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騰訊(テンセント)の馬化騰(ポニー・マー)CEOが11月7日、浙江省鳥鎮で開催中の「第5回世界インターネット大会」(11月7日ー11月9日)開幕式に登壇した。同氏が同大会に参加するのは今回で5度目。
馬CEOは、5Gネットワークのテストが今回の会場である烏鎮でスタートしたことを挙げて、「我々インターネットサービスを提供する企業にとって興奮する出来事だ」と述べた。
6日夜には、中国電信(チャイナテレコム)の5G試験で現在の光ファイバーよりも速い1.7GB/秒を達成したことを聞いたとして、「来年には、多くのモバイルネットワーク向けVR(仮想現実)設備が登場するかもしれない」と述べ、同社のソーシャルメディア「微信(WeChat、ウィーチャット)」でも、VR版の開発を真剣に検討すると明かした。
インスタントメッセンジャーQQで一時代を築き上げたテンセントは、間もなく創立20周年を迎える。現在、同社の主力サービスはQQから微信(WeChat)へと移り変わり、10億人以上のユーザーを抱えてもいるが、そんな微信にもどうやら「7年目の危機」が訪れているようだ。
同氏は若年層のユーザー離れを憂慮してきた。以前と比べて、様々なソーシャルメディアを利用する人が増えており、「中国版ツイッター」こと微博(ウェイボ)の攻勢こそ乗り切った感があるものの、現在はショート動画共有アプリTikTokの脅威にさらされている。そうした中、テンセントが次の一手をどう打つかに、業界が注目している。
馬CEOは以前メディアに「次世代ソーシャルメディアは、デバイスの変化と関係がある」と語っており、前回の世界インターネット大会でも「インテリジェントデバイスの進化が、微信を転落させる機会にもなりうる。恐らく次世代デバイスはVRかAR(拡張現実)関連だろう」と述べていた。現在の5G、VRの進展スピードを勘案すれば、VR版微信の開発は絵空事ではないだろう。
海外に目を移せば、米フェイスブックは2014年にVR企業のオキュラスを20億ドル(約2300億円)で買収し、VRヘッドマウントディスプレイOculus Rift(オキュラス・リフト)などの製品を生み出した。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOはVRが「未来のソーシャルプラットフォーム」になりうる、と述べてきた。
この4年間のオキュラスの歩みは順調とは言い難いが、フェイスブックと微信という二大ソーシャルメディアは今、同じ方向を向いている。
しかし、馬化騰氏は非常に慎重な人物だ。車載版の微信の発表が安全上の問題から遅れている状況を考えると、VR版微信の登場はまだまだ先のことだろう。
(翻訳・飯塚竜二)
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