CATLが独に工場建設 欧州に向けて拡大するEVメーカー、吉と出るか

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CATLが独に工場建設 欧州に向けて拡大するEVメーカー、吉と出るか

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中世、ヨーロッパ大陸の重要な貿易中継地点だった独テューリンゲン州エアフルトがいま再び注目を集めている。世界最大のバッテリー生産メーカーが工場を建設したためだ。

中国のビジネスマン曾毓群氏が創業し董事長を務める電気自動車(EV)用電池メーカー「CATL(寧徳時代)」はリチウムイオンバッテリーの製造では世界トップレベルだ。自動車に加え、エネルギー貯蔵システム、送電網などにバッテリーを提供している。CATLは今年、エアフルト郊外の工場でバッテリーの量産を開始した。同工場は創業わずか10年のCATLにとって初の海外工場となる。

20億ドル(約2130億円)をかけたこの工場建設は欧州メーカーの大きなプレッシャーとなった。エネルギー関連調査会社ブルームバーグNEF(以下BNEF)は欧州の電気自動車販売台数が2019年の50万台未満から2030年には770万台にまで飛躍的に増加すると予測している。しかし現時点で世界のEV用バッテリー生産量のうち79%を中国企業が占めており、業界トップの座を揺るぎのないものにしている。欧州企業が積極的に現地のサプライチェーン構築を加速しない限り、CATLなどアジアのメーカーがバッテリー生産を長期的に主導することになるだろう。

エアフルトの新工場は自動車業界のEV化において軽視できない流れだ。EVのニーズが増える中で、アジアの主要メーカーが直接欧米へと手を伸ばし始めている。

独エアフルトでのCATL工場建設時の様子 撮影:Martin Schutt

拡大する欧州市場

欧州の電気自動車販売台数は昨年初めて中国を超えた。BNEFによると、世界のバッテリー製造のうち欧州のシェアは2020年の6%から2025年には17%に上昇する見込みだという。またバイデン大統領就任後、米国の電気自動車の普及も加速すると予想されている。BNEFによると、2021年上半期の電気自動車販売台数は2019年同期と比べ30%増となる見込み。

韓国LGグループ傘下子会社「LGエネルギーソリューション(LG Energy Solution=旧LG化学のバッテリー事業)」はポーランドでの生産能力を強化すると同時に、ゼネラル・モーターズ(GM)とも23億ドル(約2400億円)を費やし米オハイオ州に新工場を建設することで合意している。さらに、ハンガリーにすでに工場を持つ韓国の大型エネルギー・化学工業企業「SKイノベーション」は今年、米国工場でEVバッテリーの試験生産を始めるとされている。また、パナソニックもノルウェーで電池工場の建設地を選定しているところだ。米テスラCEOのイーロン・マスク氏も以前、同社が独ベルリン近郊の新工場でバッテリーセルを生産すると明かしている。

2025年までの車載電池メーカー大手各社の生産能力(単位:GWh) 作図:BNEF

韓国のバッテリー業界専門市場調査機関「SNE Research」のデータでは、昨年販売されたEV車用バッテリー192.9ギガワット時(GWh)のうち、CATLとLGの二社で半分近くを占めるという。またBNEFのデータによると、CATLは2023年までに自社と合弁企業における生産能力を現在の4倍に当たる約263GWhにする計画だという。LGの生産能力も現在の倍以上となる見込み。SKイノベーションは2025年に世界での生産能力を100GWhとする目標を明かしている。

チャンスと課題

電気自動車は米国でも発展の新局面を迎えるだろう。バイデン大統領の当選および民主党が米上院で多数派を占めたことで電気自動車の普及が加速するはずだ。バイデン大統領は昨年12月、連邦政府が今後より多くの電気自動車を購入するとEV業界に誓約している。さらに昨年の選挙時には、今後10年以内に全米で50万カ所の充電スタンドを増設すると確約していた。BNEFの蓄電池分析部門長のジェームス・フリス氏は、もしこれらが実現すれば米国のバッテリー製造業の成長につながるだろうと語った。

2025年までの主要国バッテリー生産能力(単位:GWh) 作図:Bloomberg NEF

アジアの電池メーカーは軽視できない課題に直面しようとしている。米中間の貿易問題は中国メーカーにとって一定の制約となるかもしれない。韓国メーカーもまたビジネス以外のトラブルに巻き込まれている。2019年、LG化学はライバル企業 SKイノベーションが数十人の社員を引き抜き、営業秘密を盗んだとして米国で同社を起訴。今年2月にLGの主張は認められ、米国際貿易委員会(ITC)はSK側に米国への輸入禁止命令を下した。

技術の飛躍もトップ企業の地位を脅かすだろう。特別買収目的会社(SPAC)「ケンジントン・キャピタル・パートナーズ」董事長兼CEOのジャスティン・ミロー氏は、全固体電池に代表される新技術がより大規模でのパッケージ生産や充電速度の向上を可能にし、製品のさらなる安全性と低価格を実現させると語った。これによりトップ企業の大規模な生産ラインは時代遅れとなってしまうかもしれない。同社はすでに「ブランクチェック・カンパニー(将来会社を買収することを目的にし、具体的な事業計画を持たない会社)」を設立。昨年には全固体電池メーカーの米クアンタムスケープを合併することが決まっている。新規参入企業は「CATLのやりかたを真似して競争するのではない。新規参入ならではの強みが必要だ」とスイスの大手銀行UBS AGのアナリストであるBush氏は話している。

(翻訳・山口幸子)

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