを破壊されるのではないかという事である。これはもしかすると一時凌ぎかもしれない。

中国の多くの消費者は、スターバックスを選ぶのはただコーヒーを飲む為だけではなく、周囲へ自慢する為の消費で、一つのライフスタイルでもある。大多数の人の認知では、スターバックスを飲む事は瑞幸よりもはるかにセンスがあるとされている。

しかし依然としてスターバックスにとってはチャレンジの価値がある事で、現在のところ、スターバックスのモバイル決裁業務はたった13%を占めるにとどまっており、デリバリー業務には巨大な発展のスペースがあり、特に中国市場ではモバイル決裁の普及が十分にある。同時に、いったんデリバリーの業務が開始されたら、餓了么の助けを借りて、最後の1マイルとディストリビューションチェーンをより強化して消費者に近付け、顧客を増加させることとなり、スターバックスは、より実際の生活とマーケットに浸透していけるかもしれない。それ以外に、デリバリー業務に投資することは、より多くの店舗をオープンさせる事を意味しており、コストは増加するものの、スターバックスがより中国市場に浸透する事を可能にしていく。

現在のところ両者は具体的な提携については明かしていないが、スターバックスは小売業でよく使用する違うプロダクトを同時に売るという販売戦略の可能性を模倣し、デリバリーサービスの展開は価格ラインも場所も違う為、瑞幸などとの競合に対抗するシリーズの商品を出していく。

更に重要なのは、スターバックスはアリババという強大なパートナーがいる事である。

新しい小売領域において、アリババはすでに絶対的に優位な生態系を形成した。以前提携をした天猫(TianMao)、アリペイを参考にしても、これから提携をする餓了么について、アリババはオーダーメイドの新たな小売のアイディアを打ち出していく事が出来る。餓了么を例にとってみよう。アリババの現地生活を入り口として、餓了么がカバーする飲食・小売・即時配送・食品安全・健康など多くの領域にまたがっており、アリババの新たな小売戦略の中で重要な地位がある。

世界的に有名なコーヒーの老舗のスターバックスと提携し、アリババにとって、ブランドのイメージアップをも果たすことが出来、新しい消費のシーンをつくりだす事が出来る。アリババとテンセントはずっとスターバックスを奪い合ってきたが、ATにとって、スターバックス中上流階級の消費者層に対する最も優れたマーケティング方法の一つである。二社の競争はそれにとどまらず、長期的に見て、ATはまだ持続的に中上クラスの消費シーンを作り出す。スターバックスとオフライン決済、飲食、文化など多数のシーンとの融合により、コア会員を擁する会員システムをもって、ATにとって、大きな脂身である事は疑えない。ただし、現在スターバックスはしっかりとこの路線を守りつつ、ATに対して門戸を広げるつもりはない。

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