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マイクロLEDディスプレイを開発・生産する「顕耀顕示科技(Jade Bird Display、以下「JBD」)」がシリーズAで数億元(数十億円)を調達した。出資を主導したのは「同創偉業(COWIN CAPITAL)」だ。JBDが数億元を調達するのはこの半年で2回目。
2015年創業のJBDは、マイクロLEDチップの量産能力を備える世界初の企業だ。マイクロLEDを手がける大多数の企業がテレビやウェアラブル端末に搭載する1インチ以上のディスプレイを製造するのに対し、JBDは0.5インチ以下の超小型ディスプレイを手がける。主にAR(拡張現実)グラス、MR(複合現実)グラスなどのニアアイディスプレイ(NED)、自動車用ヘッドアップディスプレイ(HUD)、マスクレス露光装置(半導体ウェハーに回路パターンを焼き付ける装置)、超小型プロジェクター、光造形式3Dプリンターなどに応用される製品やソリューションを提供し、マイクロディスプレイ部品用ウェハーにハイブリッドICを焼き付ける技術を初めて実現している。
JBDのマイクロディスプレイは発光効率、輝度、フレームレート(秒あたりのコマ数)、信頼性が高く、低コストで体積も小さく収められるなど多くの優位性があり、マイクロLEDディスプレイに関する特許権取得や自由販売も世界的に展開している。JBDによると、同社の製品は世界の主要NED企業の7割が採用している。
JBDが現在量産するのは解像度5000dpi、6350dpi、10000dpiの単色のアクティブマトリックス方式(一画素ごとに表示を制御できる)マイクロLEDだ。先月24日にはスマートグラス用マイクロLEDライトエンジン「AmμLED」シリーズを発表した。単色と多色の2種類があり、さまざまなタイプの開発に対応できる。
単色ライトエンジンの体積はわずか0.3立方センチメートルで、重さは1グラム。業界最小の光学機器だ。単色ディスプレイを搭載するスマートグラスだけでなく、フルカラーディスプレイのスマートグラスの開発にも対応する。多数の単色ライトエンジンで構成されたフルカラー表示ソリューションでも総体積は1立方センチメートル以下で、現段階では世界最小のソリューションとなっている。
多色ライトエンジンの体積もわずか1.35立方センチメールで、重さは2.3グラム、出力光束は5ルーメンで、多様なカラーディスプレイに対応可能だ。JBDはこの多色ライトエンジンに適応するウェーブガイド(導波管)も提供している。
AR産業の川上では、光学機器やディスプレイは最も核になるパーツだ。AR機器のディスプレイとしては、サイズや輝度、解像度、消費電力などあらゆる面からみてマイクロLEDが最良の技術であり、究極のソリューションだと考えられている。
今回の出資者である同創偉業の投資マネージャー王晶氏によると、マイクロLEDはディスプレイソリューションの最終形であり、ARグラスの心臓部だと業界で認識されている。しかし、現段階では技術の成熟と量産化という課題も抱えているという。同氏は「JBDは自社開発したハイブリッドIC技術によって、マイクロLEDチップの開発と量産化技術で業界最先端を切り開いた。マイクロLEDの課題を解決できる可能性が最も高い企業だ」とJBDを評価している。
ディスプレイ技術の面でみると、ARは完全没入型のバーチャル体験ではなく、現実世界で多くの可能性を実現する手助けをするのが役割だ。王氏は「人が情報を取得する経路は主に視覚で、ARは視覚とバーチャル世界をつなぐ最高のインターフェースだ。JBDのマイクロLEDチップは高輝度の特色を活かし、複雑な環境光の現実世界にバーチャル情報をはっきりと重ねて表示できる。体積も小さく消費電力も小さいため、搭載するバッテリーも大幅に小さくて済む。バッテリーもLEDチップも一般的な眼鏡のフレームに内蔵できれば、手軽に使えるARグラスが一般市民の生活に浸透する可能性もみえてくる」と期待を込めた。
同創偉業のパートナー張一巍氏は「これまで中国テック業界での投資対象は、国産で代替できるようになるものが主だったが、近年ではJBDに代表されるように独自分野でイノベーションを牽引し、世界の最先端へ躍り出る中国企業が現れてきている」と述べている。
(翻訳・愛玉)
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