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北京時間の2月27日、IoTプラットフォーム提供の「塗鴉智能(Tuya Smart)」が米国証券取引委員会に目論見書を提出した。同社は米国預託証券を発行する形でニューヨーク証券取引所に上場し、約1億ドル(約100億円)の調達を目指す。引受人はモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ証券、「中金公司(China International Capital Corporation)」だ。
2014年6月創業の塗鴉智能は、メーカー、OEM受託企業、小売チェーンのスマート化とビジネスモデルのアップグレード向けのIoTプラットフォームを提供しており、各種サービスをPaaS(Platform as a Service)、SaaSの形で行っている。顧客は製品開発や品質管理の効率化を支える標準化された機能をプラットフォームで選択し利用することができる。
売上高の80%以上がPaaS
目論見書によると、2020年12月31日時点での塗鴉智能の顧客は5000社以上で、メーカー、OEM受託企業のほか、サービスプロバイダやシステムインテグレータもある。2700以上のブランドが同社のPaaSを使ってスマートデバイスを開発しており、その中にはフィリップ、シュナイダーエレクトリック、パナソニック、レノボといった世界的な企業もある。世界の220の国と地域に塗鴉智能の利用者がおり、開発されたスマートデバイスの種類は1100以上に上る。
塗鴉智能の主要事業はIoT PaaS、スマートデバイスの販売、SaaSの3つである。この3事業の2020年の売上高はそれぞれ1.51677億ドル(約160億円)、2207.1万ドル(約23億円)、612.6万ドル(約6億4000万円)で、IoT PaaSが売上高の80%以上を占め、SaaSは4%未満となっている。粗利率はそれぞれ35.9%、13%、75.6%で、全体の粗利率は34.4%だ。
売上高は70%増、2年間の赤字は140億円
財務状況を見ると、2020年の塗鴉智能の売上高は1.799億ドル(約190億円)で、2019年より70%増えた。赤字は7047万ドル(約74億円)から6691万ドル(約70億円)に減少した。この2年間の赤字合計額は1.37億ドル(約140億円)となる。
赤字が嵩んでいるが、塗鴉智能の技術を利用したスマートデバイスの数は急増しており、目論見書によれば、2020年12月31日時点で2.043億台になる。一方、2019年末時点でスマホ・IoT家電大手シャオミのプラットフォームに接続しているIoTデバイスの数が2.348億台となっており、塗鴉智能はシャオミに迫る数だということになる。
海外市場が主な収益源
塗鴉智能の売上高の多くは海外市場によるものだ。特に中国市場に参入したいものの、中国のビジネス環境に不慣れな企業の利用が多い。こうした企業が顧客となることで、中国以外の国で展開する際も引き続き塗鴉智能のプラットフォームを利用することがあり、それらの利用により塗鴉智能が海外市場を開拓できている。
日本企業とのこうした提携の事例として、2018年にSoftBank C&Sと締結した戦略パートナーシップを挙げることができる。SoftBank C&Sを通して、さまざまな家電製品をIoT化する塗鴉智能のソリューションを日本に提供し、日本のIoTをサポートするものだ。
創業者はアリババ出身 テンセントが出資
IPOまでに塗鴉智能は4回の資金調達を公表しており、現時点での評価額は200億元(約3200億円)以上だ。テンセントは傘下の子会社経由で2019年と2021年に塗鴉智能に2回出資しており、合計額は2.5億ドル(約260億ドル)だ。
塗鴉智能の中心メンバーはすべてアリババ出身で、創業者でCEOの王学集氏はアリババクラウドの初代総経理でもあった。また、塗鴉智能の米国法人会長のジェフリー・イメルト氏はGEの元CEOだ。
(翻訳・小六)
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