アリババ21年7~9月期:調整後純利益39%減、クラウド事業は好調を維持

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中国IT大手アリババグループは18日、2021年7~9月期決算を発表した。売上高は2006億9000万元(約3兆5900億円)で、市場予想の2061億7300万元(約3兆6900億円)をやや下回った。前年同期の1550億5900万元(約2兆7800億元)から29%増加したが、伸び率は前四半期の33.8%からわずかに縮小した。調整後純利益(Non-GAAP)は前年同期比39%減の285億2000万元(約5100億円)だった。

アリババグループの年間アクティブ・コンシューマー(AAC)は、前四半期から6200万人増加し、全世界で約12億4000万人となった。内訳は中国国内が9億5300万人、海外からの利用が2億8500万人。格安EC「淘特(旧称:淘宝特価版)」などの革新的な事業が利用者増加に貢献したとみられる。淘特は好調を維持しており、単四半期でアクティブユーザーが5000万人増加したほか、年間アクティブ・コンシューマーは2億4000万人を超えた。

業績が市場予想を下回ったことを受け、アリババの株価は決算発表後に4%以上下げ、時価総額は4380億ドル(約5兆円)となった。

決算発表当日、香港株式市場の中国ハイテク株は軒並み下落した。「ビリビリ動画(bilibili)」と「バイドゥ(百度)」も決算発表後に株価がそれぞれ12%と8%下がり、アリババの株価は同日中に5%以上も下落した。

複数の証券会社は決算発表の1週間前、アリババの調整後純利益が前年同期に比べ27~50%減少し、237~345億元(約4200~6200億円)になると予測していた。

減益の要因として考えられるのは、ECプラットフォーム出店事業者に対する負担軽減措置と多方面への投資だ。ECモール「天猫(Tmall)」の責任者・楊光氏は以前、2021年に天猫の出店事業者の負担を100億元(約1800億円)近く軽減する方針を明らかにしていた。実際に、今年に入ってから大小さまざまな奨励プログラムが発表されてきた。加えて、淘特や生活関連サービス、地域コミュニティー向け共同購入、東南アジア地域のECプラットフォーム「Lazada」などへの資金投入は、前年同期から125億7500万元(約2200億円)増加した。

売上高の伸びが鈍化した背景には、市場全体の成長率の影響がある。中国EC最大手のアリババは、市場全体の成長率を大きく上回ることはできなかった。実際、連結売上高に含まれている傘下のスーパー大手「サン・アート(高鑫零售)」の売上高を除くと、アリババグループの今期売上高は1804億3800万元(約3兆2300億円)となり、前年同期に対する成長率はわずか16%にとどまっている。

別の要因として、一部事業の業績が伸び悩んだことが挙げられる。見逃してはならないのは、ECモールのGMV(流通取引総額)伸び率の具体的な数字を公表しておらず、過去最低の1桁台にとどまったとだけ明らかにしていることだ。これは中国EC業界の競争が激しさを増したことに加え、主力であるアパレルやアクセサリーのGMVが思うように伸びなかったためだろう。ただし、越境EC事業の売上高は150億元(約2700億円)で前年同期比38%増となり、グループ全体の売上高の増加率を上回った。

アリババクラウド(阿里雲)を含むクラウドコンピューティング事業の売上高は200億700万元(約3600億円)で、前年同期に比べ33%増加した。前四半期の増加率40%からは減速したものの、市場予測の190億8600万元(約3400億円)は上回った。プラス材料と言えるのは、アリババクラウドが黒字を維持できるようになったことだ。今四半期の調整後EBITDA(利払前・税引前・償却前利益)は3億9600万元(約71億円)となり、4四半期連続で黒字を達成した。

地域コミュニティー向け共同購入事業のGMVは、発展途上にあるエリアの成長に支えられ、前年同期から150%増加した。地域密着型の生活関連サービスは成長が緩やかになっているものの、年間アクティブ・コンシューマーは前年同期比28%増、注文件数は同30%増となった。

傘下の動画配信プラットフォーム「優酷(Youku)」の成長も鈍化したままで、1日当たりの平均課金ユーザー数は前年から14%の増加にとどまった。
(翻訳・畠中裕子)

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