創薬のマイルストーン、米「Insilico Medicine」がAIで新薬を発見 時間とコストを大幅に削減

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創薬業界は、AIを使って開発を早めたり、成功率を高めたりすることで、「10億ドル(約1000億円)の予算で10年間」とされてきた新薬開発の状況を変えようと日々努力している。この業界のリーディングカンパニーの一つである「英矽智能(Insilico Medicine、インシリコ・メディシン)」が、このほどAIの可能性を証明する成果を挙げた。

同社は18カ月、予算260万ドル(約2億7000万円)で、薬理研究、標的分子の研究、新規化合物を完成させ、全く新しい作用機序を持つ新薬の発見に成功した。これは世界初の成果であり、創薬のマイルストーンと言える。

AIがもたらす低コストと短期間

インシリコ・メディシンが発見したのは、特発性肺線維症(IPF)の治療に用いることが可能な新薬で、すでにヒト細胞と動物による実験を完了しており、早ければ今年の年末から来年初頭にかけて治験に入るという。

インシリコ・メディシンが18カ月で新薬を発見した流れ

IPFの治療薬は主にスイスの製薬大手エフ・ホフマン・ラ・ロシュのピルフェニドンと、独製薬大手ベーリンガー・インゲルハイムのニンテダニブが使われている。上記2種類の薬剤の市場規模は2019年時点で3.1億ドル(約330億円)だ。

インシリコ・メディシンが発見した新規化合物の特徴は、新しい標的分子と作用機序を持つことにあり、そのため既存の薬剤と同時に投与できる可能性がある。また、ニンテダニブよりも症状抑制効果と安全性に優れている。さらに、服薬は1日1回のみであり、アドヒアランス(患者が治療方針の決定に参加し積極的に治療を受けること)が既存薬よりも高いことが期待される。

この標的分子は肝線維化、腎線維化、皮膚線維化にも効果があるとされている。肝・腎線維化の患者は世界でそれぞれ数千万人おり、皮膚線維化は約30万強だ。

今回の成果は低コストと短期間というだけでなく、創薬の産業チェーンに変革をもたらす可能性がある。従来の創薬はコストが巨額なため、複数の企業が提携することが通例だったが、企業間の連携がうまく取れないことがままあり、新薬の上市(市場販売を開始すること)を遅らせる一因となっていた。それが1社だけでできるようになれば、この課題を一気にクリアできることになる。

中国色豊かなインシリコ・メディシン

インシリコ・メディシンは2014年にジョンズ・ホプキンス大学で創設され、現在中国、米国、英国、ロシア、韓国、ナイジェリアに現地法人を持つ。同社は2019年に本社を米国から香港に移転しており、中国市場を重要視する姿勢を鮮明にした。

2019年には3700万ドル(約38億円)のシリーズBの資金調達も行われており、リードインベスターは「啓明創投(Qiming Venture Partners)」、コ・インベスターは「斯道資本(Eight Roads Ventures)」、「F-Prime Capital」、「礼来亜洲基金(Lilly Asia Ventures)」、「創新工場(Sinovation Ventures)」、バイドゥ傘下の「百度風投(Baidu Ventures)」、テマセク・ホールディングス傘下の「蘭亭投資(Pavilion Capital)」、「BOLD Capital Partners」などだ。

大手製薬メーカーもインシリコ・メディシンの技術を高く評価しており、すでにメルク・アンド・カンパニー、ファイザー、ベーリンガー・インゲルハイム、アステラス製薬、ヤンセン・ファーマなどが同社と提携している。

インシリコ・メディシンのAIが応用可能な分野

創薬は単に資金調達を繰り返すマネーゲームではなく、AIの実力を証明することが求められる。今後大手製薬メーカーがこの技術を導入するか、または治験で好ましい成果がでれば、AIによる創薬を目指す企業が収穫期に入る可能性がある。この業界ではほかにも中国の数社が新たな資金調達を完了しており、調達した資金は開発パイプラインを広めることに充てられるという。

(翻訳・小六)

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