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2021年ショート動画の三国志 抖音(TikTok)、快手、WeChatの戦略を徹底分析

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2021年、中国のショート動画分野で最も熾烈かつ見応えのある戦いの主役は「抖音(Douyin、TikTokの本国版)」と「快手(Kuaishou、海外版は『Kwai』)」、そしてWeChatの動画アカウント「視頻号(channels)」だろう。

3社にはそれぞれの特徴があり、強みや戦略も異なる。快手は抖音に対する防御態勢を固め、EC事業を重要拠点にしたい考えだ。抖音はWeChat視頻号の脅威に対抗するため、コミュニケーション機能向上に重点を置いている。WeChat視頻号はショート動画とライブ配信コンテンツの境界線を広げ、SNSというWeChatの強みを生かしたロングテール・コンテンツを強化し、最終的には抖音とは異なるコンテンツエコシステムを作り上げることを目指している。

抖音:コミュニケーション機能を高め、ECのクローズドループを構築

6億人に迫るデイリーアクティブユーザー(DAU)を抱える抖音はショート動画分野におけるトップの地位を確たるものにしているが、コンテンツやビジネス化の面で分岐点に差し掛かっている。著作権や知的財産権(IP)の買い付けを進めるかどうか、EC事業の拡大に力を入れるかどうか、経営陣の前にはさまざまな選択に直面している。

しかし、抖音にとって今年まず取り組むべき喫緊の課題は、急速に勢力を伸ばす視頻号への防御を固めることだ。ショート動画を巡る戦いにおいてコミュニケーション機能は重要な武器となるかもしれない。抖音はこれまで「友だちグループ」タブや「日記モード」などWeChat「モーメンツ」に似たコミュニケーション機能に加え、春節期間の紅包(お年玉)企画を相次いで打ち出してきた。抖音総裁の張楠氏が語った「抖音はSNSであり、ライフスタイルのログでもある」という言葉からも、コミュニケーション機能強化への野心がうかがい知れる。運営会社のバイトダンス(字節跳動)がSNS分野でいまだ目立った成果を上げていないことを考えると、コンテンツをベースにコミュニケーション機能の強化することは長期戦になると思われる。

EC事業を巡る動きも少なくない。2020年にバイトダンスはEC事業部を設立、抖音アプリ内のEC機能「抖音小店」で外部へのリンクを廃止し、独自の決済サービスをリリースするなど、クローズドループの構築を急いでいる。EC事業本部を上海に移転するという計画も明らかになった。抖音EC事業は今年も、自社プラットフォーム内で取引を完結させるクローズドループを重点的に強化していくとみられ、それは貴重なデータを自社内に蓄積していくことにもつながる。

快手:重点分野はEC事業、ユーザー層拡大は持久戦に

ショート動画分野で快手はライブ配信1位、ショート動画DAUが2位、ライブコマースも2位につけている。とはいえ、ライブ配信はもはや急成長分野ではない。アプリユーザー数も抖音に大きく水をあけられており、ユーザー層拡大や表示形式の刷新も始まったばかりだ。広告事業も短期間で抖音に追いつくことは難しい。快手にとって参入が容易で、実力を誇示できるフィールドと言えるのはEC事業だけだ。

快手はEC事業における2020年のGMV(流通総額)目標を2500億元(約4兆2000億円)に設定したが、同年11月時点ですでに3000億元(約5兆円)を上回った。2021年は、コミュニティー特性を生かしながらGMVの最高額を実現すると予想されるほか、マネタイズの強化にもいっそう力を入れるとみられる。

GMV規模の拡大を狙う快手は、抖音と異なりECのクローズドループ構築には慎重な姿勢をとっており、短期的には「タオバオ(淘宝)」や「拼多多(Pinduoduo)」など外部のECプラットフォームへのリンクを廃止することはないとしている。

快手は地方都市や農村部のユーザー向けというイメージを払拭し、ユーザー層の拡大を図る戦略を今年もそのまま維持するとみられる。ただ周杰倫(ジェイ・チョウ)など人気芸能人を複数引き入れたものの、快手にとって価値のある一級、二級都市のユーザー比率は依然として低いままだ。ユーザー層の拡大は3~5年を要する長期戦となるだろう。

視頻号:位置づけは「一般ユーザーの交流の場」

WeChatは2020年初めに視頻号を打ち出してショート動画に参入し、同年末にはDAUが2億8000万人を突破した。今年1月の大型アップデートで、視頻号はさらなる攻勢を仕掛けている。ショート動画分野では抖音と快手の二強時代が3年以上続いてきたが、テンセントがこの構図を打ち破りそうな勢いだ。

コンテンツに関して言えば、視頻号の歩む道はいまだ険しいものだ。現時点でのクオリティーやバリエーションではWeChatエコシステムにおけるトラフィックや配信、ビジネス化の期待に応えるのは難しいと言わざるを得ない。

しかし、視頻号は独自のカラーを見つけつつある。SNSがベースになっている視頻号にとって、ライブ配信はもはやインフルエンサーの作り込まれた作品を披露する場所ではなく、むしろ一般ユーザーが日常をシェアする交流の場となっている。この先、DAUの順調な増加、有力インフルエンサーの引き抜きやビジネス化の模索が、抖音との勝敗を決める最後の一打となるはずだ。
(翻訳・畠中裕子)

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