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大人気ショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)の創業者張一鳴氏と、デリバリーを始めとする生活関連サービス大手「美団(MEITUAN)」の創業者王興氏は、ともに福建省出身だが、これまで2人の会社はそれぞれショート動画とフード・デリバリーを中心とし、事業に共通点はなかった。しかし、最新の動向を見ると、生活関連サービスにおいて両者の競争が起きそうである。
抖音はこのほど、共同購入機能の内部テストを開始した。これは美団の共同購入と似た機能である。抖音で利用可能なのはレストラン、ホテル、民泊で、利用可能な都市は北京、上海、成都、杭州などだ。
美団をコピーした抖音
抖音は2018年から生活関連サービスを試みている。これまで大きな成功は収めていないものの、この分野に進出する決意は揺らいでいない。
特に2020年10月から、バイトダンスのグループ人事部と戦略部が美団の生活関連サービスの事業構造を入念に研究しており、その結果が美団と似た形のサービスだ。抖音のアプリで自分のいる都市のタブを選択すると、表示されるページ名が「都市名+吃喝玩楽(「グルメと娯楽」の意)」となっていることがわかる。
抖音が2018年に生活関連サービスを始めたときは、各事業者や店舗が自分のアカウントから情報を発信していただけだったが、今回これらのアカウントを一つのタブに集めたのである。新しいタブの構造は美団の共同購入ページと似ており、レストランのランキング機能も美団傘下の「大衆点評(Dianping)」のランキングとほぼ同じだ。
新しいタブを使ってみたところ、共同購入、ランキングのほか、レストランのお気に入り登録やポイント機能もあることがわかった。また、共同購入は来店することを前提とする。レストランに関しては各店舗がクーポンを発行し、ユーザーがオンラインでクーポンを購入した後に来店し使うことになっている。ホテル、民泊に関しては、外部のプラットフォームがクーポンを提供している。美団のようなデリバリーサービスがないため、現時点での収益力は限定的だろう。
目指すは数十兆円規模の市場
生活関連サービスはすべてのインターネット大手が狙う市場である。2014年から2018年にかけて、中国の生活関連サービス市場は年平均41.3%というスピードで成長しており、2024年には2.8兆元(約38兆円)に達すると予想されている。一方、「艾瑞諮詢(iResearch)」によると、生活関連サービスの浸透率はまだ12.7%しかなく、まだまだ開拓の余地がある市場である。
では、抖音が生活関連サービスを手掛ける上での課題は何だろうか。
まず、抖音はあくまでショート動画プラットフォームであり、生活関連サービスがトップページに表示されていないため、多くのユーザーはサービスそのものに気づかない可能性がある。次に、事業規模がまだ小さいこともあり、デリバリーサービスを運営しておらず、外部のプラットフォームに頼っているため、多くの面で制約を受けることになる。
そして、なにより厳しいのは、生活関連サービスにはアリババ、美団、「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」のほかに、住宅地での共同購入を手掛ける企業など、強力なライバルがひしめき合っていることだ。特に美団は、10年前に数千もの共同購入企業が競争を広げた結果生き残った企業で、生活関連サービスを追加することで業界トップに君臨し続けてきた。その牙城を崩すのは簡単ではない。
抖音が頼れるのは、6.5億の日間アクティブユーザーと、情報発信に適したショート動画というメディアである。アリババと美団もライバルを狙い撃ちにした対策をとってくるはずで、今後の展開からは目が離せない。
(翻訳・小六)
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