テンセント、ゲーマー向けSNS立ち上げへ。WeChatに続く「スーパーアプリ」目指す

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中国のIT大手テンセントのプラットフォーム・コンテンツ事業グループ(PCG)は今年4月、組織と人事の調整を行い、傘下のゲーム開発スタジオ「TiMi Studios(天美工作室)」の姚暁光総裁がPCGの事業責任者を兼任すると発表した。

テンセントはゲーム事業とSNS事業を完全に融合させる意図のようだ。36Kr傘下メディア「Tech星球」の独自取材によると、テンセントPCGでは新たなゲームユーザー向けSNS「NokNok(鬧鬧社区)」を内部テスト段階まで進めている。全体のコンセプトはピクセルアート風で、姚氏がPCGのトップに就任して3カ月で初めて手がけるSNSサービスとなる。

NokNokは完全オープン、利用料フリーで質の高いコミュニケーションが図れるプラットフォームだ。実際に使ってみると、1対1のチャット機能よりもグループチャットを推奨していることがわかる。各グループには複数のチャンネルが設けられており、ユーザーがそれぞれの利用時間帯や興味に基づいて使い分けられる。グループ内ではチャット以外にSNS機能も利用でき、自身の「ゲームプロフィール」を送信できる。プロフィールは個人の名刺に相当し、ユーザーはゲームプラットフォーム「Steam」や「Nintendo Switch」などのデータを紐付けできる。プロフィールではゲーマーとしての熟練度や好みのゲームが確認できるため、自分とピッタリ合う友達を探し出せる。

NokNokではユーザーが自らグループを立ち上げることもできる。グループは全4種類。「ゲーム板」はゲームのヘビーユーザー向け、「ギルド板」はギルドのメンバー向け、「KOL板」はインフルエンサーとフォロワーとの交流向け、「空白板」はユーザーが自分でグループのタイプを定義できる。

グループ立ち上げ後はすぐにチャットや運営に移れる。グループの存在感を高めるためにはよりメンバー数を増やし、チャットを活発に行うことだ。盛り上がっているグループは運営側にピックアップされ、「グループを見つける」ページで取り上げられる。

現在はテスト・調整段階で、ボイスチャット、投票、イベント作成、QQ(テンセントのインスタントメッセンジャー)やWeChatからのログインはできないが、今後これらの機能が追加されていくという。ブラウザゲーム版やPC版もリリースされる予定で、スマホゲームのユーザー以外に幅広いゲーマーを取り込んでマルチプラットフォームとしていく計画だ。

業界アナリストは、NokNokがゲーマーに特化したチャット・コミュニティアプリ「Discord」をベンチマークにしていると考える。人気オンラインゲーム「原神」の公式ツイッターによると、原神は80万人に設定されている公式Discordサーバーの参加人数が上限を超えたため、先日、2つ目の公式サーバーを開設した。

NokNokは、人気タイトルを取り巻くこうした状況を見据え、最終的に中国のゲーマーがプレイ中に使用するコミュニケーションツールの第一の選択肢になることを目指す。

中国ではインターネットトラフィックの成長が鈍っており、これに伴ってテンセントのメッセンジャーQQはアクティブユーザーが減り続けている。テンセントとしてはSNS事業で次の突破口を探さなければならない。今回、ゲームとSNSの融合を決めたのは、ゲームにもSNSにも強い自社の特性を活かし、ゲーム界のスーパーアプリを目指すためだ。NokNokはさらなるトラフィック増に向けた転換点となるかもしれない。

ゲームユーザー向けSNSは一般的なSNSと異なり、ゲームという共通の趣味でユーザーがつながるため、より粘着性の高いコミュニケーションが生まれ、人と人との関係を促進、維持、強化する。さらに、テンセントはゲーム企業として中国トップの地位にあり、チャネルやトラフィックといった自身の強みを生かしてNokNokへ誘客を図れる。

将来的にパソコン版が開発されれば、テンセントはモバイル端末に限らず多様な端末からトラフィックを集め、さらに強大化し、ゲーム界でスーパーSNSアプリとなるだろう。
(翻訳・愛玉)

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