「中国のテスラ」蔚来汽車がNY上場、黒字化には課題山積み
12日にニューヨーク証券取引所に上場した中国の電気自動車(EV)メーカー蔚来汽車(NIO)の株価は、13日に75%上昇し、11.6ドルで取引を終えた。時価総額は100億ドル(約1兆1000億円)を超え、この日の数字だけを見れば、中国の自動車メーカーの中で5番目に時価総額が高い企業になった。
NIOの株式公開(IPO)は10億ドル規模で、IPO価格は目標価格の下限の6.25ドルだった。上場初日の12日は株価が一時、5.35ドルに下落する場面もあった。
NIOは創業3年で109億元(約1800億円)の赤字を計上。これまでの納車台数は1381台にとどまり、売上高は約4600万元だ。現在は投資段階で、黒字化の道のりは長く険しい。
華泰証券自動車チーフアナリストの謝志才氏は、「NIOが順調に上場できたのは、投資家が大きなリスクを引き受けて成長に賭けていることの表れだ」と述べた。
8年連続で赤字を出しながら、高い評価を受けているテスラと近い存在と見られているのだろう。
■創業以来、赤字1800億円
自動車製造は、投資のかさむ産業だ。NIO創業者の李斌CEOは、「自動車を1から作るには、200億元がかかる」と語ったことがある。
この2年半で109億元の赤字を計上したNIOは、今年前半にさらに30億元の赤字を出した。手元のキャッシュは、IPOで調達した分も含め112億元。
NIOはIPOの目論見書で、調達資金の40%を研究開発に、25%を販管費用に、25%を生産製造設備とサプライチェーンの整備に、残り10%をオペレーションなどに使うとしている。
2018年前半、NIOは研究開発費と販管費で32億元を使い、これが赤字の要因となっている。

NIOはES8の発売にこぎつけたが、生産能力増強の投資がかさみ、販売収入ではコストを補いきれない。自動車は規模の経済が大きくものを言い、年産10万台体制でようやく損益分岐点に達するとされる。
8月末時点で、NIOは1万6000台の注文を獲得したが、そのほとんどは、5000元を払えばキャンセルできる契約だ。
合肥工場の生産能力は、すでに月間900台まで増強した。今後、受注ペースを高めなければ、これまでの生産能力不足から一転し、生産能力過剰に陥るリスクもある。

NIO創業者の李斌氏
■成功確率が最も低い業界
自動車産業は工業の頂点に君臨し、多くの大手が存在すると同時に、おそらく創業の成功率が最も低い分野でもある。NIOの前に米国で上場した自動車メーカーは、2010年のテスラまで遡らないといけない。
李斌氏は、「NIOはまだ3歳だ。もう少し時間をいただけないだろうか」と言う。
NIOがこの3年で成し遂げたことは軽視すべきではない。一方でビジネスとは残酷なものであり、既存メーカーは弱小参入者にも手加減しない。そして弱小メーカーであっても、ユーザーの安全に責任を負わなければならない。
新エネ自動車は、リスクの多い博打だ。各メーカーが量産体制に入ったら、さらなる淘汰が始まるだろう。NIOも戦いのさ中にある。
(翻訳・浦上早苗)