研究ラボのデジタル化を推進、中国ハイテク産業の成長を支援する「iLabService」

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研究・検査機関のラボのデジタル化・スマート化をサポートする「iLabService(釈普科技)」が、プレシリーズAとシリーズAで合計1億元(約17億円)超を調達していたことが分かった。それぞれ「明勢資本(Future Capital)」と「経緯中国(Matrix Partners China)」がリード・インベスターを務めた。

同社はこれ以前にも、シードラウンドでY Combinatorから数百万ドル(数億円)、エンジェルラウンドでTSVCから数百万ドルを調達している。

iLabServiceは2017年に設立され、上海に本社を構える。IoT、AI、ビッグデータに関する技術を活用し、ラボのデジタル化・スマート化に関する総合サービスを提供している。大学などの生命科学や化学工業材料に関連するラボのほか、政府の研究・検査機関でも利用されている。

同社の主力製品である「SciOneTM」シリーズは、各業界における従来型の管理モデルを改革することを目指しており、ラボのデジタル化からスマート化までを一足飛びに達成できるようサポートする。

現在関心を集めている新型コロナワクチンの保管を事例に、iLabServiceの製品の優位性を紹介しよう。今年初めに製薬大手の「復星医薬(Fosun Pharma)」は、米ファイザー社から1億回分のmRNA新型コロナワクチンを購入した。このワクチンは-70℃で保管する必要があり、一旦解凍すると再冷凍できず、5日以内に使用しなければならない。

同社はmRNAワクチンを適切な温度で保管するため、iLabServiceのアラーム機能付き温度測定製品を導入し、100台以上の超低温冷凍庫に設置した。

復星医薬がiLabServiceの製品を選んだ理由は3つ。1つ目は0.01℃単位で精度の高い監視ができること。2つ目は温度が基準値を超える前に警告を受け取れること。3つ目はFDA(アメリカ食品医薬品局)の認証を取得していることだ。

ワクチンの保管温度監視システムはiLabServiceのサービスの一例で、同社はこれ以外にも生物、化学、材料などの分野を対象に数十種類の製品とサービスを提供している。

iLabServiceの製品スキーム

iLabServiceのラボ監視設備は、ユーザーの使用習慣に適応させられると同時に、コンプライアンスへの高い要求を満たすことができる。ソフトウェアはSaaS形式で提供し、規模の異なるさまざまなラボのニーズに対応する。

ラボをめぐる産業チェーンは目新しいものではない。創業者の李康CEOも「私たちが提供している各サービスには競合他社も多い。特にバイオセキュリティ分野で競合する企業は『泰林生物(TAILIN Bioengineering)』『海爾生物(Haier Biomedical)』『尚栄医療(Glory Medical)』など数多い」と語る。

李氏は「多くのラボの情報システムでは、依然として研究員がキーボードをたたいて手作業で記録を行う必要がある。実験の過程が複雑な場合、むしろ紙とペンを使用した方が便利な場合もあり、これがラボのデジタル化の促進を妨げている」と指摘する。iLabServiceは、研究員が必要に応じて自由に組み合わせて使用できるスマートデバイスとセンサーを提供。情報をリアルタイムに自動で記録できるようにすると同時に各種レポートの自動生成も可能にし、ラボの管理方式を根本から変えようとしている。

現在のiLabServiceの顧客は100社を超え、2020年の顧客継続率は90%に達している。

iLabServiceのラボ管理システム

李CEOは、現在は中国メーカーが業績をさらに伸ばす絶好の時機であり、それを成功させる3つの条件が整っていると語る。その条件とは、中国国内のラボのスマート化に対するニーズがますます高まっていること、中国政府が国産製品を優遇する政策を打ち出していること、中国のデジタル化・スマート化技術が世界をリードしていることだという。

今回調達した資金にはいくつかの用途がある。まず、開発力を強化して業界トップクラスの製品を開発し、競争力を上げる。次に、さまざまな業界の顧客とともに製品を開発し、充実した製品マトリックスを構築する。さらに、運営能力の強化にも資金を投入する予定だ。
(翻訳・普洱)

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