次世代掃除ロボット「Trifo」が資金調達、防犯やペット対応などスマートホームへ展開

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次世代掃除ロボット「Trifo」が資金調達、防犯やペット対応などスマートホームへ展開

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AIロボット掃除機を開発する「Trifo」がシリーズC1で数億元(数十億円)を調達した。リード・インベスターは「中信建設資本(China Capital Management)」で、既存株主の「清研新一代人工智能基金(Qingyan A New Generation Artificial Intelligence Fund)」も出資に参加した。

また、Trifoは同時にシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングス傘下の「InnoVen Capital」からデット・ファイナンスで数百万ドル(数億円)を調達している。

調達した資金は次世代製品の開発、人材募集、市場開拓およびAIロボット掃除機のエコシステムの構築に充てられる。また、合弁企業として国内グループ会社の組織を構築し、2024年の上場を目指す。

国際ロボット連盟(IFR)の統計によると、個人向けおよび家庭用ロボット市場は2022年に約300億ドル(約3兆3800億円)規模に達する。このうち、ロボット掃除機は過去数年、約40%の年平均成長率(CAGR)を維持しており、2021年には全世界の出荷台数が2000万台前後になる見込みだ。しかし、中国国内でも海外でもロボット掃除機はまだ導入期にあり、業界にはシェアを大きく占める企業も存在しない。業界トップ企業でも年間出荷台数は500万台以下だ。ロボット掃除機の浸透率はわずか5%に過ぎない。

Trifoは2016年に米シリコンバレーで設立され、現在約60人の従業員を抱えている。コアメンバーはマイクロソフト、アップル、アマゾンなどの出身者が占めている。

創業者の張哲CEOは「これまでの家庭用ロボットの歩みが100歩だとすると、ロボット掃除機の歩みは20年かけてまだ10歩ぐらいだ」と語る。ロボット掃除機の今後の発展には、技術、利用シーン、製品の構造が重要だと考えており、Trifoもこの3つの面から差別化を図っている。

従来のロボット掃除機は主にLiDAR技術を採用しており、この場合はは掃除を開始する前に部屋の形状を把握する必要があった。張氏によると、TrifoはLiDARに替わり、空間認識が可能なコンピュータビジョン技術RGB-Dを業界初採用している。

この技術によって同社のハイエンド旗艦モデル「Lucy」は、掃除開始前に室内環境をスキャン過程を省略できる。また視覚技術によって、夜間も家庭内のセキュリティ監視を行い、ユーザーは留守中でも家の状況を常に把握できる。

利用シーンについては、欧米の住宅では絨毯を敷いている場合が多く、60%の家庭にペットがいる点を考慮した。Trifoは視覚技術をベースに吸引口の構造革新を行い、絨毯やペットへの対応能力を強化している。

さらに、近年はタイル張りの住宅も増えていることに合わせ、Trifoは3D AIビジョンを用いて3Dマップを構築し、室内の状況を詳細に把握する性能を開発。年内には自動清掃、集塵、水拭き機能を統合した次世代の床掃除ロボットを発売する予定だ。

Trifoのロボット掃除機のラインアップ Emma/Ollie/Lucy

張CEOによるとTrifoが他のロボット掃除機や家電メーカーと異なる点は、掃除機を家電ではなくロボットとして開発していることだ。消費者の悩みとニーズを把握し、頻繁にソフトウェアとハードウェアを一体化させたアップデートを行っている。

Trifoはロボット掃除機を切り口にスマートホームへの展開を広げ、ペットがいる家庭に対応するロボット、家庭内のセキュリティ監視を行うロボットなどを開発する計画だ。

張氏によると、Trifoの長期的ビジョンは家庭用AIロボットが家庭内の環境を把握し、接続と相互コミュニケーションを行うことでモバイルプラットフォームとAIoT(AI+IoT)ハブの役割を果たすことだ。さらにハードウェアやソフトウェアをサービスやデータと掛け合わせるビジネスモデルを通じて、家庭用AIロボットのエコシステムを構築していく計画だ。

販路に関しては、B2B2Cでは欧米のメジャー代理店、チェーン店と提携し、累計受注数が1億元(約17億円)を超えている。B2Cではアマゾンで「Works with Alexa認定(AmazonのスマートスピーカーAlexaとの互換性がある商品)」を受けたことで、ブランド力を高めアクセス数を増やし、欧米および日本ではカテゴリ内の販売数トップ10に入っている。

Trifoの売上高の80%は海外からのもので、過去2年間で累計10万台を出荷している。今年と来年の売上高の合計は5億元(約87億円)を突破する見込みだ。

同社の株主には「Walden International(華登国際)」「Matrix Partners China」「Samsung Venture Investment」「Amazon Alexa Fund」など著名な投資機関や産業基金が名を連ねている。シリーズC2の資金調達も年内に完了する予定だ。

(翻訳・普洱)

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