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かつてバイオ分野の専門用語だったDNAシークエンシングは、急速な技術進歩と大幅なコスト低下のおかげで、広く人々に知られるようになった。一般人にとっては、検査するだけで将来の疾患の発症リスクを知ることができ、遺伝的ルーツや体質傾向もわかるという夢の技術だ。
しかし個人のゲノム情報は、シークエンシングの各プロセスでそれぞれ異なる機関に扱われるため、情報流出のリスクや効率の悪さ、サンプル不足などの問題が付きまとう。データを最大限に活用するため、HGBC(Human Genome Block Chain)は、ブロックチェーン技術を導入したプラットフォームを構築して、ゲノム情報の所有権を持つユーザーを中心としたゲノムビジネスモデルを確立しようとしている。現在、HGBCのプロジェクトには「達爾文星球(Darwin Xingqiu)」アプリ、データ解析クラウドプラットフォーム及び技術開発プラットフォームがある。
まず、達爾文星球アプリは、個人が研究プロジェクトに参加したり、遺伝子サービスを購入することができるプラットフォームである。個人には、医療データを提供した報酬として、トークンと交換可能なポイントが与えられる。また、ゲノム研究プロジェクトに参加することでもトークンが付与される。このトークンを使って、個人は遺伝子検査や疾患発症リスクの診断サービスを受けることができる。
現在、遺伝子の塩基配列を読み出せるシークエンシングを行う一脉基因 (Yimai Jiyin)と、遺伝子変異を網羅的に検出する艾吉泰康(iGene Tech)の2社がHGBCのプロジェクトに参加している。この2社のサービスを購入した個人は、唾液を送るだけで自身のデータを得られる。このほか「口袋基因 (Koudai Jiyin)」を始めとする複数の企業が提携パートナーになっている。
次に、データ解析クラウドプラットフォームでは、データのチェック、洗い出し、照合、変異情報の抽出など元データの前処理が行われる。
最後に、サードパーティー開発プラットフォームでは、 ゲノム情報に基づくサービスを行うデベロッパー向けに、HGBCがゲノム解析技術の開発を支援する。
HGBC創始者の郝向穏氏によれば、HGBCは迅雷(XunLei)社の陳磊CEOをプロジェクト顧問に迎え、迅雷のThunderChainとファイルシステム(TCFS)を技術基盤としているとのこと。ThunderChainはゲノム情報を扱う上で信頼できるパブリックチェーンであり、膨大なデータを扱えるだけの速度やストレージノードを有している。専門性が求められるブロックチェーン技術は専門企業に任せ、HGBC自身は核心業務に専念するというわけだ。
HGBCは入手が難しいゲノム情報や医療データを独自に収集することにしており、100人から100万人単位のデータを段階的に収集する計画。早く提供するほど得する制度を設計し、データを早く提供するよう広く呼びかけている。
達爾文星球アプリはすでに運用が始まっており、登録ユーザーは4万人で、これまで約500人がゲノム配列データを提供している。
HGBCのチームは約50人。中国科学院北京ゲノム研究所ゲノム科学修士の郝向穏氏を始め、遺伝学や生物学、コンピューター、バイオ情報学、ブロックチェーンなど異なる分野のメンバーから成っている。
(翻訳・畠中裕子)
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