アリババ、個人向けクラウドストレージサービスのβテストを開始 バイドゥのシェアを奪えるか

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3月22日、アリババのクラウドストレージサービス「阿里雲盤(aliyundrive.com)」がβテストを開始した。現時点で公表された情報を見る限り、阿里雲盤の特徴はアップロード/ダウンロードともに制限速度なしであることと無料の大容量ストレージを条件付きで使用できることにあるようだ。

阿里雲盤のユーザーは、いくつかのタスクをこなせば2TBの無料ストレージを使用できる。また有料無料を問わず速度制限がなく、5G環境下では50〜100MB/秒の速さでダウンロードできるとされている。

クラウドストレージについては、数年前に中国で多数のプラットフォームが林立する競争が起きた。当時は、各社とも無料を売りにユーザーを獲得し、後から少しずつ有料サービスを追加していくという手法をとったが、有料ユーザーはそれほど増えなかった。さらに行政による規制の強化もあって、大多数のプラットフォームがこの市場から撤退した。

では、なぜアリババはこのタイミングで個人向けのクラウドストレージサービスを開始するのか。理由として考えられるのは次の2点だ。

まず、クラウドストレージに対するニーズが根強いことだ。今は誰もがスマートフォンに大量の画像、動画、音楽ファイルを保存しており、本体ストレージが足りないということがよくある。大容量のスマホに買い替えた場合、本体ストレージが倍増するごとに、価格が500元〜800元(約8500円〜約1万4000円)上がる。一方、それと同じ金額をクラウドストレージに使えば、iCouldなら2Tのストレージを1年間、バイドゥ(百度)なら、2〜3年使用できるのだ。

さらに、クラウドストレージの安全性や、需要に合わせていつでも容量拡大や解約ができるなどのメリットは、スマホにないものである。したがって、ストレージだけを使いたいのであれば、大容量スマホよりもクラウドストレージのほうがリーズナブルだと言える。それを裏付けるように、2019年11月時点の中国の個人向けクラウドストレージのアクティブユーザーは13.1億人に上っている。

次に、クラウドコンピューティングにおける自社シェアのさらなる拡大である。アリババは率先してクラウドコンピューティングに進出した企業の一つで、中国国内の他のインターネット大手をリードしてきた。しかし、ファーウェイ、テンセント、バイドゥなどライバル各社は着実に力をつけており、アリババのシェアが脅かされようになった。このタイミングで個人向けサービスを開始することは、クラウドコンピューティング全体の成長を再加速させるための措置だと言えよう。

では、アリババのクラウドストレージサービスに勝算はあるのだろうか。この分野では、バイドゥが大差でトップに君臨している。バイドゥは中国のクラウドストレージのシェアの85%を占め、ユーザー数は7億、有料会員は数千万人に上る。その強さはバイドゥがストレージサービスを単独上場させる報道が流れるほどで、その場合の評価額は300〜400億元(約5000億円〜8000億円)とされている。

アリババと異なるのは、バイドゥは無料ユーザーのダウンロード速度を制限し、より快適な有料会員へと誘導しようとするビジネスモデルだということだ。つまり、アリババの無料でも速度無制限という点は、まさにバイドゥを念頭に置いた措置だと言える。

果たしてアリババはバイドゥのシェアを奪えるのか。ユーザーの反応が楽しみだ。

原作者」「隣章」(WeChat ID:TMT317)

(翻訳・小六)

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