フル稼働でも足りない車載電池、EV参入増でさらに深刻化

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フル稼働でも足りない車載電池、EV参入増でさらに深刻化

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新エネルギー車(NEV)市場の爆発的な成長が、電池メーカーに大きな負荷をかけている。

車載電池大手「国軒高科(Gotion High-Tech)」の社員は「市場の成長が速すぎて電池の供給が追いつかない。大手電池メーカー数社は、すでに1年余りにわたって人気車種のための生産ラインをフル稼働させている」と語る。

半導体不足は、独フォルクスワーゲン(VW)や米フォード・モーター、蔚来汽車(NIO)などを生産調整に追い込んだ。半導体不足が解消されない中、電気自動車(EV)の製造コストの4割を占める電池不足も深刻になってきた。

車載電池をめぐる競争はさらに加熱

車載電池大手「寧徳時代新能源科技(CATL)」の曽毓群(Robin Zeng)董事長は、今年5月の株主総会で「顧客からの催促に耐えられない」とこぼしたという。

同社では通常、各EVメーカー専用の生産ラインを確保する形をとっている。同社の元社員は「小鵬汽車(Xpeng Motors)のように新興EVメーカーの中ではトップクラスの企業であっても、生産量は多くないため、優先順位は低くなる。市場に出回る電池が不足した場合、サプライヤーが大口顧客の生産ラインを優先的に確保するのは当然だ」と内情を明かした。

小鵬汽車は新たなサプライヤーの確保に迫られていたが、今年9月には韓国化学大手「SKイノベーション(SKI)」からニッケル含有量80%の三元系電池の提供を受ける契約を交わしたことが報じられた。

大手EVメーカーであっても置かれている状況は大差ない。米テスラ(Tesla)のイーロン・マスクCEOは今年1月の決算発表会で「電池サプライヤーが生産速度を限界まで上げたとしても、2022年以降は電池が大幅に不足するだろう」と悲観的な見方を示している。

今年年初には、IT大手のバイドゥ(百度)やスマートフォン大手のシャオミ(小米科技)がEV製造への参入を発表した。これらの企業は2、3年後にはEVの量産化を実現する可能性がある。一方、既存の自動車メーカーもガソリン車からEVへの転換を完了しつつあり、続々と新車種を発表している。

以上のことから、数年後には車載電池をめぐる競争がより激化していると考えられる。

リチウム資源をめぐる競争も激化

中国におけるNEVの販売台数は、2018年から20年までは年間120〜130万台程度だった。ところが、今年は販売台数が急激に伸び、上半期だけで120万6000台を売り上げた。

車載電池の需要は短期間で爆発的に増えたが、シェアは一部の大手メーカーに集中している。中国自動車動力電池産業連盟が発表したデータによると、今年1〜7月に車両に搭載された電池の72%が業界上位3社の製品で、うちCATLが5割近くを占めていた。

今年に入ってからは、寧徳時代や国軒高科のほか「中航鋰電(CALB)」「蜂巣能源科技(SVOLT Energy Technology)」など車載電池大手各社が、大規模な増産計画を発表している。

しかし、中国の車載電池業界には、依然として高性能な製品の生産能力不足と低性能な製品の生産能力過多というアンバランスが存在し、設備稼働率の低さを招いている。産業情報サイト「中国産業信息網」によると、2020年の車載電池の生産能力は511GWh(ギガワット時)だったが、実際の出荷量は80GWhで、設備稼働率は15.66%にとどまっている。

電池不足は原料価格の高騰にもつながった。原料を確保できれば、生産能力だけでなく発言権も高められる。電池メーカー大手は次々に原料となるリチウム資源の確保に動き始めた。

国軒高科は今年3月、リチア雲母鉱石の豊富な江西省宜春市で鉱山資源の管理などを手掛ける「宜春市鉱業(Yichun Mining)」と合弁会社を設立した。

CATLは2019年、オーストラリアのリチウム資源企業「Pilbara Minerals(ピルバラ・ミネラルズ)」に出資し、8.5%の株式を保有する筆頭株主となった。今年9月には、宜春市に新型リチウムイオン電池の生産拠点を建設する計画を発表した。投資総額は最大で135億元(約2300億円)になるという。

比亜迪(BYD)やトヨタ自動車、長城汽車(GWM)など自動車メーカー各社も、すでにリチウム資源の確保に動いている。しかし、これらの企業が計画上の生産能力を獲得するには、時間をかけて段階を踏む必要がある。

電池不足に苦しむNEV業界を救う特効薬はまだ見当たらない。

原文筆者:「全天候科技(WeChat ID:iawtmt)」、潘濤
(翻訳・田村広子)

原文はこちら

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