半導体チップが世界的に不足 中国蔚来汽車(NIO)が生産停止の5日間

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半導体チップが世界的に不足 中国蔚来汽車(NIO)が生産停止の5日間

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新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」は、3月末より合肥工場の生産を5営業日停止することを決定して生産停止し、4月3日に生産を再開した。これは昨年の新型コロナ禍以降で最も長い生産停止だ。

生産停止の理由は半導体チップ不足で、半導体チップ不足は蔚来だけではなく自動車産業全体が昨年末から直面している課題である。

蔚来の納車に影響なし

合肥工場総経理の辜向利氏は、「半導体チップは慢性的に不足しているものの、3月末まで生産に影響はなかったため、今回の生産停止前に残業を増やし、6月納車分まで生産済みだ」と話している。

つまり、今年上半期の蔚来の納車には生産停止による影響はないということだ。公式情報によると、今年3月の蔚来の納車台数は7257台で、前年比で373.4%増えた。今年第1四半期の累計納車台数は2万60台で、同社が公表した2万から2万500台という予想の範囲内となった。

画像は蔚来の公式サイトより

生産停止の間に蔚来は生産ラインの効率改善を行った。辜向利氏は「1時間あたり60台生産とし、年末までに年間30万台の生産体制を整えたい」としている。

現在の蔚来の月間生産台数は1万台だが、半導体と電池不足のため実際は7500台にとどまっている。同社創業者で董事長の李斌氏の予想では、今年7月に通常通り生産できるようになるという。

半導体の供給は第3四半期に回復か

半導体不足は世界中の自動車メーカーを悩ませる課題となっている。中国国内では、新興EVメーカーの「理想汽車(Li Auto)」や「小鵬汽車(Xpeng)」は現時点では生産に影響がないとしているが、大手自動車メーカーの「吉利(GEELY)」は、これまで3カ月ごとに行っていた生産計画の変更を、1時間ごとに行うようにするなど大幅な調整に追われている。

海外の自動車メーカーへの影響はより深刻だ。テスラのイーロン・マスクCEOは第4四半期の財務レポート電話会議において、半導体不足はテスラの生産に短期的な影響を与える可能性があり、最大限の努力で問題解決に取り組んでいると話した。ヒュンダイは3月29日に工場を1週間閉鎖すると発表。今年3月だけで、12の自動車メーカーが減産または生産停止を発表した。

フォルクスワーゲンは半導体不足のため、第1四半期の自動車生産台数が予定より10万台減少すると発表し、ゼネラル・モーターズは北米での減産期間を延長した。調査会社「AutoForecast Solutions」の試算によると、3月29日までに半導体不足による自動車の減産は全世界で115.7万台に上り、2021年全体では200万台超となる見込みだ。

画像は蔚来の公式サイトより

さらに予想外のトラブルも重なった。3月22日、自動車向け半導体では世界第3位のルネサスの工場の一つで火災が発生し、生産再開まで1カ月かかることが発表された。自動車向け半導体トップと第2位のNXPセミコンダクターズとインフィニオンも、今年年初に米テキサス州を襲った暴風雪で生産を一時停止した。

「中信証券(CITIC Securities)」では、2021年第4四半期まで半導体不足が続くと予想し、特に第2四半期までは不足が深刻な状態になるとしている。調査会社の「IHS Markit」は第3四半期に自動車向けの半導体は通常通りの供給体制にもどると予想している。

半導体不足はいずれ解消すると考えられるが、多くの自動車メーカーはすでに半導体の調達体制の見直しを始めている。中国の自動車向け半導体の業界団体「中国汽車芯片産業創新戦略連盟」の集計によると、2019年に中国が開発した自動車向け半導体は世界シェアの4.5%しかなく、海外の半導体への依存度を下げることが急務だ。

そこで、チップの自社開発を開始する企業が出てきた。たとえばEV大手のBYDは2020年末に半導体事業を分社化させ、単独上場を視野に入れている。また、吉利グループの董事長李書福氏は、吉利独自開発のチップを2023年に自動車に搭載すると発表した。

他方、チップ開発に慎重な姿勢を崩さない企業もある。蔚来の李斌氏は、チップの開発にはユーザー・エクスペリエンスや付加価値の向上、またはコスト抑制など十分な根拠が必要であり、それが見えない状況では開発すべきではないとしている。

(翻訳・小六)

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