新興コーヒーブランド「Manner Coffee」、1店舗あたりの評価額がスターバックスの3倍 その秘密は(下)

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新興コーヒーブランド「Manner Coffee」、1店舗あたりの評価額がスターバックスの3倍 その秘密は(下)

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昨年末、2015年設立のコーヒーブランド「Manner Coffee」が10億ドル(約1100億円)を調達し、さらにそのわずか2カ月後に同社の評価額は約13億ドル(約1400億円)になった。株主は「今日資本(Capital Today)」、ヘッジ・ファンド「Coatue Management(コーチュー ・マネジメント)」およびシンガポール政府系基金「テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)」だ。

驚くべきことに、昨年末Mannerの店舗は中国全土に108店しかなかった。ということは、投資側の評価額は1店舗あたり1200万ドル(約13億円)になる。

一方で、世界に3万店以上を擁するスターバックスの場合、最近の株価の終値で計算すると1店舗あたり417万ドル(約4億5000万円)でMannerの3分の1にとどまる。ラッキンコーヒーは時価総額が21億ドル(約2300億円)で、4800店舗で計算すると1店舗当たりの評価額は44万ドル(約4800万円)だ。

36Krまとめ

神話は続く。一部の投資家は、Mannerが中国におけるスターバックスの最大のライバルとみる。1店舗あたりの収益力が極めて高いからだ。Mannerの評価額を30億ドル(約3300億円)とした機関もあるといううわさだ。

Mannerの評価額はなぜこれほど高いのか。Mannerの元従業員、コーヒー事業の創業者、商社やと投資家への取材を経て、36Krが答えを導き出した。

前篇:「安くておいしい」の秘密

フランチャイズ展開の難題に挑む

設立から5年半、Mannerは大きく3つの成長ステージを経てきた。

  1. 15年10月~18年10月、創業から出店スピードは遅く、店舗数は7店程度。主にカウンターあるいはテイクアウト専門店。
  2. 18年10月~20年5月、今日資本の出資後店舗数が急速に拡大、1店舗当たり20~30平米。
  3. 20年6月以降、1店舗当たり50平米に拡大、ベーカリーや軽食が取れる200平米以上の店舗が増加。

特筆すべきは、H capital、Coatue、テマセクなど大手投資機関が参加した直近2回の資金調達は第3ステージに入ってからであり、中国のスペシャルティコーヒーチェーンの規模拡張能力を高く買ったと言える。

スターバックスやラッキンコーヒーなどに比べ、スペシャルティコーヒーの標準化は難しい。

スペシャルティコーヒーは高品質のコーヒー豆を使い、コーヒー豆の産地ごとの風味を引き出す。Mannerは設立当初から創業者の韓氏が自ら豆を焙煎し、19年からは焙煎工場を設立して原料とコーヒーの設備を提供してきた。これによりMannerは生産能力と品質を安定させてきたが、本当に規模を拡張するには淹れ方の標準化が最後の関門になる。

スターバックス、ラッキンコーヒーは全完全自動コーヒーメーカーを使うが、 Mannerはラ・マルゾッコ社の半自動コーヒーメーカーを使用する。半自動のほうがおいしいコーヒーを作れるが、使いこなすにはバリスタの雇用や研修が必要で大量の資金と労力がかかる。

Mannerの思考は明快だ。コーヒーを作る人の能力を高めて製品の差別化を図り、さらにはブランドの競争力とする。ただし、コストはかさむ。

上海から全国へ

目下Mannerは急成長期にあり、今年は200店を新規出店して総店舗数を300店にし、上海、北京、深圳を中心としながら全国にも展開する計画だ。

実際、Mannerは19年から続々と蘇州、成都、北京、深圳などの大都市に進出しているが、業績には差がある。開店から1年経ち、北京、深圳では1日の売上高は安定して約1万元(約17万円)だが、蘇州、成都では見劣りする。

会計・ コンサルティング大手デロイトは「中国の挽き立てコーヒー業界白書」において、コーヒーを飲む習慣のある消費者のうち、中国の一線都市では1人当たりのコーヒー消費量は326杯で米、日、韓など成熟市場のレベルに達しており、二線都市ではややそれに劣る同261杯と指摘している。市場の潜在力はなお大きく、Mannerが全国的なコーヒーチェーンブランドになるのは時間の問題かもしれない。

(翻訳・二胡)

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