「メイド・イン・ジャパン」の中華コスメは時代遅れ?

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中国の飲料水メーカー「農夫山泉」傘下の化粧品ブランド「養生堂(YOSEIDO)」が、日本に正式に進出した。

昨年11月、養生堂は北欧の白樺樹液を100%使用したスキンケア商品を発売。イメージキャラクターに人気歌手を起用したことなどから、同商品は発売2カ月で9万個を売り上げた。養生堂はこの商品を足がかりに、伊勢丹新宿店にポップアップストアを出店するまでに成功を収めている。

日本市場には日本企業からの誘いで進出した。しかし、日本進出がブランド力を証明するわけではない。養生堂は以前より原材料を輸入するなど、「海外」の要素を積極的にアピールしてきた。中国ブランドにはパクリや偽物といったイメージが根強くあり、国内外の消費者から信頼を得るには至っていないからだ。

日本の化粧品ブランド、例えば雪肌精やアルビオン(ともにコーセー傘下)、資生堂などは世界中にファンがいるが、日本の化粧品市場はすでに頭打ちの状態で、シェアの80%を国内ブランドが占めている状況だ。言い換えれば、養生堂が日本の化粧品市場でシェアを獲得する余地はほとんどない。

中国の化粧品メーカーはこれまで、自社製品に「海外生産」「輸入原料」などのイメージを付加して、中国人消費者の興味を引いてきた。同様の手法は韓熙貞(HEXZE)、韓後(Hanhoo)、粧蕾(Ray)など複数のブランドで行われている。

韓束(KANS)や韓後は、中国人消費者に韓国ブランドであるという誤った認識さえ植え付けてきた。韓国ドラマ「秋の童話」が中国で放映された当時、韓束は自ら「韓国韓束株式会社」と謳い、韓流ブームに便乗。韓後も韓国LG生活健康の傘下となり、韓流スターをイメージキャラクターに起用して韓国色を強め、中国人消費者の関心を引くことに成功した。

中国の市場研究機構「中国行業研究網」のデータによれば、2016年の中国における化粧品の売り上げは、オンライン部門では韓後や韓束、百雀羚(PECHOIN)、佰草集(HERBORIST)、自然堂(CHANDO)などの国内ブランドが上位5社に入っている。しかし、実店舗での売り上げは欧米や日韓のブランドに到底及ばない。

中国化粧品メーカーの海外進出は「メイド・イン・ジャパン」頼り?

海外進出はステレオタイプな「メイド・イン・チャイナ」のイメージを変える可能性はあるが、問題は多くの中国ブランドが海外ではまったくの無名ということだ。海外進出した中国ブランドの成功例では、中国らしさをあえて前面に押し出し、競合との差別化を図っている。つまり、「メイド・イン・ジャパン」などと謳わずとも、海外進出に成功するケースはあるのだ。実際、佰草集は漢方や伝統処方などをアピールすることで成功している。

小売りの新業態「新小売(ニューリテール)」の普及とともに、中国ブランドの海外進出はより容易になっている。例えば、瑪麗黛佳(MARIE DALGAR)は、国内EC大手天猫(Tmall)の国産コスメ部門で3年間連続して売り上げトップになったことを契機に、コスメセレクトショップ「セフォラ」のシンガポール店で商品が扱われるようになった。

もはや中国の化粧品メーカーが「メイド・イン・ジャパン」などと謳って海外進出を果たす時代は終わったのかもしれない。
(翻訳・飯塚竜二)

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