京東物流が香港上場 時価総額4兆円に迫る

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中国のEコマース大手「京東集団(JD.com)」の物流子会社「京東物流(JD Logistics)」が28日、香港に上場した。上場初日、同社の株価は取引開始時に15%上げて46.2香港ドル(約653円)をつけ、時価総額は2800億香港ドル(約3兆9600億円)を超えた。昨年の売上高が734億元(約1兆2700億円)だったことからPSR(株価売上高倍率)は3.1となり、同じく中国の大手物流会社「SFエクスプレス(順豊速運)」の2.1を上回った。

京東物流はソフトバンクを筆頭に、シンガポールの政府系基金テマセク・ホールディングスや米ブラックストーン・グループ、中国国有企業結構調整基金(CHINA STRUCTURAL REFORM FUND)、ソロス系ファンドのMatthews Funds、投資運用会社オークツリー・キャピタルなど7社のコーナーストーン投資家を確保し、合計15億2900万ドル(約1700億円)の出資を取り付けていた。

上場目論見書によると、京東物流の売上高は2018年の379億元(約6500億円)から2020年には734億元(約1兆2700億円)に増加しており、年平均成長率(CAGR)は40%。今年第1四半期の売上高は前年同期比64.1%増の224億元(約3900億円)に上った。急速に売上高を伸ばすと同時に、売上総利益および売上総利益率も伸ばしており、売上総利益は2018年の11億元(約190億円)から2020年には63億元(約1100億円)でCAGRは141%、売上総利益率は2018年の2.9%から2020年には8.6%となっている。

地方市場のインフラ建設に向けた資金投入を強化したことに加え、公正価値で評価する損益により、京東物流の昨年の純損失は40億3700万元(約700億円)に達したが、48億6000万元(約840億円)に上る優先株式の公正価値の変動分を除けば調整後純利益は17億1000万元(約290億円)となり、すでに黒字化への道筋はつきつつあることがわかる。

京東物流の経営データ(目論見書より)

市場では評価が割れるものの、京東物流が描く長期成長の青写真は基本的には明確だといえる。

理由の一つは、京東物流の事業が依然として親会社の小売事業と深く結びついていることだ。京東物流の業績は、中短期的にはECプラットフォーム「京東商城(JD.com)」のGMV(流通取引総額)と連動しており、とくに地方市場をターゲットとした共同購入サービス「京喜(Jingxi)」の動向が、京東物流の今後の成長を一部握っているといってもいい。

理由の二つ目は、サプライチェーン統合事業が京東物流の収入を引き上げる主役となっていることだ。目論見書によると、同事業の売上高は2018年の341億元(約5900億円)から2020年には556億元(約9600億円)となっており、CAGRは約28%で、売上高全体に占める割合は7割超となっている。

中国の投資コンサル「灼識諮詢(China Insights Consultancy)」によると、中国の物流サプライチェーン統合市場は2020年に2兆元(約34兆4800億円)規模に達しており、2025年には3兆元(約51兆7100億円)にまで拡大すると予想されている。同市場で大きなシェアを握るプレイヤーは現段階では不在で、京東物流の占めるシェアも約2.7%にとどまるが、将来的に伸びるのは確実だ。

京東物流の上場に伴う京東集団の株価の変動は小さく、28日時点で285.4香港ドル(約4033円)と微増に留まった。
(翻訳・愛玉)

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