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3月24日、スマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米)が、シニア・バイス・プレジデント(SVP)の周受資(Shouzi Chew)氏が辞任したことを発表。その後周氏は自身の微博で、TikTokなどを手掛けるバイトダンスのシンガポール拠点のCFO(最高財務責任者)に着任することを発表した。
周氏の着任によって、バイトダンスの上場のための準備は完全に整ったと言える。
2021年は上場の好機
急成長を続けていながら未上場の有力企業として、バイトダンスの動向は近年注目されてきた。2020年下半期からはバイトダンス全体の上場、またはTikTokを単独上場させるなど、具体的な報道が増えてきている。
総合的にみて、2021年は上場の好機だと言える。まず、バイトダンス自身の業績が好調であること。2020年の売上高は前年比倍増の370億ドル(約4兆円)となり、営業利益も2倍近い70億ドル(約7700億円)超となった。
資本市場全体を見ても、2020年下半期からテック企業の上場が急増しており、そのトレンドは2021年上半期も続くとされている。理由として挙げられるのが、新型コロナの収束がまだ見通せないため、主要国がともに景気刺激策を取り、緩和基調が広がっていることだ。たとえば今年1月、バイデン政権が1.9兆ドル(約210兆円)の景気刺激策を公表したばかりで、セカンダリーマーケットにおいてはIPOの増加という形で影響が現れるだろう。
バイトダンスの直近の資金調達は昨年末で、当時の評価額は1800億ドル(約20兆円)だった。上場した場合の時価総額はどれくらいになるのだろうか。参考になるのがショート動画分野のライバルである「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」だ。快手は今年2月5日に香港で上場し、上場当日の時価総額は最高で1.39兆香港ドル(約19兆円)だった。
快手と比較すると、バイトダンスが手掛ける「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」のユーザー数は4億超で前者の2倍だ。また、2020年売上高では快手が587.8億元(約1兆円)、バイトダンスが2400億元(約4兆円)だ。単純計算すれば、バイトダンスの時価総額は快手の3〜4倍となる可能性がある。
バイトダンスを熟知する周受資氏
このように上場が期待されているバイトダンスだが、同社にはこれまで専任のCFOがいなかった。CFOは通常上場するために必須のポストだとされており、今回周氏が就任したことによって、準備が完全に整ったと言える。
周氏の経歴から言えば、上場を目指す企業のCFO職は適任だ。シンガポール出身の彼は母国で兵役に服した後にロンドン大学で学び、卒業後はゴールドマン・サックスに入社、さらにハーバード大学MBA課程でも学んだ。2010年にはロシアの大手VC「DST(Digital Sky Technologies)」に入った。DSTはFacebook、Twitter、Groupon、Airbnbなど著名なインターネット企業へ出資しており、当時中国への進出を模索していた。
周氏の加入後、DSTは中国での最初の投資先に「京東(JD.com)」を選び、その成功で周氏は一気に中国で有名人になった。その後のDSTはシャオミ、アリババ、DiDi、バイトダンスに相次いで投資した。
2015年7月、シャオミの雷軍CEOに招聘される形で、周氏はシャオミのCFOに就任し、当時のシャオミでもっとも若い高級管理職となった。2018年にシャオミは香港で上場し、香港市場初の議決権が異なる種類株を発行する企業となった。この上場の成功は周氏のキャリアのハイライトだと言えよう。
バイトダンスも社内向けメールで、「周氏は当社の事業、チーム、企業文化を熟知している」と評価する。シャオミを上場させたこと、そしてDST時代にバイトダンスへ投資したことからすれば、周氏がバイトダンスのCFOに就任し、バイトダンスの上場を主導することは間違いない。
準備は整った、あとはバイトダンスの上場を待つのみだ。
原作者:億欧網(ID:i-yiou)、聴雨
(翻訳・小六)
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