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電池のデータ分析と意思決定支援プラットフォームの「Fova Energy」がエンジェルラウンド+で数百万ドル(数億円)を調達したことがわかった。出資者は「順為資本(Shunwei Capital)」だ。調達した資金は人員拡充、製品開発、マーケティングに充てられる予定。同社は2020年12月に「真格基金(ZhenFund)」からエンジェルラウンドで約100万ドル(約1億円)を調達していた。
Fova Energyは2020年に創業した企業で、AIを使った電池の全ライフサイクルに渡るデータ分析と電池のリスクマネジメントを行うプラットフォームを運営している。
電池産業は近年目覚ましく成長しているが、電池の安全リスク、開発期間の長さと費用の高さなど、課題も顕著だ。Fova Energyのプラットフォームは、これらの課題を解決すべく誕生した。同社の苗昰CEOによると、電池の開発および生産段階においてはバッテリーセルのテストが必要となるが、Fova Energyのプラットフォームを使用すれば少ないデータでも電池の寿命を正確に予測できる。それにより、開発期間を短縮させることが可能だ。また、問題のある電池を出荷前に洗い出すことにもつながる。出荷後においても、Fova Energyは電池使用時のデータを収集し、バッテリーセルごとの中長期の状態を把握することで、電池の安全性向上を実現している。
電池の状態の予測は古くから行われていたが、従来の技術は電圧、電流、温度などをモニタリングし、その数値が正常かどうかを判断するものだ。しかし、電池は複雑な環境下で使用されるものであり、正常値であっても異常が発生する可能性がある。上記のデータだけではこうしたリスクを十分に判断できない。それに対し、Fova EnergyのプラットフォームはAIを駆使し、各数値を総合的に判断するもので、より迅速かつ正確に異常を識別することができる。
AIによるデータ分析のもう一つの強みは、使用環境を問わずに稼働できることだ。従来の技術ではテスト時に使用環境を想定した設定が必要で、カスタマイズ作業に時間がかかっていた。AIなら細部の微調整のみですぐに使え、顧客のニーズに迅速に対応できる。
上記の特徴により、Fova Energyのプラットフォームは実験室のみならず、製造や実用シーンでの使用も可能だ。この場合の分析に必要なデータは、電池メーカーが提供する事故データとFova Energyが採集したデータからなる。EV用電池の場合、Fova Energyは10秒ごとにデータを採集し、電池の出荷から回収までの15万〜20万キロの走行距離のデータすべてを集めている。
同社の技術は高く評価されており、すでにEV、電力貯蔵業界の有名企業が利用している。料金はSaaSとしての年間使用料か、利用回数・設備数に応じて徴収する形となる。
2021年の計画について、苗CEOは初代のプラットフォームを導入した顧客とともに改善を繰り返し、機能および使用可能なシーンを増やしていくとした。また、より一般的な汎用型プラットフォームは内部テストの最中で、2021年中頃に発表され、2021年下半期に大規模な宣伝が行われる予定だ。
調査会社の「Fior Markets」の集計によると、2030年までにEV用電池の市場規模は9530億ドル(約100兆円)となり、電力貯蔵用電池の市場規模は300億ドル(約3兆3000億円)となる。この巨大市場を狙って、Fova Energy以外にも「Twaice」、「Voltaiq」、「Qnovo」など電池分析やマネジメントを行うスタートアップが誕生した。そのなかでもFova Energyは、中心メンバーにマサチューセッツ工科大学出身の科学者を抱えるなど、高い技術力で一歩先を行く印象だ。
(翻訳・小六)
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