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3月30日夜、スマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米)が、自動車事業を行う100%子会社を設立する旨の公告を発表した。開発するのはスマートEVで、初期投資額は100億元(約1700億円)、今後10年間で合計100億ドル(約1兆1000億円)を投資する予定だ。シャオミの雷軍CEOが子会社のCEOを兼任することも併せて発表された。
早くから自動車事業を準備
シャオミや雷軍氏は早くから自動車事業のために準備をしてきた。
雷氏が創設した「順為資本(Shunwei Capital)」は新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」と「小鵬汽車(Xpeng)」に出資しており、シャオミのスマホにBYDや小鵬汽車のドアを解錠できる機能を内蔵し、蔚来汽車のスマートコントロール機能も備えている。ほかにも、国産大手の「一汽轎車(FAW Car)」とスマートカーに関する協力契約を締結している。
また、シャオミのエコシステムには車載スマート製品を開発する企業が複数あり、シャオミ自身も2015年から2020年にかけて自動車に関する特許を約800件取得している。これらのことからすれば、シャオミの自動車産業への進出は、満を持してのことだと言える。
スマートフォンを製造するようにクルマを作る
シャオミがどのような体制でクルマを製造するのかが注目されているが、消息筋によると、アセンブリを外部委託する予定だという。これは同社のスマホ製造と同じ体制である。
スマホの委託製造において最も成功したのはアップルと台湾のフォックスコンの提携であり、アップルのイノベーションとフォックスコンの製造能力が融合した結果、ノキアの牙城を崩すことに成功した。
それに続いた中国の各社も同じ手法を採用した。シャオミは2011年にスマホの開発を発表し、「OPPO」、「vivo」は同年に初のスマホを発売した。ファーウェイのスマホ参入は2012年だった。2011年前後にこれらの企業が一気にスマホ産業に進出し急成長できたのは、スマホの産業チェーンが十分に成長していたためだ。
テック大手がこぞって自動車製造に乗り出す今の状況は、当時のスマホ業界と似ている。そのベースにあるのも、同じくEVの産業チェーンの成長により、迅速に製品化できるようになったためだ。それだけに、どこに生産を委託するのかが大事になる。
蔚来は「江淮汽車(JAC Motors)」、「長安汽車(Changan Automobile)」、「広州汽車集団(GAC Group)」に生産を委託しており、コスト抑制および開発から量産化までの時間短縮を実現した。他方、自動車がスマホよりはるかに複雑な製品であることから、委託生産に慎重な企業もある。同じく新興EVメーカーの「威馬汽車(WM Motor)」は、委託生産では品質コントロールが難しいと考え、自社工場に巨額の投資をしている。
このように、新興EVメーカーでも委託生産をするかどうかで方針が分かれている。しかし、シャオミ、アップル、バイドゥ(百度)のような後発企業からすれば、テスラがすでに安定した収益モデルを確立させ、蔚来、「理想汽車(Li Auto)」、小鵬が上場した今、自社工場を作っていては参入があまりにも遅れてしまう恐れがある。
したがって、テック大手の参入により、かつてスマホ産業がそうであったように、委託生産モデルで自動車産業の変革を導く可能性がある。シャオミはまさにスマホ市場の構造を変えた企業であり、自動車産業にもサプライズを起こせるのか、今後も目が離せない。
原作者:「深響」(Wechat ID:deep-echo) 周永亮
(翻訳・小六)
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