ドローンで風力発電機の点検を行う中国「Clobotics」が欧州企業を買収、海外市場を強化

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ドローンで風力発電機の点検を行う中国「Clobotics」が欧州企業を買収、海外市場を強化

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風力発電事業者にスマートソリューションを提供する「Clobotics(拡博智能)」はこのほど、子会社の「Clobotics Denmark ApS」を通じて風力タービンブレードのメンテナンスソリューションを手がけるデンマーク企業「Danish Blade Service ApS(以下、DBS)」を買収した。買収により、DBSはClobotics傘下のグローバル・メンテナンス・プラットフォームとなり、中国および世界の顧客にサービスを提供する。

2020年以来、Cloboticsが欧州で買収を行うのはこれが3回目。デンマークは風力発電の発祥地だ。今回の買収について創業者の厳治慶CEOは、Cloboticsの技術力を生かしてDBSが持つ風力発電業界のクライアントにより良いサービスを提供すると共に、DBSの専門知識や実践経験を中国のメンテナンス事業に導入することで、産業におけるシナジー効果の創出を目指すとしている。

2016年に設立されたCloboticsは、風力発電と小売業の法人向けに、コンピュータービジョンや機械学習を活用したインテリジェントサービスを提供している。2017年から2018年にかけて、業界内でも成熟したドローンプラットフォームを基盤に、雲台(カメラを固定する台座)、飛行制御アルゴリズム、マシンビジョン・アルゴリズム、3D自動操縦技術などの自社開発と製品改良に取り組み、風力タービンブレードの自動巡回点検サービスを開始した。中国の発電大手である「華能集団(Huaneng)」や「華電集団(Huadian)」などと提携して、2019年からは国内で風力発電機の巡回点検サービスのプロモーションを段階的に進めており、現在では「龍源電力(Longyuan Power)」「株洲時代(Zhuzhou Times)」「洛陽双瑞(Luoyang Sunrui)」「上海電気(Shanghai Electric)」など風力発電分野の国内大手メーカーに全自動の風力発電機メンテナンスサービスを提供している。

DBS(提供:Clobotics)

Cloboticsは関連技術の特許130件以上を取得しており、巡回点検や関連するコア技術に用いられている。風力発電機の点検においては、絶えず変化する風速や光線などに合わせて、ドローン撮影システムのシャッタースピード、ISO感度、飛行速度などをリアルタイムで調整することができる。また独自開発したブレードパノラマ画像の自動生成技術により、ドローンが取得したデータを3次元画像にして損傷の位置やサイズを正確に再現するほか、機械学習モデルをベースにしたブレード損傷認識システムが損傷の深刻度や状態の分析を行う。

厳CEOの話では、同社が収集したブレード損傷のサンプルは300万件以上にのぼり、風力タービンブレードの損傷サンプルライブラリとしては世界最大だという。機械学習モデルのトレーニングとアルゴリズム調整を絶えず行うことで、損傷を検出する精度は95%に達し、ドローン回収率も99%を超えた。さらに同社の画像デジタル管理プラットフォーム「IRIS」を活用し、リーディングエッジの腐食や損傷の分布をヒートマップにして表示することで、問題箇所を一目で把握して再検査をすぐに行えるようになっている。

「世界にある風力発電機45万基のうち、15万基が中国にある。当社は欧州、北米、南米市場に加えて、今年は龍源電力のプロジェクトに加わりアフリカ市場にも進出した。風力発電のメンテナンスサービス市場は大きな可能性を秘めている」と、厳CEOは語る。自動巡回点検サービスのほか、ブレード修理ロボットもリリースした。ロボットを活用した検査・修理は従来方式に比べて50%以上コストを削減できるうえ、作業員が行う場合よりも安全で効率が良い。

Cloboticsは巡回点検サービスの回数に応じて料金を徴収している。発電機の設置場所が陸地か海上かを考慮し、全体の委託回数に基づいて費用を算出することになっており、ドローンサービス1回はおよそ1万元(約18万円)。現在、中国に3000カ所近くある風力発電所のうち20%を占める500カ所以上が同社のサービスを利用しており、海外では約30カ国にある風力発電所50カ所以上をカバーしている。
(翻訳・畠中裕子)

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