OPPOのIoT事業部が再出発、独自裁量に任せてイノベーションを促進

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中国のスマートフォン大手OPPOは、これまでIoT事業を担ってきた「インテリジェントモバイル端末事業部」を「IoT事業グループ」と改称し、管轄する製品別に三つの事業ユニットに分けたことがわかった。スマートウォッチやスマートブレスレットを手がけるウェアラブル製品事業、テレビを手がけるスマートスクリーン事業、イヤホンを手がける音響機器事業の三つで構成される。

IoTが独立した事業グループとして仕切り直しされたのは、同事業グループが今後は独自に決定権を有し、上層部からの干渉を受けないためだという。無論、業績に関しても責任を負うことになる。

OPPOのインテリジェントモバイル端末事業部は2019年1月に設立された。OPPO創業者の陳明永氏は同年12月、同社が今後はIoT事業に全力投球していくと表明し、スマートフォンメーカーからコネクティビティ全般を手がける企業に生まれ変わらせるとした。

しかし、同事業部は設立からの2年で本格的にエンジンがかかることはなかったようだ。

OPPOの社員によると、同社のIoT事業は一貫して赤字で推移しており、昨年の損失額は数億元(数十億円)に上るという。スマートウォッチ、スマートブレスレット、イヤホンなどの製品リリースも決して頻繁とはいえず、ヒット商品にも恵まれない。スマートテレビ「OPPO TV S1」「OPPO TV R1」がようやく昨年後半に発表されたが、VRグラスはまだ量産化にも至っていない。

OPPOは4月中旬、インテリジェントモバイル端末事業部に宛てた文書の中で、新事業グループのメンバーの報酬やインセンティブは経営目標の達成度と連動させるとし、「事業グループの業績が良好ならスタッフは手厚いリターンが得られるが、業績が芳しくなければ、収入減のリスクにさらされることになる」と記載している。

さらに、会社とIoT事業グループの各ユニット責任者でマネジメントチームを選抜し、事業戦略や職能評価、ブランドの質などで管理を行っていくこと、会社側からIoT事業グループに対しては人事や財務面で後方支援を行っていくとした。

改革を進める理由として、OPPOは「新興モバイル機器メーカーはこれまで『同じ釜の飯』でやってきたが、これでは積極的に革新を求めるモチベーションが充分に生まれない」と説明する。「我々は事業部署の再編に牽引させる形で、メンバーの起業家精神を刺激したい」とも綴った。

調査会社カナリスのデータでは、2017年〜2020年の中国市場におけるスマートフォンの出荷台数は年を追うごとに下降傾向に転じ、市場が飽和状態となってきている。OPPO以外にもファーウェイ、vivo、Honor、ZTEといった大手メーカーは過去数年、IoT事業への転換に活路を見出そうとしており、スマートフォンを中心に据え、数多くのスマートデバイスを連携させる戦略を採っている。

IoT製品の客単価はスマートフォンより低く、ユーザーにより頻繁に購入を促せるほか、スマートフォンの利用体験をより拡充させられる。さらに、スマートフォンでの成功体験を他のシナリオにも流用できる利点がある。多くのスマートフォンブランドがこうした戦略に舵を切るのも不思議ではない。

OPPOはファーウェイやシャオミ(Xiaomi)と比べ、IoT事業への着手が遅れた。2019年になって同社の劉暢副総裁が初めて、エンターテイメント、住環境、スポーツ&ヘルスを三大シナリオとするIoTエコシステムについて言及している。

OPPOは自社の遅れを明らかに認識している。

今年になってやや状況は替わり、OPPOはスマートフォンの新商品発表会でスマートテレビの発表も予定するほか、ロボット掃除機メーカーの「雲鼠科技開発(Umouse Technology Development)」の株式を取得している。

OPPOの事業モデル転換は、ハイエンドスマートフォンに加えてIoTが引き続き担うことは間違いない。
(翻訳・愛玉)

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