大腸がん早期スクリーニング技術で注目。康立明生物、高い陽性的中率が強み

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大腸がん早期スクリーニング技術で注目。康立明生物、高い陽性的中率が強み

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体外診断用医薬品(IVD)は市場規模が723億元(約1兆2300億円)、年間平均成長率は19%に達する成長市場だ。この分野においてハイテクバイオ企業「康立明生物科技(Creative Biosciences)」が大腸がんの早期スクリーニング検査キット技術で、投資家の人気を集めている。2020年にはシリーズCで6億元(約100億円)の資金調達を行った。

康立明生物は中国国内の大腸がん早期スクリーニング分野で最先端を行くスタートアップだ。主力製品はSDC2遺伝子メチル化検査試剤セットの「長安心早期大腸がん便DNA検査キット」。2018年11月に国家食品薬品監督管理局に承認された業界初の検査キットとなる。

このほど、同検査キットのスクリーニングデータが開示された。2021年3月時点で、中山大学付属第六病院、南昌大学第一付属病院、東莞市人民病院を含む提携拠点で7万8773件の前向き研究のためのスクリーニングのデータを採った。そのうち、同検査キットで4913例が陽性(陽性率6.24%)となった。陽性者のうち1964例に対して大腸内視鏡の再検査(内視鏡有効性39.98%)を実施した結果、大腸がん413例、腺腫469例、ポリープ427例が見つかった。同検査キットの陽性的中率(PPV)は66.6%(うち大腸がん的中率は21%)だった。中国重点研究計画である「中国結腸・直腸腫瘍スクリーニングと介入技術検査」のデータによると、同検査キットのスクリーニング対象者の陽性的中率は99.9%となっている。同データは康立明生物が立ち上げた「529腸管安心日活動」で発表されている。

画像:康立明生物より

腫瘍スクリーニング市場では、病院への検査試薬の販売と検査サービスから収益を得るが、これは主に製品そのものの検査レベルの高さと企業の営業力にかかっている。長安心検査キットは中国人向けに開発されたもので、陰性のものを陰性と判断する特異度は97.85%、根治可能なステージⅠとステージⅡの検出率は86.71%、内視鏡診断との一致率は93.65%に達している。検査性能はまったく問題がないレベルだ。関連する実験データと結果は国際医学学術誌「Clinical Epigenetics」に掲載されている。長安心検査キットは「中国早期大腸がんスクリーニングの専門家コンセンサス意見(2019、上海)」「早期大腸がんと前がん病変実験診断技術の中国専門家コンセンサス」「中国痔病診療ガイドライン」に掲載されており、全国500カ所の医療機関で採用されている。

画像:康立明生物より

同社の創業者である鄒鴻志教授は、国家重大人材プロジェクトの入選者であり、世界大腸がん早期スクリーニング技術の発明者でもある。鄒教授は博士課程在籍中、上海瑞金病院で大腸がんを専門とする郁宝銘教授に師事した。2002年に卒業した後は米メイヨークリニック胃腸科やナスダック上場企業エグザクトサイエンスで大腸がんの非侵襲性スクリーニング検査の研究に十数年携わり、メイヨークリニックの終身在職権を取得している。この間、鄒教授は大腸がん便検査キット試薬の開発を指導している。検査試薬「ColoGuard」が2014年に米食品医薬品局(FDA)の承認を受け、米国の医療保健対象医薬品の認可を受けている。同製品の検出率は大腸がんであれば92%、前がん段階の1cm以上の腺腫なら42%、特異度は87%だ。現在では同製品が米国における大腸がんスクリーニングの主要な検査方法となっている。

康立明生物は大腸がんのほかに、肺がん、膀胱がん、子宮頸がん、肝臓がんなどの腫瘍の早期スクリーニング検査キットとPOCT(Point of Care Testing、臨床現場即時検査)設備システムを開発している。昨年にはPOCT企業である「好芝生物(Helixgen)」を買収した。鄒教授は、好芝生物を買収した目的がオートメーション化された製造能力にあり、POCTは成長分野になるからだとの認識を示している。

体外診断用医薬品市場はまさに急成長段階に入っている。2020年には「泛生子(Genetron)」「燃石医学(Burning Rock)」など7社が上場するなど、先を争うようにIPOが繰り広げられている。新型コロナウイルス感染拡大の中、PCR検査を初めとする新型コロナウイルス体外診断用医薬品も爆発的な成長を遂げた。関連企業の売上高も最高で12倍増となっている。がんの早期スクリーニング市場はプレシジョン・メディシン(精密医療)の動向とマッチしており、市場発展の可能性は極めて大きい。
(翻訳:lumu)

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