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アリババグループの2019年度第1四半期(2018年4〜6月)決算によると、同社傘下のライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」の月間アクティブユーザー数が前年同期比で2倍の伸びを記録した。
今年はライブ配信が大人気となった一年だ。ライブショーは凄まじいスピードで人気となったが、同時に衰退も早かった。一方、ライブコマースの分野は、地味ながらも伸び続けており、淘宝直播の責任者である趙圓圓氏によると「淘宝直播は今、急成長期にある。ユーザー数は月に350%のペースで増えている」とのこと。
広告業界出身の同氏は、アリババで淘宝網のセレクトショップ「淘宝心選」の業務に従事した後、2017年末から淘宝直播の運営に関わるようになった。当初のアイディアは、ライブ配信中に商品名を連呼するような単調なコミュニケーションではなく、エンタメ系コンテンツで採用されている「打賞」(投げ銭、チップ)機能を導入することだった。しかし、最終的に打賞機能は実装されなかった。淘宝直播はエンタメ系コンテンツではなく、商品に基づいたコンテンツにこそ勝機があると考えたためだ。
これは、「商品はコンテンツになり得る」と語っていた、淘宝の蒋凡総裁の言葉に一致する。
Eコマースとライブ配信の連結は、淘宝にとって合理的でもある。淘宝のユーザーがサイトやアプリを利用するときは「商品を買いたい」という心理状態にあり、決して「エンタメを楽しみたい」わけではない。
また、画像入りのテキストやショート動画に比べると、淘宝直播には大きな強みがある。インタラクティブ性、各種キャンペーン、多種多様な商品、コストパフォーマンスといった、ショッピングに欠かせない要素が淘宝直播には詰まっている。前出の趙氏は「打賞機能を導入しなかった淘宝直播は、実店舗での購買行動に近い『クラウドショッピング』を実現した」と誇る。
淘宝はすでにライブ配信、ショート動画、淘宝頭条(ニュースサイト)、微淘(プロモーションツール)など多数のチャンネルを有しているが、蒋凡総裁は「淘宝のコンテンツ・エコシステム形成は初期段階」と謙遜する。趙氏も「淘宝直播は小学生レベル」と評しており、淘宝直播の黄金期はまだまだ先のことと考えているようだ。
こうした両者の考えを紐解く上で鍵となるのが、淘宝直播とその他のチャンネルが完全にはリンクしていないという点だ。
今年8月、モバイル版淘宝がアップデートされた際、トップページの中央に「直播」が表示されるようになった。将来的にはユーザーへのおすすめを表示するセカンドページからもライブ配信へ誘導する。これにより、淘宝直播へのアクセス数は爆発的に伸びるはずだ。
もちろん、課題もある。淘宝直播で最も人気の配信者は、1年で十数億元(10億元=約160億円)分の商品を販売しているが、淘宝というプラットフォームの外では、この配信者を知る人はほとんどいない。エンタメに特化した「快手(Kuaishou)」や「TikTok(抖音)」がEコマース分野にも進出する中、淘宝直播は配信者の一般的な認知度を上げる努力をするとともに、その影響力に比例して販売量を増大することが必要不可欠だろう。
(翻訳・飯塚竜二)
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