中国版メルカリ、フリマアプリ「閑魚(Xianyu)」の課題と展望

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中国版メルカリ、フリマアプリ「閑魚(Xianyu)」の課題と展望

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「転転(Zhuan Zhuan)」や「拍拍二手(Paipai Secondhand)」など中国にも複数のフリマアプリがあるが、「閑魚(Xianyu)」は他のアプリと異なり、自らを「眠れる資源の取引コミュニティ」と称している。中古品はあくまでその一部分を占めるに過ぎない。

閑魚のミッションは「冬眠状態」にあるすべての資源の価値を取り戻し、流通させること。しかし、その障壁は非常に高く、多額の資金を投じてインフラを整えるだけでなく、社会そのものを変えていく必要もある。

36Krはこのたび、閑魚の創業者である諶偉業氏に接触。閑魚のサービスと課題、そして今後の展望について話を伺った。

中古品取引は「業界」ではなく「小さな商売」

ーー閑魚はやはり「売る」ことを最も重視していますか。

諶氏 「そうだ。我々は中古品取引について独自の考えを持っている。第一に、中古品取引は業界とは言えない。国が公開している業界一覧にも、中古品取引業界はない。だから、業界とは言えず、『スモールビジネス』と理解するほうが適切だ。社会には使われないまま眠っているさまざまな資源(住宅、衣類、デジタル製品など)があり、こうした資源は流通に乗せることで初めて価値を生む。流通に乗せる基本条件は市場メカニズムにあるのではなく、先に取引プラットフォームを作り、そのプラットフォームが資源を流通させる。これが我々の行っていることだ」

ーー市場が中古品の流動を阻むことはあり得るのでしょうか。

諶氏 「市場は効率を最優先するため、社会に眠る中古品の流動に関与することはない。中古品は標準化された商品ではないため、消費者にとっては取引形態が明確ではない。そのため、プラットフォームやコミュニティがこうした問題を解決しなければならない」

ミニプログラムと淘宝の活用

ーー閑魚は主に「アリペイ(支払宝)」のミニプログラムで運営していますね。

諶氏 「アリペイのミニプログラムでは順調に運営できている。中古品の売買、不動産賃貸や衣類のレンタルといったサービスをアリペイのユーザーに提供することができた。今後はサービスごとにミニプログラムを開設し、10数種類程度を運営する予定だ。『タオバオ(淘宝)』とのパートナーシップによって、顧客がタオバオで購入した商品を閑魚へ出品するという流れもできた」

ーーミニプログラム、タオバオ、そして閑魚アプリ。それぞれのトラフィックと取引の割合はどの程度でしょうか。

諶氏 「トラフィックも取引もアプリが最も多い。タオバオとアリペイのユーザーの多くが、最終的にはアプリへ移行している。タオバオとアリペイからの流入数は急速に伸びている状況だ。当面はこの比率を維持し続けるのではないか」

閑魚の広がり

ーーレンタル分野を強化する計画はありますか。

諶氏 「活用されずに市場で眠っているものにはすべて価値があり、その価値は消えるものではない。これらの価値を顕在化するためには3つの方法がある。所有権の移転(物の売買)、使用権の移転(物のレンタル)、社会的なシナジーだ。最後の社会的シナジーはよりサービスに関わるものだ。こうした理解の下、閑魚の事業ではレンタルも非常に重要な部分を占めている」

「現在、広く普及しているシェアサイクルもレンタルの一形態だ。レンタルすること、すなわち資源を共有することは、今後も大きく広がると考える」

ーーこの業界の信用システムは十分でしょうか。

諶氏 「過去10年間、中国で最も進歩を遂げたのは信用システムだ。納品前にお金を支払うというシステムが成り立たなければ、閑魚も存在していなかっただろう。個人間の信頼があってこそ、取引は可能になる。閑魚のGMV(流通総額)は間もなく1000億元(約1兆6400億円)を突破する。これは大変意味があることで、中国の中古取引には大きな市場があることを証明している」

