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サッカーの世界でAI技術の活用を進める中国の「微隊(MicroTeam)」がシリーズA1で数千万元(数億円)を調達したことがわかった。北京、上海、深圳の三つの投資機関による共同出資で、調達した資金は微隊がターゲットとする国のうち5〜10カ国のサプライチェーンの最適化や、アルゴリズムの更新・開発に用いられる。
微隊はクラウド化、AI化によってサッカーのデジタル化のための基盤を構築する。これまでに西レアル・マドリード、英アーセナル、伊ACミランなど、多くのサッカークラブの下部組織と提携しているほか、世界展開するサッカースクール「クーバー・コーチング」やスポーツゲーム専門ブランド「EA Sports」欧州本部、英・仏サッカー連盟などからのニーズに応え、試合やユース育成のインテリジェント化、リモート指導などに取り組んでいる。また、中国教育部や中国サッカー協会、中国国内の専門家らと「AIサッカー」のニーズを追求している。
運動データを収集する「AIシューズ」を発売
微隊の創業メンバーは通信機器大手ファーウェイ、民間用ドローン世界最大手DJI(大疆創新科技)、IT大手テンセントなどから集まったサッカー愛好者だ。調査の結果、サッカーには選手の運動に関するデータが不足していることが市場の痛点になっていることがわかり、プロ・ユース共通の強い需要に応じるかたちで創業に至ったという。
微隊は4年を経てサッカーに特化したアルゴリズム、フレキシブルプリント基板を開発し、2020年5月に国内外で3つの「AIシューズ」を発表した。アマチュア、プロ双方に向け、幼児から成人までの年齢層をターゲットとし、中国国内での価格は1388元(約2万3000円)から2688元(約4万5000円)で、1000元(約1万7000円)以下の製品も近く発売予定だ。
全選手の全動作を自動追跡
微隊の李有春CEOは、シューズがプレイヤーとボールをつなぎ、理論上高精度なヒューマン=ボール・データを形成するカギとなると説明する。ヒューマン=ボールセンサー、フレキシブルプリント基板、AIアルゴリズム技術を搭載したAIシューズは、試合やユース育成、リモートトレーニング、体感トレーニングなど多様なシナリオに対し効果をもたらす。屋外の試合においては、微隊のAIシューズはボールタッチ、ランニング、ドリブル、コンビネーション、ホットゾーンなど数百項目に及ぶヒューマン=ボール・データを収集する。プレイヤーやコーチは自身が追跡したいデータの種類を選択でき、問題点やフォーメーションをピンポイントで改善できる。データは可視化してソーシャルメディアでシェアすることも可能だ。
屋外で行われるユースのトレーニングでは、コーチの人数が限られる中、一度に数十人もの選手が一緒にトレーニングを行う。求められる動作ができているか、何回できたか、完成度はどの程度か、コーチがすべてを把握することはできない。微隊のAIシューズを着用すれば、シューズがコーチに替わって全選手のすべての動作を自動追跡し、評価・分析までしてくれる。
サッカーをデータ化する難しさ
サッカーのデータ化に関する潜在ユーザーは膨大な数に上るはずだが、なぜ関連市場は成長しないのか?李CEOによると、サッカーは複雑な運動を伴い、プレイヤーとボールを融合したデータを取得するのが困難なことが主因だという。サッカーは激しい運動であると同時にチームプレイだ。選手1人が1秒間でとるポジションニングは32種類だが、1チーム11人がフィールド上で行うボールタッチ、ドリブル、パス、ポジショニングなどの動作の組み合わせは1秒あたり1132通りもあり、2チーム22人のプレイヤーが行ったり来たりするサッカーの試合において、プレイヤーとボールを結びつけたデータを取得するのは極めて難しい。しかし、5Gネットワークの普及とチップやエッジコンピューティング、クラウドコンピューティングなどの処理能力向上により、AIがサッカーの発展を後押しできるチャンスが到来した。
微隊のAIシューズは、ヒューマン=ボールセンサー、加速度センサーおよびジャイロセンサーなどのモジュールからデータを取得し、時系列で動作・姿勢を認識する。収集したデータは強い時間特性を体現し、RNN(Recurrent Neural Network)やLSTM(Long-Short Term Memory)など多くの先進的な深層学習モデルがネットワークの記憶メカニズムを支援する。ネットワークが不安定な場合はデータ転送に失敗し、再接続を繰り返してユーザー体験が大幅に損なわれるが、現在はエッジコンピューティングが進化し、チップの演算力も大幅に上がった。微隊はフレキシブルプリント基板をベースとしたエッジコンピューティングチップをシューズに内蔵させ、リアルタイムで正確なデータを取得する。最先端のヒューマン=ボール・センシング技術とスマートデバイスによって、微隊はサッカーを取り巻くビッグデータとサッカーをインテリジェント化するデバイスのブルー・オーシャンを徐々に開拓しているのだ。
(翻訳・愛玉)
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