1億6,750万元シリーズA完了、最新型VRヘッドセットPico G2販売へ
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36Krが入手した情報によると、VRヘッドセットメーカーPico(青島小鳥看看科技)が近日、1億6,750万元(約27億円)のシリーズAラウンドを完了するとのこと。今回の資金調達では、リード投資家は広発乾和と広発信徳、共同投資家は青島巨峰科技創業などである。2015年の創業以来、Picoにとって初めてのオープン型資金調達となる。
Picoは以前から36Krが注目、報道してきたベンチャー企業で、主な業務はVRヘッドセットの開発、生産及び販売である。2016年に、クアルコム820を搭載したスタンドアロンVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の初代モデルとして、「Pico Neo DK」を発表。以来、Goblinシリーズ製品を世に送り出し、2017年末には、6DoF (6方向のポジショニング自由)のスタンドアロンVR HMD「Pico Neo」を発表した。本日午後、PicoはスタンドアロンVR HMDの最新モデル「Pico G2」の発表会を北京で行った。
36Krが同社CEO周宏偉氏から得た情報によると、Picoのヘッドセット製品はこの一年間で約10万台を販売。業務用と一般向けとでは、製品比率は半々とのこと。業務用製品は、教育や不動産、保険、自動車、医療といった分野で活用され、中国人寿保険、蒙牛乳業、トヨタ、フォルクスワーゲンといった大手企業と業務提携を行っている。
VRヘッドセット製品以外にもPicoは、ARヘッドセット製品や3Dデプスカメラモジュール、コア・アルゴリズム、AI/IoTによるトータルソルーションなどの開発を行っている。同社の公式情報によると、PicoのAR製品は2019年に発売予定とのこと。3Dデプスカメラは、VR/AR製品に搭載されるほか、単体での需要もあり、疲労度測定といったシーンでの利用が見込めることから、すでに関連企業の協力を得ているという。
現時点では、Picoの主力はVRヘッドセットであり、売上げの大半を占める。周宏偉氏によると、今回の資金調達でも、VRヘッドセット分野の業績と将来性が投資家から評価されたという。
国内のVRヘッドセット業界は、FacebookがOculusを20億米ドル(約2,230億円)で買収したニュースに端を発し、2015年の市場にVR旋風が巻き起こったが、その後落ち着きを取り戻した。大手メーカーを除くと、Picoは高い販売実績を上げた数少ないブランドである。「スタイルとして、いち早くスタンドアロン型を開発したのが要因」と周宏偉氏は分析する。
ハイエンドPC対応VR、スタンドアロン型VR、スマホ対応VRという三つのスタイルが、VR製品の主流である。早い段階からVR領域に参入していたFacebook(Oculusを買収)、Steam(HTCと提携)、ソニーといったビッグプレーヤーは、いずれもハイエンドPC対応VRを開発し、体感も良いが、かなりの高価格だ。サムスンとOculusの提携によるスマホ対応VR、GoogleのCardboardといった製品が低価格を実現させると、スマホメーカーやニュープレーヤーが続々と業界参入した。
一方、Picoはスタンドアロン型を主力商品として選択した。スタンドアロンVR HMD「Pico Goblin」の販売を開始した昨年5月、36Krの取材に対し周宏偉氏は、「スタンドアロンこそ未来だ」と語った。当時の「Pico Goblin」は、クアルコムのSnapdragon 820プロセッサを搭載、画面解像度2560×1440、動作遅延を20ミリ秒まで短縮。3DoFの感覚的リモコンを含め、価格は1,899元だった。当時の市場ではコストパフォーマンス最高の製品で、業務向け、一般向けともに人気を得た。現在、この製品がPicoの売上げトップとなっている。
このところ、Oculus Goが199米ドルで、小米科技(シャオミ)が1,499元で、VR HMDの販売を開始するなど、スタンドアロン型HMDが売れ筋VR製品となりつつあると言ってよい。同時に、業務用としてもニーズが見込まれる製品スタイルである。逆にこれは、Picoにとって熾烈な競争の幕開けを意味する。今後はPicoらしさと価格の決定に対し、より敏感な対応が必要となる。
周宏偉氏はこう説明する。「Picoは引き続きスタンドアロン型HMDに重点を置く。『Pico Neo』については、技術的に総力を挙げたフラグシップモデルであり、GoblinのGシリーズは、一般ユーザーがターゲット。大手メーカーは標準規格タイプの製品提供には優れているが、カスタマイズには対応が難しい。業務用製品は、ほとんどが顧客からカスタマイズの要望を受けたものなので、その点でPicoは優勢にある。一般向けについては、小米がスタンドアロン型を販売した後も、『Pico Goblin』の販売台数は減っていない。将来的には、Picoのスタンドアロン型HMDシリーズは2,000元以下を検討しており、Picoらしさという点でも、小米のVR HMDとは一線を画している。今日の午後、『Pico G2』の新作発表会を行うので、今お話ししたようなことを実際に会場で体感してもらえれば」
Picoによると、ユーザーのVRニーズは主に映画観賞で、「Pico G2」では、この点への最適化を図ったとのこと。映画をきっかけにVR機能を知る人が増えれば、素晴らしい体験が人々の心をつかむことも期待できる。
VRヘッドセットメーカーは現在、業務用と一般向けの両方を製造販売しているため、価格設定のバランスに苦心している。低価格にすると、一般向けの売上げは上がるが、業務用の利益に影響が出る。高価格にすると、業務用では利益が保証されるが、一般向けの売上げは落ちる。このためPicoは、開発者向けライセンス製品を販売するOculus Goと同じ戦略をとっている。ただし、その分値段は高い。
VR業界の発展は、ヘッドセット本体がどれだけ普及するかにかかっているが、2019年は業界にとって好調な時期になるとPicoは見ている。IT調査会社IDCの予想によると、2020~2021年には、中国でのスタンドアロンVR HMDの一般販売台数は500万台に達しそうだという(全世界では、1,500万~2,000万台)。Picoにとってライバルとなるのは、ハイエンド路線を行く華為(ファーウェイ)、低価格路線を行く小米、他の中小企業が数社といったところ。市場シェア率20%が目標ラインとなるだろうが、その時期を待たずとも、販売台数30万台に達した時点で、Picoのキャッシュフローはプラスに転じそうである。