外食企業のDX、SaaS型で中堅企業にノウハウを拡大

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外食企業のDX、SaaS型で中堅企業にノウハウを拡大

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外食チェーンのデジタル化を手がけるサービスプロバイダー「奥琦瑋信息科技(Acewill Information Technology)」がシリーズDで数億元(数十億円)を調達した。出資を主導した「北創投(BCT Capital)」のほか、「千合投資(Qianhe Investment)」「盛宇投資(SHAREWIN CAPITAL)」などが参加した。

同社は飲食事業にまつわる各業務プロセスに対し、フルリンクでサービスを提供するSaaSプロバイダーだ。各種マーケティング業務、厨房・調理業務のスマート管理、食品安全および賞味期限管理、サプライチェーン・人的資源・財務マネジメントなどを含めたコスト管理のデジタル化など、外食チェーンのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援する。

外食産業では、DXに求める要素が企業によってさまざまだ。奥琦瑋はサービスの効率を上げるため、「レゴブロック式」のSaaSでソリューションを提供する。顧客が自身の業務環境や予算に応じて必要なものを選び、組み合わせることが可能だ(会員システム、オンライン通販システム、会計システム、人材管理システム、クラウド財務システム、サプライチェーンシステムなど)。

ある統計によると、中国の外食産業では、DXに投じられる資金が業界全体の売上高の0.3〜0.5%に過ぎない。DXへの投入が不充分ならば、外食チェーンブランドにとっては急成長の足かせとなり、店舗数を増やすほど店舗体験の質や運営効率は下がっていく。人件費や原材料費も上がり続ける中、精密なマネジメントができなければ持続的かつ健全な成長は望めない。

いまだ収束しないコロナ禍も大きな打撃となっている。外食産業はいかにしてオンラインとオフラインを一体化させたチャネルを築いて消費者オペレーションを行い、収益源を増やし、支出を削るかが課題となっている。

創業者・孔令博氏によると、同社の強みは業界のトップブランド向けに長年サービスを提供してきたことで積み上げた技術力や製品力だ。同社はまず、業務処理のミドルウェアを中核に据えた店舗運営ソリューションを構築。コストがかかり、保守も複雑だった従来型の会計や会員制度、デリバリー、オンライン通販などの業務を改善し、全業務のマネジメント効率を高める。

奥琦瑋はこれまでスターバックスやKFC、マクドナルドなどの大手海外チェーンを顧客に持ち、中国の外食企業100強のうち50%のシェアを握っている。水平方向に顧客を増やすだけでなく、顧客維持率も93%となっており、リピート率が高い。SaaSによる収入は同社の売上高全体の70%を占めている。

奥琦瑋の顧客一覧

コロナ禍を経て外食産業に起こった顕著な変化は、チェーン化の比率が上がったことだ。中国連鎖経営協会(China Chain-Store & Franchise Association)の2020年のデータによると、中国国内の外食企業でチェーン展開をしている割合は15%で、前年から7ポイント増えている。とはいえ、日本や米国の40%という数字と比較すればまだ拡大の余地がある。また、一部都市ではコロナ禍をきっかけにローカルチェーンが急成長しており、外食系SaaSのプロバイダーにとっては狙い目となっている。

こうした中堅クラスのチェーンブランドにDX支援サービスを提供すべく、奥琦瑋はこれまでトップ企業を相手に積み上げてきた豊富なノウハウを活用していくのだ。

同社の資金調達状況をみると、2014年にはシリーズAでセコイア・キャピタル・チャイナから4000万元(約6億9000万円)、2015年にはシリーズBでセコイアおよびフードデリバリー大手「美団(Meituan)」から1億6000万元(約27億4000万円)、2017年にはシリーズCで美団から2億4000万元(約41億2000万円)の出資を受けている。

今回のシリーズDでリードインベスターを務めた北創投の代表取締役・李建軍氏は、「法人向けサービスでは、SaaSがあらゆる業界で潜在力を秘めると考えている。外食産業ではサプライチェーンの統合が進み、チェーン展開をする企業が増えてくるに従い、SaaSがIT化、スマート化を進めるための必携のツールとなり、業界がさらなる急成長のフェーズに入るとみている」と述べている。
(翻訳・愛玉)

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