ーー中古品市場は1兆元規模という見方もありますね。現在、閑魚はその10分の1ですが、1兆元に達するまでにはどのぐらいの時間がかかりそうですか。

諶氏 「単純にGMVの観点からすればそうなるが、重要なことはこの市場にどれだけ多くの人が関わりを持つかだ。もし2~3億人程度ならば、さらなるテコ入れが必要だ。将来的には7億人程度が関わることを期待したい。そのためには、あと3〜5年、努力が必要だろう」

ーー中古品を購入するのは、地方都市在住者でしょうか。

諶氏 「明らかなのは、三、四級都市のユーザー数が非常に伸びているということだ。ローンチした初期は一、二級都市のユーザーが飛びついたが、現在は三、四級都市のユーザー数の伸び率が圧倒的だ」

ーーユーザー数もすでに三、四級都市のユーザーが多いのでしょうか。

諶氏 「現時点では一、二級都市のユーザー数には達していない。ただ、三、四級都市はそもそも総人口が多いため、いずれは一、二級都市のユーザー数を超えることになるだろう」

ーー高級品のニセモノ対策についてはいかがでしょうか。

諶氏 「資格を有する企業と提携している。例えば、ブランド品バッグを購入する場合、これらの企業の鑑定サービスを利用することができる。商品番号などが記載された証明書も発行される」

将来はECを凌駕する?

ーー中古品市場は将来、新たな「巨人」を生むことになりますか。

諶氏 「新しいビジネスの背後には多数のサービスプロバイダーがいる。中古品取引市場でも革新的で信頼のおける複数の企業が流通を促進している。閑魚としては、我々のミッションに合致する限り、こうした企業にあらゆる面で協力、支援する方針だ。おそらく今後も新しいビジネスモデルやテクノロジーが生まれるが、これらを吸収することで、中古品をスムーズに循環させるシステムの一部でありたい」

「市場は非常に大きく、参入企業も増えている。このことは、アリババを含む我々にとって非常に良いことだ。我々はより多くの企業と競い合いながら、最終的には協力関係を築きたい。必ずしも1社が独占する必要はないと考えている」

ーー中古品取引ビジネスには、どのような障壁がありますか。

諶氏 「障壁は非常に高い。巨大ECプラットフォームをゼロから構築するよりも困難だ。ECなら商品の仕入れ先は卸売業者やメーカーだが、閑魚の商品はすべて個人が提供するものだ。1人1人の消費者に、市場に積極的に関わってもらう必要がある。取引の過程にもさまざまな不確定要素があるため、これらを解決して取引を促進するためには膨大な費用を投じなければならない。取引インフラ、取引技術、支払い能力、流通商品の信用性確保、サービスの革新、トラブル解決、AI導入など、すべての面で整備が必要だ」

ーー将来的に、閑魚はECを超えられますか。

諶氏 「より多くの人が中古品取引に関わるようになるだろう。しかし、流通額が重要なわけではない。中古品取引の醍醐味はいくらで売れたかということよりも、自分にとって不用な物が再び誰かの役に立つことにある」

「現在は多くの人が中古品取引をビジネス的視点から見ているが、そこには大きな誤解がある。このビジネスモデルは3〜5年後にその真価を発揮することになるだろう。その価値は、現在想像している価値の10倍、いや、100倍規模のはずだ。私はECよりも可能性があると信じている」

ーーどのくらい先に全事業者が収益をあげられますか。

諶氏「閑魚はアリババのエコシステムという大きなサポートを受けているが、実際は売り上げにそれほど強い関心があるわけではない。現実には閑魚のユーザーや資金の流れは拡大しており、さらなる計画も準備中だ。具体的な収益モデルは明かせないが、我々が販売手数料を徴収することは今後もないだろう」
(翻訳・飯塚竜二)

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