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複数の情報によると、スマートコンビニチェーンの「便利蜂(Bianlifeng)」がIPOに向けた動きを本格化させたという。早ければ今年末から来年初めにかけて米国で上場する予定で、証券引受人はゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、「中信証券(CITIC Securities)」だ。調達目標額は5〜10億ドル(約550〜1100億円)となる。しかし便利蜂は取材に対し、「そのような事実はない」と否定した。
便利蜂はオンライン旅行代理店「去哪児(Qunar)」の元CEO荘辰超氏が2016年12月に創業したもので、2017年2月に北京に1号店をオープンした。同社は創業当時から技術力を重要視しており、すべての店舗に防犯カメラやICタグを多数設置することで、来客数や購買行動をつぶさに分析し、それをもとに商品の選定、仕入れ、スタッフのシフトを決めている。
この手法はコストが非常に高いことが課題だ。それは便利蜂の開発職が全従業員の6割以上を占めることからもわかる。上場を目指す便利蜂の評価額を左右するのは、技術力がどれだけの効率性と収益力をもたらすことができるか、そしてそれを証明する十分な実績があるかということになるだろう。
便利蜂は1号店開業からわずか4年間で中国の20の都市で2000店以上を出店した。ファミリーマートが中国で2500店出店するのに16年間かかったことと比較すれば、驚異的な速さだと言える。大量出店を支えたのは資金調達であるが、インターネットで検索できるものだけで、計5.56億ドル(約610億円)を調達している。直近の資金調達は2018年12月で、「ヒルハウス・キャピタル(高瓴資本、Hillhouse Capital)」とテンセントから3億ドル(約330億円)を調達した。
便利蜂は昨年5月に北京エリアが2019年度に黒字化したことを発表し、さらにこれまでの資金調達額は15億ドル(約1700億円)だと公表した。出資者には世界的なPE、政府系ファンド、大学ファンド、テック大手が含まれているという。また、同社関係者は便利蜂の2000店舗全体でも黒字化したと話している。
技術力のほか、便利蜂は日系コンビニが得意とする惣菜やプライベートブランド商品(以下「PB」と略称)も重要視している。同社は華北地域と華東地域で複数の食品工場に投資し、そのなかには北京のセブン-イレブンに商品を供給する工場も含まれている。2019年2月には、天津で約2ヘクタールの土地の使用権を取得しており、自社の惣菜供給基地の建設に使う予定だ。
PBの数も急増しており、現在便利蜂は400SKUのPBを販売している。同社の発表によると、惣菜とPBによる売上高の比率は日系コンビニとほぼ同水準だ。
自社工場もコストが嵩むものであり、さらにサプライチェーン管理の難しさもあって、中国でのコンビニ事業についてはネガティブな見通しが主流だった。実際ここ数年間、毎年のようにコンビニチェーンの資金ショートが発生していた。
それでも、便利蜂は強気な出店姿勢を崩さない。昨年末のサプライヤー大会において、便利蜂の執行役員の薛恩遠氏は、2021年内に店舗数4000以上、2023年末までに店舗数1万を目指すと発表した。そうなれば、店舗数で中国国内5位となる。
出店は順調かもしれないが、黒字化となると話は別だ。中国に進出して25年が過ぎたローソンは、今年4月に中国事業が2020年度に初めて通期の黒字化を実現したと発表した。ファミリーマートとセブン-イレブンは、未だに一部エリアのみの黒字にとどまっている。便利蜂は全体として黒字だが、同社は2020年末までに各店舗それぞれの黒字化を目標として掲げていたものの、達成されたのかどうかに関してはまだ確かな情報がない。
上場することができれば、調達した資金で出店計画は順調に進むだろう。しかし、最大の課題はやはりいつになったら黒字化できるのかということだ。
(翻訳・小六)
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