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サービスロボットメーカーの「景吾智能(Jingwu AI)」がシリーズAで1億元(約17億円)近くを調達した。「東方富海(Oriental Fortune Capital)」が出資を主導した。
景吾智能は2019年に、上場企業のロボット事業部に所属していたメンバーで設立された。メンバーはロボット開発の分野で17年の経験を有する。同社の主要事業はホテルのデリバリーロボットと清掃ロボットの二つだ。
新型コロナウイルスの拡大で人同士の接触が難しくなったほか、ホテルやレストランなどのサービス業では人材確保が課題となっている。こうした中、サービスロボットへの関心が高まっている。
IFR(国際ロボット連盟)が公表したデータによると、中国のサービスロボット市場は2019年に世界シェア25%を占める22億ドル(約2500億円)に達した。中国電子学会(CIE)は同シェアが将来30%に達すると見込んでいる。2020年にIFRが公表したリポート「World Robotics 2020 Industrial Robots」では、世界のサービスロボット市場は2023年には277億ドル(約3兆円)に達し、年平均成長率は26%になると予測されている。中国市場の規模は2023年までに80億ドル(約9000億円)に達すると見込まれており、成長の可能性が大きい。
国連の推計では、中国で65歳以上の人口が総人口に占める割合は2015年の9%から2025年には15%に増加するとされる。人の作業を補助、または代替するロボットの必要性が高まっているのだ。特に高リスクや汚い環境といった場面でロボット投入の需要が高まっており、ホテル清掃もそのうちの一つだ。
景吾智能の郭震CEOは、同社のホテルデリバリーロボットの技術は成熟しているが、清掃ロボットには研究開発へのさらなる投資やイノベーションが必要だと語る。
郭氏によると、景吾智能の強みはコスト管理と組織的なサポートだという。同社は量産可能な自社工場を有し、生産する部品の選択や生産フローのコスト管理がしやすい。社内にはメンテナンスチームとカスタマーチームがあり、顧客に良質なサービスを提供できているという。
同社のデリバリーロボットは市場に投入してから半年で数千台に上った。主に一、二級都市へ投入しており、大手ホテルチェーンの「如家集団(Home Inn)」、「錦江酒店(WeHotel)」などと提携関係にある。今回の資金調達でグローバル市場へ参入する計画だ。
新型コロナウイルスのまん延後、景吾智能は新たなビジネスモデルの模索を開始した。基準としたのは単純作業で高い重複性を有することなど。郭氏はサービスロボットの強みは労働力の代わりになる点だと考え、清掃領域で代替可能なシーンが多いと気付いた。
現在、同社の清掃ロボットが人を補助してホテル1室の清掃作業を行う場合、所要時間は従来の30分から15分に短縮される。100室以上の部屋があるホテルであれば、ロボット1台が清掃員1人分を代替することになる。
同社は今年8月、ホテルのバスルームで使用する清掃ロボットを発表。多機能、複数センサー付きで、鏡や洗面台、便器などの清掃を行える。用途ごとに自動でスクレーパーやクロスなどの清掃用具を切り替えることもできる。ホテル以外でも空港や新幹線、ショッピングモールなどのトイレ清掃にも活用が可能だ。
景吾智能の清掃用ロボットを支えるのは5つのコア技術だ。1つ目は力制御の技術。ロボットのアームがさまざまな物体と接触する時、物体に合わせた最適な力加減にするため安全な作業が可能となる。2つ目は視覚認識技術。3D計測で作業空間のモデル化を行い、ビジュアルポジショニングを行う。3つ目はロボットアームのモーションプランニング技術で、効率的、安全、簡単に作業できるようにした。4つ目はレーザーとコンピュータービジョンに基づく自動マッピングおよび自動ナビゲーション技術。初めて作業する場所でも環境に対応できるようにした。5つ目はディープラーニング技術だ。
景吾智能は現在200人近いスタッフを有する。事業提携する企業は数百社に上り、2022年には売上高が2億7000万元(約48億円)に達すると見込む。
(翻訳・Qiunai)
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