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コンピュータビジョンを活用したソリューションを提供する「拡博智能(Clobotics)」がプレシリーズB-4で2億元(約33億円)を調達した。「三峡鑫泰(Sanxia Xintai)」が出資を主導し、「金浦資本(GP Capital)」「小苗朗程(Xiaomiao Longcheng)」、さらに既存株主の「中華開発資本(CDIB Capital)」「CDIB Partners」も出資を行った。資金は引き続き研究開発とグローバル事業の開拓に充てるという。
2016年に創業した拡博智能は、風力発電事業と小売業向けに機械学習、IoT、エッジコンピューティング、コンピュータビジョンなどのテクノロジーを活用したサービスを提供している。発明特許73件の出願を含め、これまでに出願および取得した知的財産権は合計115件に上る。
ブルームバーグNEFの調べによると、世界の発電量のうち風力発電が占める割合は2050年までに26%に達するという。2030年には風力発電機の平均使用年数が14年となり、海上風力発電機の保有台数は2018年の4%から11%に増加するという。風力発電機の大型化と老朽化により維持管理の重要性が高まる一方、管理の難しさも増している。マンパワーに依存した従来の維持管理方法では時間がかかり危険なうえ、検査精度が低いなどの問題があるため、業界全体でスマート化・無人化が急がれている。
このニーズに着目した拡博智能は発電機の巡回点検にドローン技術を導入、センサーと視覚認識を組み合わせ、風力発電機の点検業務をワンクリックで自動的に行えるようにした。同社が開発した異形ロボット点検修理技術はドローンの調査結果に基づいてブレードの研磨や塗装を行うもので、巡回点検から補修に至るクローズドループを実現した。さらにビッグデータに基づくモデリング・分析技術を活用した風力発電の維持管理デジタル管理プラットフォームとデータプラットフォームを構築しており、将来的には蓄積した修理案件をもとに予測メンテナンスを実施したいと考えている。
これまでは風力発電機1基を点検するのに作業員5人で6時間かかっていたが、ドローンとAIを活用した拡博智能の巡回点検サービスなら発電機の型式や角度を問わず、わずか15~25分で完了する。ドローンの組み立てから撤収まで含めても40分ほどと、所要時間は従来に比べて10分の1に短縮される。
同社は「竜源電力(Longyuan Power)」「華電(Huadian)」「株洲時代(Zhuzhou Times)」「洛陽双瑞(Luoyang sunrui)」「上海電気(Shanghai Electronic Group)」などの中国の風力発電大手に維持管理サービスを提供しているほか、シーメンスガメサやGEV Wind Powerとも戦略提携協議を結んでいる。厳治慶CEOによれば、同社が点検した世界の風力発電機は2020年末時点で1万4000基を超えたという。
小売業も拡博智能が着目する分野だ。メーカーが店舗を訪問して行う手作業の商品チェックは精度や効率が低いうえ、人件費やタイムラグなどの問題を抱えていたが、拡博智能はコンピュータビジョンとスマートデバイスを基盤としたサービスを打ち出し、商品の識別・分析や販売モニタリングなどを自動で行えるようにした。同様のサービスを提供する企業にはシンガポールの「Trax」などがある。
現在、拡博智能はコカ・コーラ、P&G、ウォルマート、アンハイザー・ブッシュ・インベブ、ニールセンなど大手企業にサービスを提供している。
厳CEOの話では今後も風力発電と小売業に注力し、引き続き技術や製品をブラッシュアップさせてグローバル市場の開拓を進めていくとのことだ。
(翻訳・畠中裕子)
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